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『Ambitious』それはジェフ・ベック

高校時代。兎に角夏休みが忙しかった。

アルバイトを掛け持ちでやったりして。

え?勉強?
大人に混じって働くのも立派な社会勉強さ。

まぁ正直に言えば、レコード。

全てはレコードの為の労働です。


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ロックシーンには『3大ギタリスト』という
称号が70年代よりあって、『ジェフ・ベック』『エリック・クラプトン』『ジミー・ペイジ』の3人が、特にここ日本で熱心なファンにより熱いリスペクトを受けていた。

そんな3大ギタリストの中で特に好きだったのが『ジェフ・ベック』だ。

兎に角『攻撃的で攻めたギタープレイ』が本当にカッコ良く、常に前進しているスタイルからは『ロックの極意』を垣間見る事が出来る。

自分のギタースタイルの可能性を追求しつつ、決して保守に走らず、ジャンルの垣根をブチ壊しながら絶えず挑戦し続ける、まさに孤高の存在。ギター探究者だ。

1985年
そんな『チャレンジャー』ジェフ・ベックが挑んだのは、ドラムマシンやプログラミングを多用した『ダンサブル』で『過激なサウンド』だった。

(オーディションしている体のPVが実に面白い。)
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アルバイトはお店がオープンする1時間前の9時から、お客さんが大体捌ける午後3時まで。
観光地の人気レストランの皿洗いは本当に過酷。
次々と洗い場に運ばれて来る皿が、背後に山積みになっているのが振り向かなくても分かる程。
ホールを駆け回っている友人Nが洗い場の僕に何か言いたそうだ。
ウルセー。こちとら忙しいんでい。

あ。今日もS先輩めっちゃ可愛いッス!♫

何てアホな事を考えながら、脳内では今欲しいレコードの曲をひたすらリピートしている。

ジェフ・ベックの最新作『FLASH』からのシングルカット『 Ambitious』だ。

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2021年に改めて『FLASH』アルバムを聴き返してみると、当時気が付かなかった事が見えてくる。
アルバム収録曲9曲のうち、5曲が『ナイル・ロジャース』のプロデュース曲で、非常にダンサブルでワイルドな音像に仕上がっている。

同じく大物、アーサー・ベイカーがプロデュースした作品もダンサブルで大好きなのだが、優れたギタリストでもあるナイル・ロジャースのプロデュースは、例えギターの音数が少なくても、充分にジェフを引き立てる事で、見事『時代にシンクロ』した作品を生み出す事に成功している。

(それは古参のファンを置き去りにする事でもあったのだが。)

恐らくナイル・ロジャースの視線の先には、盟友『バーナード・エドワーズ』のプロデュースした『ザ・パワー・ステーション』の存在があった筈だ。

もし、『FLASH』アルバムでマシンではなく、トニー・トンプソンがドラムを叩いていたら・・・なんてね。
(その分ジェフが二曲で歌ってますがな。)


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その日はお客さんのハケが早く、昼過ぎ『1時上がり』になってしまった。
残念ながらこれではLPレコードは買えない。

ならば12インチシングルにしよう。

音もイイし。

何より1200円。予算内。

どうかレコードが売れてません様に。
帰りの送迎車はS先輩と一緒になれます様に。

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