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外貨建取引

今までは日本円での取引のみでしたが、2級では外貨を使用した取引の仕訳も行います。原則として取引が発生した時点の為替相場で日本円に換算して仕訳します。

例)100ドルの商品を1つ仕入れ、現金で支払った。
なお為替相場は1ドル130円である。
(仕入)13,000  (現金)13,000

◯HRとCR

HR(Historical Rate)とは取引時や発生時の為替相場のことです。
CR(Current Rate)とは決算時の為替相場のことです。

買掛金など、取引の仕訳をした時点と決済を行った時点で為替相場が変動していることがあります。この際の差額は為替差損益として収益、または費用で処理します。

例)買掛金100ドルを現金で支払った。
なおHRは1ドル130円、CRは1ドル120円である。
取引時の仕訳:(仕入)13,000  (買掛金)13,000
(買掛金)13,000  (現金)12,000
          (為替差損益)1,000

例)買掛金100ドルを現金で支払った。
なおHRは1ドル120円、CRは1ドル130円である。
取引時の仕訳:(仕入)12,000  (買掛金)12,000
(買掛金)12,000  (現金)13,000
(為替差損益)1,000

決算日に買掛金などの残高がある場合もCRによって換算処理を行います。決算日に換算替えをする項目を貨幣項目、しない項目を非貨幣項目と言います。両者の違いは後でお金の移動があるかどうかです。この時の差額も為替差損益で処理します

例)決算につき換算替えの仕訳を行う。なおCRは1ドル130円とし
売掛金100ドル(HR:1ドル120円)
買掛金200ドル(HR:1ドル140円)
売掛金:取引時12,000、決算時13,000
買掛金:取引時28,000、決算時26,000
(売掛金)1,000 (為替差損益)3,000
(買掛金)2,000

◯為替予約

急な為替変動が起こった場合、HRとCRの差が大きくなり、得することも損することもあり非常に不安定です。そうしたことを避けるためにあらかじめ決済時の為替相場を契約で決めること為替予約と言います。

・振当処理

為替予約の処理の仕方には独立処理と振当処理があり、簿記2級では振当処理のみが試験範囲です。なので後述の内容は全て振当処理をしていると考えてください。

取引時の為替相場を直物為替相場、将来のある時点の為替相場を先物為替相場(予約レート)と言います。基本的に為替予約を行った場合は取引、決算、決済全て先物為替相場で換算します。

例)100ドルの商品を1つ仕入れ、代金は掛けとした。
なお為替予約を行い、現在の直物為替相場は1ドル130円、先物為替相場は1ドル120円である。
(仕入)12,000  (買掛金)12,000

例)上記について決算を迎えた。
仕訳なし ※すでに先物為替相場で処理済みのため

例)上記の買掛金の支払いを現金で行った。
なお現在の直物為替相場は1ドル140円、先物為替相場は1ドル110円である。
(買掛金)12,000  (現金)12,000 
※為替予約時のレートで行うので為替差損益はなし

取引時に為替予約をせずに行い、のちの決済までの間に為替予約を行った場合は為替予約時の先物為替相場で換算します。

例)100ドルの商品を1つ仕入れ、代金は掛けとした。
なお現在の直物為替相場は1ドル130円、先物為替相場は1ドル120円である。
(仕入)13,000  (買掛金)13,000

例)上記の買掛金の為替予約を行った。
なお現在の直物為替相場は1ドル140円、先物為替相場は1ドル110円である。
(買掛金)2,000  (為替差損益)2,000

例)上記の買掛金の支払いを現金で行った。
なお現在の直物為替相場は1ドル140円、先物為替相場は1ドル110円である。
(買掛金)11,000  (現金)11,000 
※為替予約時のレートで行うので為替差損益はなし

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