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【note】金融教育〜サーキットブレーカーって何?米国株式市場の仕組みをわかりやすく解説

▼サーキットブレーカーとは

サーキットブレーカーとは、株式市場で大きな値動きが起きたときに、取引を一時的に停止する仕組みのことです。

 米国では、株式市場のストップ高、ストップ安のような値幅の制限ルールがない代わりに「サーキットブレーカー」が設けられています。

 サーキットブレーカーは、市場の安定化や投資家の保護を目的とし、市場がパニックに陥ったり、暴落したりするのを防ぐために、一定の時間、冷静になる機会を与えます。

 サーキットブレーカーは、英語で「電気回路の遮断器」。電気回路に過電流が流れたときに、自動的に電気を遮断する装置のことです。これは、火災や感電などの事故を防ぐために必要なものとして知られています。

 株式市場のサーキットブレーカーも、同じように、市場に過熱や過冷却が起きたときに、自動的に取引を遮断する装置と考えることができます。これは、市場の混乱や損失を防ぐために必要なものです。

▼サーキットブレーカーの種類と発動条件

米国株式市場には、主に2種類のサーキットブレーカーがあります。一つは、「市場全体」に適用されるマーケットワイド・サーキットブレーカー、もう一つは、「個別の銘柄」に適用されるシングルストック・サーキットブレーカーです。

マーケットワイド・サーキットブレーカー
 市場全体の指標であるS&P 500指数が前日の終値から一定の割合だけ下落したときに発動します。発動する割合と停止時間は、以下のように決められています。

  • 【レベル1】S&P 500指数が前日の終値から7%下落したときに、15分間取引を停止

  • 【レベル2】S&P 500指数が前日の終値から13%下落したときに、15分間取引を停止

  • 【レベル3】S&P 500指数が前日の終値から20%下落したときに、その日の残りの時間取引を停止

 レベル1とレベル2は、午後3時25分までに発動した場合に限り、取引を停止します。午後3時25分以降に発動した場合は、取引を続行します。レベル3は、いつ発動しても取引を停止します。

シングルストック・サーキットブレーカー
 個別の銘柄の株価が5分間で一定の割合だけ上昇または下落したときに発動します。発動する割合は、銘柄の株価によって異なりますが、一般的には10%から30%の範囲です。発動した場合は、5分間取引を停止します。

▼サーキットブレーカーのメリットとデメリット

サーキットブレーカーのメリットは、以下のように挙げられます。

  • 市場の過剰な反応や暴走を抑制し、安定化に寄与する。

  • 投資家に追加の情報や分析を行う時間を与え、冷静な判断を促す。

  • 取引の透明性や公平性を高める。

  • システムの過負荷やエラーを防ぐ。

 一方、サーキットブレーカーのデメリットは、以下のように挙げられます。

  • 市場の自己調整機能や価格発見機能を妨げる。

  • 取引の停止によって、流動性や信用が低下し、パニックを増幅する。

  • 取引の再開後に、より大きな値動きが発生する可能性がある。

  • 国際的な市場の連動性を考慮しないと、取引のタイミングに不公平が生じる。


▼まとめ

 この記事では、米国株式市場のサーキットブレーカーについて、わかりやすく解説しました。

 サーキットブレーカーは、市場の安定化や投資家の保護を目的として、取引を一時的に停止する仕組みです。市場全体に適用されるマーケットワイド・サーキットブレーカーと、個別の銘柄に適用されるシングルストック・サーキットブレーカーがあります。それぞれに発動条件や停止時間が決められています。

 サーキットブレーカーには、メリットとデメリットがあります。メリットは、市場の過剰な反応や暴走を抑制し、冷静な判断を促すことです。デメリットは、市場の自己調整機能や価格発見機能を妨げ、パニックを増幅する可能性があることです。

 市場の動きに注意を払う必要がある投資家にとって、重要な知識です。市場の変動に対応できるように、サーキットブレーカーの仕組みを理解しておきましょう。

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