見出し画像

サンフランシスコの自動運転のCruiseについて調べてみた。

はじめに

最近はSNS等で見かけて気になったものをYouTubeで検索して動画で理解することが多くなりました。Googleで検索して記事を読むのとは違って、映像からその会社が発しているメッセージを読み解いた方が直感的というか感覚的に理解することができ自分にとってはわかりやすかったりします。

Twitterを眺めていたら自動運転のCruiseの広告が表示されたのをきっかけに、ふと最近どうなっているんだろう?と思ってYouTubeの動画で調べてみたら結構面白かったのでメモとしてまとめてみたいと思います。

Cruiseとは

CruiseはアメリカのGMの傘下にある自動運転の専門の会社でサンフランシスコに本社をがあります。数年前からサンフランシスコの街中でシボレー(シボレーもGM傘下)のBoltというコンパクトな電気自動車を使って自動運転のテストを行っていて、サンフランシスコに出かけるとよく見かけます。

Google系のWaymoが最近ジャガーと組んでサンフランシスコに進出し自動運転車のテストを始めていて、車がジャガーということもありこちらの方が話題になりますが、Googleはこれまで主にマウンテンビューでテストをしていたので、サンフランシスコでの自動運転のテストという意味ではCruiseの方が歴史が長いです。

私の住んでいるシリコンバレーのあたりだと道も広いくて運転しやすく、ほぼみんな車移動なので人や自転車を見かけることは非常に少ないですが、サンフランシスコの街中は、一方通行や路駐も多いし、バス、人、自転車も多くて正直運転しづらいです。日本で言えば東京の街中を運転するのに近いかもしれません。普段シリコンバレーで生活している人でも、サンフランシスコ市内は運転したくないという人もいます。そんなサンフランシスコで自動運転の試験を早い段階から始めたCruiseは結構なチャレンジャーだと思います。

動画その1

私が見たTwitterの広告は次のYouTube動画へのリンクでした。Cruiseとその自動運転車Poppyのこれまでのサンフランシスコでのテストを振り返ったような動画になっています。

動画本編を見ていただきたいのですが、私の方で勝手に意訳するとこんな感じでしょうか。

自動運転のテストを始めた当初は、サンフランシスコの街中の自動運転は難しく後ろの車からクラクションを鳴らされたり、周りの人からは冷たい目で見られていた。昼も夜も自動運転のテストを重ねて多くの時間を費やし改善をしたけど、まだまだ人から信頼を得られていなくて警戒される。そのうちコロナが始まりサンフランシスコの街から人がいなくなったが、そんな中でも食料品の配達を支援したりしてテストを続けた。経済の再開が進み街に人が戻りつつあるなか、ようやく街の人々に認められるようになった。自動運転タクシーとして使われる未来もすぐそこまで来ている。"It's nice to see you again, San Francisco. Where to next?"

長時間の自動運転のテストを通じてサンフランシスコのコミュニティーに認められてきたので、次は本格的に自動運転のサービスを提供していきます、というメッセージだと読み取りました。

動画その2

動画その1が面白かったのでCruiseの公式チャンネルの動画で面白そうなものを探してみたました。次に見たのはこの動画。

サンフランシスコ市内は自転車が多く、路駐の車やバスを避けるように車道に突然入ってくるケースもあり、どのように自転車と道を共有するかがとても重要です。この動画ではCruiseでは実際のサイクリストたちを採用して、開発やオペレーションで活躍していることを紹介しています。自転車乗る側の視点を積極的に取り入れて自動運転のソフトウェアの改善にフィードバックしているとのこと。最後で採用のページにリンクするので、目的は自転車好きで自動運転の実用化に貢献したいモチベーションを持った優秀なエンジニアを採用したいということのようです。車の自動運転というと自動車の開発エンジニアが集まって作っているものだという思い込みがありましたが、もうそういう時代じゃないんですね。道を共有する人や自転車との距離感をどう確保して運転すれば安全でかつお互いにとって快適なのかとかを追求するフェーズのようです。

この動画の2:00から始まるテストの話がとても興味深いです。Cruiseの中ではソフトウェアのテスト用にビデオゲームのようなソフトを開発して実際の街を再現させ、その中でソフトウェアのテストしているそうです。しかもそのクオリティが凄い!下のを動画からのキャプチャを見てもらいたいのですが、まるで実際のサンフランシスコ市内を走っているような感じでとてもソフトウェアのテスト用のCGには見えません。さらにこの中に突然の歩行者とか自転車の動きをシミュレーションしてテストを繰り返しているらしいです。路上でのテストがメインだと思ってたので、想像を超えた世界でした。

画像2

画像1


動画その3

こちらは最近アップロードされたもので、実際にCruiseの CTO & Co-FounderのKyle VogtがCruiseのドライバーレスの自動運転のタクシーサービス(配車サービス)を使ったところを動画にしたものです。本当に運転席にドライバーがいなくても目的地まで届けてていてびっくりします。

車に乗り込んだ後、運転を開始していいかどうかの判断はどうするんだろう?と疑問に思ったんですが、この動画を見る限り乗客がドアをしめて、シートベルトをしめて、その後乗客自らがアプリで"Start Driving”のボタンを押す必要があるようです。

実際にこうした配車アプリを使った自動運転のタクシーサービスを始めたら、自動運転に加えてこうした乗客の乗降の確認の部分もとても重要だということに気づかされます。実際のUberとかLyftとかのサービスだと、ドライバーは運転だけじゃなくて乗客の乗降の確認とかもやってますからね。ドアを閉め忘れて降りていった人がいた場合にどうするんだろう?この辺りも徐々に知見がためながら改善していくんでしょうね。

しかしこの動画を見せられてしまうと、ドライバーレスのタクシーサービスも現実のものとなって実用フェーズに来たなと感じます。少し前であれば、危ないんじゃないかという不安を感じたかもしれませんが、さすがにサンフランシスコの街中で普通に走っているCruiseの車を何度も見ていると、そろそろできて当然な感じがしてくるのも不思議です。

TechCrunchによると、CruiseはカリフォルニアのDMV(日本で言うと陸運局?)から10月初めに無人走行の許可を受けていて、夜10時から翌朝6時までの間、最大時速30マイルでの走行ができるそうです。これに基づいて11月1日の月曜夜11時に無人の自動運転の車を始めて、現在数名の人が利用できるようになっているようです。

まとめ

今回、CruiseのYouTube動画を3つ取り上げてみましたがいかがだったでしょうか?CruiseがTwitterに広告を上げたりしているのを見ると、これまでの自動運転の試験走行フェーズから、一気にドライバーレスのタクシーサービスのビジネス化のフェーズに移りつつあるように思いますし、実際これらの動画を見る限りは技術的にもそのレベルまで達している自信があるように思いました。また、最初の動画にあるようにサンフランシスコのコミュニティーにも受け入れられつつあるというのも大事なのかもしません。

もしCruiseの今後のビジネス戦略とかに興味があれば、CEOのDan Ammannのスピーチ動画の視聴をお勧めします。現在のBolt以外にも小型の乗合型のCruise Originを投入する予定だったり、ビジネスプランなどを紹介してます。

画像3

(追記)日本のホンダが今年はじめにCruiseとの協業を発表していました。日本の街中で見るようになる日も近いかも。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?