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【3】サルでも分かる美術史・油絵具の発明

YOYO!! GOROだYO!!
なんと、前回の投稿から2カ月が経ってしまった。ごめんちょ(m´・ω・`)m

ソルゴローのローンチがあり忙しかったというのもあるんだけど、今回は結構ボリュームがあり、ちゃんと語ろうとしたら本を出版しないといけないくらい量が多い内容なので、あんまり書く気が起きなかったのだ~!!
\(^o^)/

結構長ったらしくなるので面白くないかもしれないが、興味があるゴロリアンは気合を入れて読み進めて欲しい🔥


【前回の復習】

地球上で起こった美術史のメインイベントは

むかし→油えの具ができる→便き→GORO爆誕 

の4つである。
「むかし」の時代では、美術の歴史とはテクノロジーの歴史である事、そしてテクが一番進んでいたのがヨーロッパだったので美術史=西洋美術史みたいになっている事を説明した。


では、美術の歴史=テクノロジーの歴史とは具体的にどういう事なのか❓
本編に入る前にこの辺りを補足説明したいと思う。



【独創性について】


こういった状況を想像してみてほしい。

あなたの息子、ごろうちゃんはタリバンに拉致された。 
タリバンの偉い人はこう言っている。

「これから、ごろうちゃん、あきらちゃん、まことちゃん、たかしちゃんの描いた絵を送る。もしごろうちゃんの絵を当てる事ができたら、アッラーの加護があったと信じ、ごろうちゃんを開放しよう」

あなたは考えた。
ごろうちゃんは私たち大人と違って何物にも染まっていない無垢で自由な心を持っている。わが子の描いた絵が私に見分けられない事があるだろうか?いや、ない。


そして絵が送られてきた。

タリバンから送られてきた絵


自由で独創的な心を持ったごろうちゃん・・・・
そう信じていたのに、絵を見た瞬間あなたは愕然とした。
どれもめっちゃ似とるやん・・・・!!
というか、個性まったくないやん!!!!

千と千尋の神隠し的な「この中に正解はありませんでした」とか、「全部まことちゃんが描いた絵でした」というオチでも不思議ではないレベルだ!
そう、意外と子供の絵ってどれも似ているのである。

あなたはタリバンの人に言った

「ふざんけんじゃねえ!!別の絵をよこせ!」

タリバンの人は親切に別の絵を送ってくれた。

タリバンから送られてきた絵 その2


今回はどうだろうか?きっとみんな一発でどれがごろうちゃんの絵が分かったと思う!!

この例でGOROが伝えたかった事は「子供の絵は自由で独創的」っていうイメージがあるけど、実際は超絶無個性でつまんない絵だって事だ!

そして、実はこれと同じ事が、プロの芸術家に対しても言える。

「芸術家は自由で独創的」というステレオタイプが一般にあるが、本当にそうだろうか?

例えば、美術史上最大の奇人と思われるレオナルド・ダ・ヴィンチ。
彼ほど有名な奇人・天才だとしたら、描く絵もさぞ独創的なのだろうという気がする。


では彼の絵がどれか見分けられるだろうか。

ルネサンス(1400年とか)の頃の人の絵


これらはダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ、そして比較的マイナーなフランチェスコ・サルヴィアーティのデッサンである。
4人中3人は有名人だから予備知識があれば識別可能だが、例えば予備知識がない状態でどれが無名の画家のデッサンで、どれが巨匠のものか見分ける事ができるだろうか?


似たような例を出して行きたい。
バロック時代(ざっくり1600年代とかそのへん)
全部黒くてめっちゃ似ている。
しかし、ルネサンスの頃よりリアルさが上がっているというか、絵がうまくなっている。4人とも天才中の天才と言われている巨匠だ。

比べるとそれぞれ個性があるんだけど、大雑把なスタイルとしてははっきり言ってどれも同じで無個性だ。

ルーベンス、ベラスケス、ヴァンダイク、レンブラント


次、ちょっとタイムリープして1800年代とかそこら
色が自然になっていて、さらに絵が上手くなっている!
恐らく人類が最も絵がうまかった時代。
例にもれず、大きなくくりと言うか、全体的な雰囲気としてはどれも似てる事は分かると思う。

アルマ・タデマ、フレデリック・レイトン、ウォーターハウス、ブグロー


次、面倒なので超ざっくりと1900年代
雑なチョイスだが、とりあえずすげーカオスになった事、
そして天才ピカソと言えど結構まわりの人と似ている平凡な絵を描いている事が理解できると思う。

ピカソ、デ・クーニング、マチス・ルオー

前置きがかなり長くなってしまったが、言いたかった事は
「芸術家って独創的なイメージがあるけど、実は時代によってめっちゃ描く絵似てね?個性なくね??」という事。 
そして、なぜ時代時代で描く絵が結構かわってるのかと言えば

「テクノロジーとかがいろいろ進歩したから」

だ!!!!

ちなみに、この辺りの事に興味を持ったゴロリアンは、

「秘密の知識」デイヴィッド・ホックニー著 青幻舎

を読むとより詳細な絵の比較とか、年表とかがついてて面白いと思う。
そして、油の具の発明がなぜ、美術史上における重要なテクノロジーなのか、いよいよ説明していくYO。



【油絵具の発明について】

なぜ油絵具の発明が美術史にとって重要な役割を果たしているのか? 
それは、油絵具という素材がかなり画期的だった。というのがもちろん一番の理由なんだけど

どんな美術の本にも描いていない暗黙の了解というか、絶対言っちゃいけない事をあえて言わせていただくと

「油絵具が発明される以前の絵って見るべきものなくね?」

って所が本質なんじゃないかとGOROは思っている。
無論、ゴシック美術の研究者とか、いろいろな立場の人から反論があると思うが、一芸術家、一個人のGOROの感想としては、油絵具が誕生する前の時代の絵は控えめに言ってつまらない。

では、具体例を挙げよう。
これが、油絵具が発明される前に人類が描いていた絵だ!!!!

ドーン!!!!!!!

昔の人の絵

どうだろうか。美術の本とか読むと大体  ”神秘的な色彩が・・・" とか ”堅牢な画面構成が・・・” とか褒めてあるし、気持ちはわかる。
しかし、非常に素朴な感情として「なんか下手じゃね?」 って思わないだろうか?(GOROは思う。)

自分の気持ちに正直になろう。油絵具を手に入れる前の人類の絵と、手に入れたあとの人類の絵、どちらが優れていると感じるか・・・!!!!

そう、油絵具というテクノロジーが開発される事で、人類は劇的に絵が上手くなったのだ。では、なぜ油絵具がそんな劇的な変化をもたらしたのか、退屈だとは思うがちょっとマジメな話をするYO👇
 

絵具とは、綺麗な色をした土とか、宝石を砕いたやつとか、炭とか、とにかく色がついたものに、描きやすいように液体を混ぜたものだと思っていただきたい。

ネットからパクってきた画像

例えば、その辺から土を持ってくる。その土に100均のアラビックヤマト糊を混ぜてみよう。すると、立派な水彩絵具の完成だ‼
土、という色の成分をアラビックヤマト糊で紙に引っ付けることができるからだ。  

しかし、この方法には弱点がある。水道で手を洗ったら、アラビックヤマトが溶けて無くなるように、この絵具で描いた絵は濡れたら消えてしまう!
しかも糊って結構すぐ乾燥するから、ぼかしたりとかが出来ないし、重ね塗りすると紙がドロドロになっちゃう。
もちろん当時、テンペラやフレスコといった他の描画技法もあったんだけど、基本的にはぼかしたりしづらい、描き直しができないといった点では似たようなものだった。

そこで、アラビックヤマトの代わりにもっと頑丈で、洗っても消えない液体ないかね?という事で使用されるようになったのが(ただし普通の食用油ではなく、リノレン酸やリノール酸といったカチカチになる成分が入ってる油)だったのだ!

しかも、油絵具は水で消えない上に、絵具が数日とか乾燥しないのでめっちゃぼかしてグラデーションを作れるようになった。 
また、乾燥しても油は無くならずガッチガッチに硬くなってくれるので、間違えても何度でも上から描き直す事ができる!

これがどれ程すごい事かは実際描いた事がないととなかなかイメージがしづらいかもしれないが、いままでウインドウズペイントしか描く方法がなかったのに、いきなりフォトショを使えるようになったイメージに近いかもしれない。

グラデーションつくれない
グラデーション作れる!

さらに、合わせ技として

・油絵具を描く為のキャンバスが発明され、気軽に絵を外国に持っていって人に見せたりできるようになった(みんな刺激を受けて絵が上手くなる)
・世界で初めてのレンズの製造がヨーロッパで始まり、カメラ・オブスキュラというなぞるだけで絵が描けるチート的な装置が発明された。
・遠近法の研究が始まり、3DCGの先駆けと言えるようなものの見方をする人達が現れた

などの理由により、人類はどんどん絵を描く事がうまくなっていく。
毎年新しいiPhoneが発売するみたいに、新しいテクがどんどん出てきたのでずっと停滞気味で大して画風に変化がなかった美術史が一変、人類が描く絵はどんどん変化・進化するようになっていった。

そして、最終的には写真機という最強の記録装置が発明され、普通にリアルな絵描く意味なくね?っという事でなんかいろいろカオスな事になったのが20世紀である。(初期の頃は写真家という職業が画家で成功できなかった人の受け皿ともなっていた)

ピエロ・デラ・フランチェスカが500年前に描いたCGっぽい絵。めっちゃすごくない?


カメラオブスキュラ後期型
余談になるがにデューラー(1500年ごろ)という画家はカメラ・オブスキュラの製造方法を知る為に海外まで旅をしたり、絵の練習をするよりどうしたら最強のチート装置を作る事ができるか?という事を探求していた事で有名。ある意味画家として正しい姿だったのかもしれない。


まとめると、

・油絵具が発明された事で、美術史が大きく動き出し、人類はどんどん絵が上手くなっていった
・人間が描く絵が時代によって結構似ているのは、使える技術の制約があったから。なのでどんな技術に出会えるかも意外と大事。    

って事だ!!

ちなみに現代ではアクリル絵の具というほぼ最強の耐久性を持っていて、乾燥時間を早くしたり遅くしたり自由に操作できる夢の様な絵具が存在している。
そして、GOROは昨年iPadを買った時、アクリル絵具を越える新しい時代の技術に出会えた事を強く感じた。 
もはや絵具を買う必要も筆を洗う必要もなく、無限の色と無限種類の筆を使って、ほぼ無限枚の絵を描く事ができる・・・物理的な制約を越えて世界中の人に瞬時に見せたり、売ったりできる。信じられない事だ。

今回は、制作者側視点から見た「技術的な部分」に重きを置いた話をしたが、次回は「美術」というものについて語っていくぞ。
最後まで読んでくれた君だけに、この言葉を贈りたい。

🔥STAY TUNED🔥

GORO



















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