見出し画像

「デザイナー」に代わる呼び名

「デザイナー」という言葉が乱用されるようになったのは、別に最近のことではない。過去にはこんな記事を紹介したこともある。

記事の題名は"Recruiting a Designer? Here's What You Should Know"
「デザイナーを探している人が知っておくべきこと」
デザイナーという言葉はとても幅広いわけです。車などのプロダクトデザインもあれば雑誌のデザインもあり、web、アプリなどのデザインもある。この記事ではweb、アプリなどを対象にしたTech Industory(日本語ではIT業界なのですかね)での様々なデザイナーの役割について書かかれています。

https://www.lifull.blog/entry/2014/08/08/063127

をを、これはもう十年前の記事だ。
ここからさらにデザイナーの幅は広がり、サービスデザイナー、ビジネスデザイナー(これはあまり聞かないか)などなどとにかく世の中はデザイナーに満ちている。

問題は、

UXデザイナーとか、UIデザイナーとか作るものがちゃんと存在している間はよかった。ところが「デザイン思考」が普及した結果として「人にデザイン思考のワークショップのやり方を教示するが、自分では何も生み出さない」Helper(定義についてはこちら参照)までもが「サービスデザイナー」と名乗るようになってしまった。

つまり

今や自分では何も生み出さないデザイナーがはびこってしまっているのだ。

もっと言えば、UXデザイナーは確かにUXを設計するかもしれない。しかし表面的なUXの問題と解決策を語ることはできても、その根底にある問題には思慮が及ばず「それは本当の問題じゃないだろう」というところを突き回して、満足していたりする。

さらに別の分野に目を向ければ

たとえばサラ金を舞台にした漫画「ナニワ金融道」では「うまい絵を描きましたな」という言葉が出てきたように記憶している。つまり、サラ金だろうが、ファッションデザイナーだろうが、そうした素晴らしい「作品」を作り上げる人と、そうでない人がいるのだ。

私はここで「素晴らしい作品」と書いた。iPhoneは素晴らしい作品である。しかし考えてほしい。iPhoneはUXが素晴らしいだけだろうか?UIが素晴らしいだけだろうか?サービスが素晴らしいだけだろうか?それらより上位の「素晴らしい作品」なのではないか?iPhoneに限らず素晴らしい作品というのは単にUXでもUIでもない。しかしその名前のない分野で素晴らしい作品を作り上げる人、素養は確かに存在する。それができる人をなんと呼ぼう?デザイナーにこれ以上バリエーションを増やしたくない。

というわけでこの数日頭の中で呼び名を考えている。現在の候補はこの二つ

候補1:アーキテクト:システム構築の分野では全体設計をすることをこう呼ぶのではなかろうかシステムのアーキテクチャを設計する人がアーキテクト。ではアーキテクチャとは何か?いずれにせよこの言葉はもっと広く用いられるべきだ、というのは先日Matrix Reloadedを見ていて思ったのだけど。

候補2:ストーリーテラー:それが画面設計であっても、サービスの設計であっても、ただ「言われた通り作りました」ではなく、その人なりのストーリーを構築し、その結果が画面やらサービスの仕様となって可視化される。全てデザインするものにはその人なりのストーリーがなくてはならず、かつそれを「作品」を通じて人に伝えられなければならない。

こう書くと「ストーリーテラー」がいいように思えるな。というわけでこれからこの言葉を使います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?