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労務費

◯直接労務費と間接労務費

直接労務費とは製品の製造に直接かかわっているものを指します。それ以外は間接労務費です。

①賃金
工場で製造にかかわる人を工員といい、工員に支払われる給与を賃金といいます。また工員のうち、材料を切ったり組み立てるなど製造に直接かかわる人を直接工といい、運搬など直接工をサポートする人を間接工といいます。
ただし直接工の作業のうち、製造にかかわらない作業は間接作業分といい、間接労務費に部類されます。

②給料
給料とは、製造にかかわる人以外に支払う給与です。

③、④、⑤についてはすでに学習済みのためここでの説明は割愛します。

〇給与

賃金や給料を支払った際は、賃金給料として費用で処理します。また源泉所得税や社会保険料は預り金として負債で処理します。

例)今月の賃金の支給額は100円であった。このうち源泉所得税と社会保険料の合計10円を差し引いた残額を現金で支払った。
(賃金)100 (現金)90
       (預り金)10

・消費額の計算

原価計算は毎月1日から月末までの1か月間で行いますが、給与計算期間の場合「毎月10日締めの25日払い」のように原価計算期間とずれが生じることがあります。そのためそのずれを調整して賃金や給料の消費額を計算します。

例)2月の賃金支給額は900円であった。なお、前月未払額(1月11日~1月31日)は630円、当月未払額(2月11日~2月28日)は540円である。
・月初時再振替仕訳
(未払賃金)630 (賃金)630
・賃金支給時仕訳
(賃金)900 (現金など)900
・月末仕訳
(賃金)540 (未払賃金)540
当月消費額
= 900 - 630 + 540 = 810

〇賃金と消費賃率

消費賃率というのは1時間単位の賃金のことで、要するに時給です。

消費賃率 = 直接工の消費金額 ÷ 作業時間

・直接工

直接工の場合、消費賃率に直接作業時間を掛けたものが直接作業分となり仕掛品で、間接作業時間を掛けたものが間接作業分となり製造間接費で処理します。

例)2月の直接工の賃金消費額を計上する。なお2月の賃金消費額は100円、作業時間は5時間(うち直接作業時間4時間、間接作業時間1時間)であった。
消費賃率 = 100 ÷ 5 = 20
直接作業分 = 20 × 4 = 80
間接作業分 = 20 × 1 = 20
(仕掛品)80  (賃金)100
(製造間接費)20

・間接工

間接工の賃金はすべて製造間接費に振り替えます。また給料などの間接労務費もすべて製造間接費に振り替えます。

〇予定賃率

予定賃率とは、予定消費単価のようにあらかじめ決められた賃率のことです。※試験では予定賃率を指示されます。

予定消費額 = 予定賃率 × 実際作業時間

例)2月の直接工の賃金消費額を計上する。なお作業時間は10時間(すべて直接作業時間)、予定賃率は@10円とする。
(仕掛品)100 (賃金)100

・月末時

月末になると実際の消費額を計算し、予定消費額と比べて差異を調整します。その際の相手科目は賃率差異で処理します。

例)月末において、当月の実際消費額は81円(@9円×9時間 )であった。
なお予定消費単価は@10円とする。
(賃金)9 (賃率差異)9

例)月末において、当月の実際消費額は99円(@11円×9時間 )であった。
なお予定消費単価は@10円とする。
(賃率差異)9 (賃金)9 

・決算時

材料費と同様、決算時に賃率差異の残高を売上原価に振り替えます。

例)決算において賃率差異100円(借方)を売上原価勘定に振り替える。
(売上原価)100 (賃率差異)100
不利差異

例)決算において賃率差異100円(貸方)を売上原価勘定に振り替える。
(賃率差異)100 (売上原価)100
有利差異

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