竹さおをもって、走る。
この日は、急に、大お嬢(母)が、作物に絡ませる網をひろげて、準備しだす。蔓性の植物だ、きゅうりとか、ゴーヤなど。
まるで、漁師さんの網の整理みたいに。
二人で、両端を持って、広げる。
漁師さんの網の手入れは、もっと細い網で、補修とか、器用に直している。
そこまでは、いかないが、わかりやすいように、両側に、白い荷造りビニール紐を通して、まとめた。大お嬢は、足が悪いので、網の上を歩くとき、けつまずいて、転がらないように彼女の足元に視線が行く。
それと、愛用のサングラスを、置いたはいいが、どこに置いたかすぐ忘れるので、動きをチェックしていた。
それが終わると、作物の支柱作り。竹置き場に行き、「ここを切れ!」と言われた通りに、竹引きノコをだしてきて、切り落とす。
枝払いが、いい加減なものは、「枝払いを!」と。
納屋から、鉈をだして、枝の出た突起を、ぱすん、ぱすんと払っていく。
最近になって、私は、ようやく、竹の枝払いのコツを覚えたのである。
それを二つの束にまとめた。紐は、アルモンデの大御所であるから、畳のヘリにつかわれていたであろう、布の紐。さて、チイお嬢(姉)の車で運べるか?
長めのものは、絶対無理。短めのものでも、チイお嬢のことだから、いやがるだろう。
「あんた、明日の朝、畑まで運んでくれるか?」
「いいけど、今、運ぶわ・・」
それで、チイお嬢の家のすぐ裏にある畑を二往復、竹さおをもって、地下足袋、フード付きカバーのヤッケで、なんか、飛脚という言葉を思い出して、たかたかと、小走りで、運んだ。
場所は、「玉ねぎの植えてある脇におけ!」だった。
口には出さないけど、心の中で、「えっさ、ほっさ・・」
飛脚のようだ。
途中、薬師堂の近くの家屋が全面塗装をしている。そこの作業員の男の人が、「こんちは~!!」
まじか!!こちらも、「ちわ~!」と声を返す。
農業用水路は、カラッカラッ。乾燥注意報がでて、町内広報用スピーカーでは、「火の取り扱いに注意しましょう!!」と、流れていた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?