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『下に人が潜っているのでご注意を』〜1984誕生前夜〜

アメリカを代表するバンドでありながら、こと『ソウル』というテーマになると、何故かその文脈からは全くと言っていい程クローズアップされない・・・という大物バンド。

その名は『VAN HALEN』

やはりVAN HALENというと、エディ・ヴァンヘイレンのトリッキーでフラッシーなギタープレイが真っ先に目立つ!

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 いや、これは当然でしょう。


VAN HALENのVAN HALENたる最大の魅力は、ギターサウンドであり、曲を構築するリフであり、エディのソロである事は紛れも無い事実だ。

しかし、このバンドにはもう一つの『大きな魅力』がある。
それは歴代のソウルフルなボーカリストの存在だ。

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『デイヴ・リー・ロス』

初代ボーカリストのデイヴは、派手なアクションを得意とする根っからのエンターテイナーである。                    しかし、世間一般でのボーカリストとしての評価は意外と低い。

決してそんな事はないのに。

アルバム・レコーディングではメロディも巧みに歌いこなす。が、ライブではパフォーマンスをメインとし、観客を楽しませる事にフェイクも厭わない。

だからといって、ライブでの歌に関するクオリティが下がる事は無い。
何故ならエディと、ベーシストのマイケル・アンソニーによる『鉄壁のコーラス隊』が居るからだ。

デイヴの『ラップに近いウタ』と『鉄壁のコーラス隊』による見事なコーラス・ワークの融合は、決して他には無い、オリジナリティ溢れる見事な世界を築き上げたのだった。

そんなVAN HALENのライブに於けるお楽しみの一つに、デイヴのお喋りコーナーがある。
確か自分が見た映像は、サッチモ(ルイ・アームストロング)の真似をしていて、実にうまかったな〜。
正に『Such a mouth』!!

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1982年発表のアルバム
『DIVER DOWN』
はオリジナルアルバムとしては微妙な立ち位置にある。
カバー曲が3曲、インスト曲が3曲、アカペラが1曲、残りの5曲がオリジナルという、分かり易いまでの契約遂行的な感じではある。が、実はそこが面白いのだ。

エディ的には、『ミニギター』を使った曲や、パット・スロールの影響から生まれた、ディレイ&ボリューム・コントロール曲『大聖堂』、兄、アレックスのドラムとエディのみの破天荒なイントロ曲『イントルーダー』があったりする。

それはそれは、まるでラフなオムニバスの様な気楽さがあり、チカラの抜き加減が実に心地好い。

カバーはキンクス、ロイ・オービソン、と来て・・『マーサ&ザ・ヴァンデラス』だ。『DANCING IN THE STREET
のクレジットを見てみよう。
そこには『マーヴィン・ゲイ』の名前がある。マーヴィンの駆け出し期の作品なのだ。

これをVAN HALENが自分のカラーに染め上げながら、見事にカバーしている。
ただのハードロックでは無い、実に『ソウルフルでニッチ』な仕上がりが美味。

ミック・ジャガーとデビッド・ボウイのバージョンより3年前の話だ。

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アルバム『DIVER DOWN』でのガス抜きが上手くいったのだろう。


次作アルバム『1984』で遂にVAN  HALENはアメリカを制覇するのであった。


 


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