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地伝#7 ◾️1995年 ライムスター

エゴトピアをリリースしたライムスターを京都ココナッツグルーヴに招いた。CDに記載されているファイルレコードに電話して岡田マキコさんに対応してもらった。渋谷パルコ近くの事務所まで打ち合わせにも行った。

パソコンが普及していない時代、このフライヤーも手書きでコンビニA4印刷である。フライヤーはリバーサイドというレコード屋に置いてもらったり人通りの多い新京極の電柱に貼りまくったりした。何回かイベントをやってきたので慣れたものだ。

しかし、、、イベント当日になり開店したがいつまでたっても人の気配がない。

イベントの様子はゲル★ビーツさんがブログに書いてくれているのでご覧いただきたい。

以下、一部引用

※※※※※

んで日にちまたいで0時過ぎ。
その時間になっても客は俺ら入れて6人ぐらい。

DJのクラブプレイから20世紀のイントロが流れてきた。

『準備出来てんのか京都のB-BOY!』

マミーDの掛け声で待ち続けたライムスターのライブが始まった。
今でこそお馴染みでお約束のあのコール
『ライムスターがライブしにやって来た!どこに来た?○○!』
のコールアンドレスポンスからスタート。

なんやけど、この時ライブに来てた客は誰もその流れを知らんから
棒立ちでシーンとするフロアの客とオレ。

今でこそEXILEのライブでもセイホーォゆうたら客はホーオって返すやろけど
この当時、95年のまだ日本語ラップが一般に浸透して無い時代
ましてやヒップホップ未開拓地の地方都市京都で
コールアンドレスポンスの概念が無かったオレ(と他の客)は
ライムスターのコールに何をしていいのか全く判らんかった。

MCシロー(現在の宇多丸)が『お前等全然解ってねーな!
ヒップホップのライブは突っ立って聴くもんじゃなくて一緒に参加すんだよ!』

『いいか?ラッパーがステージから投げかけたら客は応えるんだよ!』
とコールアンドレスポンスが何たるかを1から10まで手とり足とり教えてくれた。

今から思えばちょっと恥ずかしくておかしい話やけど
冷静に考えて日本っていう島国の京都に生まれて
ごく普通の家庭で普通に生活してきたオレには
ヒップホップもクラブもラップのライブもましてコールアンドレスポンスなんか知らん訳で。

教科書にも雑誌にもテレビにもCDにもそんな事出てきた事ないし
今みたいにインターネットも普及してる時代じゃないから知らなくて当然だった。

一通りシローとマミーDからやり方を教えてもらってから
『もう一回登場からやり直すから次は教えた通りやるんだ解かったな!』と
一回はけるMCシローとマミーD。

また20世紀のイントロが流れてライムスターが再登場。
声をだしてコールアンドレスポンスに応える客とオレ。

けどまだ緊張で声が小さくてぎこちない。

シローが『声が小せぇ!お前等キンタマついてんのか?』
と痛烈にダメ出ししてもう一回。
『この瞬間京都でここが一番盛り上がってる場所に出来るかはお前等次第なんだぜ!!』
みたいな事をいって客をあおったり。

ココナッツグルーブに行った事ある人は知ってるやろけど
このクラブはそんなに広くなくて、この日のライブは客が少ない事もあって
ライムスターがステージから降りてフロアの客と同じ高さでマイクを握ってライブしてた。

段差なしの距離1メートル無いぐらいのライムスターから客への熱いレクチャー。

こんなやり取り(ダメ出し)とやり直しが何回かあって5回目ぐらいの20世紀。
人間5回もやれば流れも掴めて声も出るようになり
コールアンドレスポンスも成功してやっと盛り上がるライブ。

やっとヒップホップのライブっぽく盛り上がった後、『やれば出来んじゃん』とマミーD。
ただ歌を突っ立って聴くんじゃなくて掛け合いによって生まれる一体感
ラッパーと客が一緒にライブを作り上げていく感じ。

何もかもが新鮮で、経験した事のない面白さと楽しさをライムスターのライブで味わった。

曲の間のMCでシローが
『オレらが今ライブで地方を回るのはライムスターを知ってもらう為もあるけど
もっと色んな奴にヒップホップを広く知ってもらいたいからライブして回ってるんだ。
ヒップホップは面白いし、お前らももっと周りの奴を巻き込んで広げていってくれよ。
今は小さいかもしんないけど、もっともっとデカくなる音楽だと俺らは思ってるからさ。』
みたいな話をしてた。

※※※※※

僕の記憶では10人くらいだったが6人くらいだったようだ。来てくれていたリュウゾウ、ノブ、ジンタイとライムスターのライブがすごかった件について明け方ごろクラブの外で話していた。誰が言い出したのだろうか。「俺らがやろう」とその日に決まった。赤黒のコントラスト、ノブ・リュウゾウと数日後には木屋町の小さなバーでライブをやった。真っ赤なマグマ、MAGUMA MC'Sの誕生だ。

イベントは真っ赤な赤字だったけどやって良かった。

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ライブの前にウォーキンストアに来てくれていたDさんとシローさん。良い笑顔。

リュウゾウもトークでこの時の事を触れていました。

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