見出し画像

凍てつく格子

窓ガラスに、巨大な氷が張り付いている。
マンションのベランダへ出るような、大きな窓ガラス。その全面に氷が張り付いて、氷が白くなってしまって、窓の外の景色はあまり見えない。

その窓の上の、天井との間に、日本建築の欄間のようなものがある。欄間には、ガラスがはまっていない。外の寒気が直接入り込んで来る。

欄間には、鉄格子のようなものがはまっている。ただし、一般的な鉄格子と違って、横に長い長方形の欄間の、対角線に通されていて、×印のようになっている。

そこに、白い霜がびっしりと付いている。まるで冷凍庫だ。しかし、この巨大な霜は、比較的簡単に手で落とす事が出来た。

霜を落とすと、外の景色が良く見えた。落とした霜が、吹雪の中、バラバラと風に舞って行く。霜が、道路を挟んだ向かいの家へ飛んでいく。

向かいの家は4、5階建てのマンションだ。こちらの部屋も4、5階くらいの高さにある。
マンションの、こちらから見える側には、いくつもの玄関のドアが並んでいる。そのドアを結ぶ通路が、各階ごとに設けられている。

こちらと概ねの同じ高さの、4、5階あたりの通路を、一人の女性が歩いて行く。通勤か通学の為らしい。
マンションの建物の対角線を結ぶように、壁面に階段が貼り付いているが、その階段を女性が降りて行く。

砕けて風に舞う霜は、風に舞いながら、向かいのマンションの、こちらより少し低い位置へと飛んで行っている。ちょうど、階段を降りて行く女性に、霜が降りかかるかもしれない。

これはまずいなと思い、すぐに欄間から離れて、部屋の床に寝転がり、寝ているふりをした。窓ガラスには巨大な氷が張り付いていて、外からは見えにくいが、全然見えない訳でもない。

と、この部屋自体が、エレベータのように、降下し始めた。寝たまま視線を外に移すと、見る見る地上が近付いて来る。
部屋は、一階に到着し、降下を止めた。

部屋から外に出る。すると、部屋と同じ建物の一階に、温泉があった。その中に入って行く。

中へ進んで行って、細長い廊下を進み、脱衣所で服を脱ぎ、浴場へ向かおうとしたところで、急に時間が気になった。

大学には、2限から出ればいいのだったか。そもそも、今何時なのか?
壁を見れば、時計はかかっているが、奇妙なものばかりで、何時だか分からない。

はかりのように上に何かを乗せるような形のものもある。これも時計らしいが、目盛りも針も見た事もないようなもので、やはり何時なのかさっぱり分からない。デジタル時計もあったが、そこに表示されている内容はさっぱり分からない。

こんな奇妙なものばかりの時計の一つに、かろうじて読み取れそうなものがあった。アナログ時計だが、針が曲がっている。現在の時間は、午前9時……なのか?

これでは埒が明かないので、浴場に向かうのは止め、脱衣所から通路へ引き返そうとした。しかし、裸で出る訳には行かない。その為、脱衣所へ戻った。

----------------

ここで目が覚めた。
なお、この夢を見た時点で、筆者が大学を卒業してから、二十年以上経過している。

※この夢は2019年6月10日朝に見た夢である。

ヘッダー画像は、真冬の八甲田ロープウェー山頂公園駅。霜ではないが、繰り返し吹き付ける雪が、ロープウェー駅の巨大な格子に張り付いて、このような奇観に。この夢から覚めて、真っ先にこれを思い出した。

振り返ってみると、向かいのマンションも格子状であったことが印象深く、このようなタイトルとした。


サポート頂けると、全市町村踏破の旅行資金になります!また、旅先のどこかの神社で、サポート頂いた方に幸多からんことをお祈り致します!