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【note】日本の富裕層は世界と違うの?

日本の富裕層は、世界と比べてどのような特徴があるのでしょうか。

アメリカの経済誌フォーブスが毎年発表している日本長者番付によると、2022年の日本の富裕層の数は50人とされています。このフォーブスでの富裕層は、10億ドル以上の資産を持つ人々のことです。(10億ドル≒1,400億円(1USD=140円))

この狭義の富裕層の他にも、世間一般で認知されている広義の富裕層がいます。いわゆる世帯金融資産が1億円以上の皆さんです。

彼ら日本の富裕層は、世界と比べてどのような特徴があるのでしょうか。

資産規模が一桁小さい!?

日本の富裕層は、金融資産が5億円以上の層が約3割を占め、1億円以上5億円未満が7割を占めます。

一方、世界の富裕層は、運用資産が500万USドル(7億円)以上の層が約6割(うち3,000万USドル(42億円)以上の超富裕層が約3割を占めています。) を占めています。

つまり日本の富裕層は、世界の富裕層に比べて一桁小さい資産規模であると言えます。

このことは、金融機関が提供するウェルスマネジメント(WM)サービスの内容や形態に影響を与えていて、例えば、世界では超富裕層に対してファミリーオフィスと呼ばれるカスタマイズされたサービスが提供されていますが、日本では富裕層に対しては標準化されたパターンメイド型のサービスが中心となっています。


富裕層は不動産を所有

次に、不動産の比率が高いという点です。
日本の富裕層は、総資産の約8割が不動産であると推計されています。そのうち、セカンドハウスや投資性不動産が約3割を占めており、これは保有するリスク性資産(株式・投資信託、債券等)の約4倍に相当します。

つまり、日本の富裕層は、不動産に偏った資産構造を持っていると言えます。

このことは、金融機関が富裕層に対して提供するWMサービスにおいて、不動産の活用や相続対策が重要なテーマとなります。例えば、MUFGは相続起点の不動産ビジネスをWM戦略の柱に位置付けており、不動産を担保にしたローンの提供や不動産の売却・賃貸の仲介などのサービスを展開しています。


投資は保守的

最後に、保守的な投資意識を持つという点です。日本の富裕層は、世界的にSDGsやESGに対する意識が高まっている中でも、資産運用においてESGを重視する比率が世界の半分以下であるという調査結果があります。

また、デジタルアセットへの投資も世界と比べて極めて低い水準にとどまっています。

これらのことから、日本の富裕層は伝統的な資産運用商品に対する投資意向が根強いと言えます。

このことは、金融機関が富裕層に対して提供するWMサービスにおいて、新しい投資テーマや商品の提案には説得力のある情報やノウハウが必要であるということを意味します。


終わりに

日本の富裕層は、世界と比べて資産規模が小さく、不動産の比率が高く、保守的な投資意識を持っているという特殊性があります。

これらの特殊性に対応するために、金融機関は、日本独自のWM戦略を構築する必要があります。

そのためには、富裕層のニーズや課題を深く理解し、グローバルで先進的なプロダクトやノウハウを日本の構造にマッチするようアレンジを進め、日本の富裕層に評価される新たなビジネスモデルの確立が不可欠といえるでしょう。

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