ViroNote:夏の帳をデザインする
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この記事は私、Virtualゲームデザイナーのバーチャ・ローズウォーター
/Virtua Rosewaterがカードデザインの考察をするものだ。今回のテーマは、まさに今禁止されたばかりの注目カード《夏の帳》だ!早速見ていこう。
色対策のデザイン空間
発端は基本セット2020の新しい色対策サイクルだった。緑は格闘呪文の 予定だったが、よりコントロールデッキに有効なデザインを探すことになったのだ。使用できる能力と、その例となるカードを以下に示そう。
・打ち消されない 《生命の力線》《うろつく蛇豹》など
・対象にならない 《秋の帳》《威圧の誇示》など
・ハンデス対策 《強情なベイロス》《無効皮のフェロックス》など
・クリーチャー 《ガイアの復讐者》《殺戮の暴君》など
これらを見返すと、ピーピングハンデスへの対策がまだないことに気付くだろう。"十二足獣能力"は強力だが、手札を見られては意味をなさない。 そしてピーピングハンデスはありふれたものである。緑単色でこれを対策できるだろうか?
呪禁の使い方
《思考囲い》のようなカードを対策するには、プレイヤーに呪禁を与えるのが最も簡単だ。ただし、緑の呪禁はパーマネントに与えるもので、単にプレイヤーへ与えるとカラーパイに反してしまう。この問題について私は、青と黒限定なら許容し得ると考える。プレイヤーを対象にとる能力を個別に見ると、緑に対策できるものばかりだったのだ。
・ハンデス ⇔ 十二足獣能力 捨てさせない《伝承の収集者、タミヨウ》
・布告除去 ⇔ 生け贄に捧げさせない《タジュールの保護者》
・ライブラリー破壊 ⇔ ライブラリー修復《ガイアの祝福》
複数の対策能力を一纏めにするだけなら、プレイヤーの呪禁という形でも認められるだろう。これによって、ハンデスとカウンターを対策するインスタントとしてのデザインが可能になったのだ。
禁止カードは悪いデザインなのか
最終版では、プレイヤー呪禁・パーマネント呪禁・打ち消されない・キャントリップの4つの能力を持つことになった。ひとつひとつは非常に小さい効果でありながら、組み合わせた性能はパイオニアで禁止されるに十分なものである。それではどの部分が問題だったのだろうか?
ゲームデザインの観点から考えると、「カウンター・ハンデス対策」と「除去対策」をひとつのカードにしたことが問題だと言える。プレイヤーはゲームに選択を求めるものである。ハンデスできないなら除去を、除去できないならカウンターを、という風に工夫と選択の余地があれば、対策カードで良いゲームプレイを生み出せる。しかし《夏の帳》は1枚であらゆる妨害を防いでしまい、青と黒のデッキから選択の余地を奪ったのだ。これこそ《夏の帳》が強い理由、そして禁止に至った理由だろう。
読んでくれてありがとう、この記事がカードデザインを考える一助となれば幸いである。そして感想や意見をいつでも募集中だ、コメント欄やツイッターの #ViroNote で投稿してくれたまえ。
それではさようなら。どうかあなたが色対策と快く付き合えますように。
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