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リース

リース取引とは、固定資産の所有から、合意された期間にわたって借りる契約を結び、その間に利用料を支払う取引のことです。

リース会社:固定資産の貸手
リース期間:双方で合意した期間
リース料:利用料
レッサー:貸手
レッシー:借手

リース取引の分類と簿記2級で学習する内容は以下の通りです。

◯ファイナンス・リース取引(FL)

ファイナンス・リース取引とは、次の2つの条件を満たす取引です。

①ノンキャンセラブル
途中で解約をすることができない取引です。法的に解約が可能だとしても、解約時に多額の違約金を支払う必要があるため、実質的に解約することができない取引も含まれます。

②フルペイアウト
借手がリースをしたものによって得る利益をほとんど受けることができ、また発生する費用を実質的に負担する取引です。

①、②を満たす取引は、実質的に固定資産を割賦購入した場合と同じような取引なので、
・固定資産の計上
・減価償却
・支払利息
というような売買処理と同じ考え方をします。

・所有権移転外

所有権移転とは、リース期間が終了した後に物件の所有者が自動的にレッシーに移る取引のことです。

反対に所有権移転外は物件の所有者が移らない取引です。2級では所有権移転外のみ取り扱います。

・利子込み法

①リース開始
利子込み法では、リースの取引が始まった時点で物件を得たと考え、リース料の総額リース資産資産として処理するとともに、相手方をリース債務として負債で処理します。

例)次のようなリース取引を開始した。
・ファイナンスリース取引
・リース契約期間:5年
・年間リース料:100円
・リース資産の現金での見積購入価額:400円
・利子込み法
リース料総額 = 100 × 5 = 500
(リース資産)500 (リース債務)500

②リース料支払い
またリース料を支払った際は、その額だけリース債務を減少させます。

例)上記リース取引において、当期分のリース料100円を現金で支払った。
(リース債務)100 (現金)100

③決算
決算時には、リース資産の計上価額をもとに、
・耐用年数をリース期間
・残存価格を0

として減価償却を行います。
※問題文に別途指定がある場合もあるので、その際は問題文に従ってください。

例)上記取引において減価償却を行う。なお減価償却は定額法、記帳は間接法、耐用年数はリース期間とする。
(減価償却費)100 (減価償却累計額)100

・利子抜き法(定額法)

①リース開始
利子抜き法でもリースの取引が始まった時点で物件を得たと考えますが、リース資産の求め方が利子込み法とは異なります。リース料の総額からリース資産の現金での見積購入価額を引いた額が、利子相当の額だと考えられるので利子抜き法ではその分の計上はしません。
リース資産 = リース資産の現金での見積購入価額

例)次のようなリース取引を開始した。
・ファイナンスリース取引
・リース契約期間:5年
・年間リース料:100円
・リース資産の現金での見積購入価額:400円
・利子抜き法
(リース資産)400 (リース債務)400

②リース料支払い
またリース料を支払った際はその額だけリース債務を減少させますが、その減少額は開始時のリース債務を契約期間で割った額になります。またリース料に含まれる利息相当額に関しては、支払利息で処理します。

例)上記リース取引において、当期分のリース料100円を現金で支払った。
リース開始時のリース債務:400円
リース契約期間:5年
1年のリース債務減少額 = 400 ÷ 5 = 80
総額の利息相当額 = 総額のリース料 - リース資産の現金での見積購入価額
         = 500 - 400 = 100
1年の利息相当額 = 100 ÷ 5 = 20
(リース債務)80 (現金)100
(支払利息)20

③決算
決算時には、利子込み法と同様にリース資産の計上価額をもとに、
・耐用年数をリース期間
・残存価格を0

として減価償却を行います。
※問題文に別途指定がある場合もあるので、その際は問題文に従ってください。

例)上記取引において減価償却を行う。なお減価償却は定額法、記帳は間接法、耐用年数はリース期間とする。
(減価償却費)80 (減価償却累計額)80

もしリース料の支払い日と決算日が異なる場合は、未払いまたは前払い計上を行う必要があるので注意してください。

利子込み法と利子抜き法を比べると次のようになります。

◯オペレーティング・リース取引(OL)

オペレーティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引以外の取引です。つまりノンキャンセラブル、フルペイアウトをどちらかだけ満たす、もしくは両方満たさないリース取引です。物件を借りていると考えるので賃貸借取引と同じ考え方をします。

①リース開始
なんの処理もしません。

②リース料支払い
リース料を支払った際は支払リース料として費用で処理します。

例)リース料100円を現金で支払った。
(支払リース料)100 (現金)100

③決算
当期分のリース料を計上します。リース料の支払い日と決算日が異なる場合は、未払いまたは前払い計上を行います。

例)3月末の決算日において、次期のリース料を前払い処理する。なお10月1日にリース料1年分120円を支払っている。
(前払リース料)60 (支払リース料)60
※この処理により、当期の支払ったリース料は60円となり、費用が正しくなる。

翌期首に再振替仕訳をする。
(支払リース料)60(前払リース料)60 


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