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散歩していたおじいちゃんとの出会い

みなさんこんばんは。今日は不思議なおじいちゃんについてのお話です。

これは私が20代前半の頃、社会人となりまだ駆け出しの頃でした。その当時は建築関係の会社に就職しており、会社自体は10人程度の小さな会社でしたが、和気あいあいとした会社で楽しく働いていました。

ある日私は喫茶店の改装工事のために現場で管理の仕事をしていました。その日は店内の壁紙を貼り換えるために職人さんが3人来ていて、既存の壁紙を剥がしたり、下地を処理したりしていました。私は朝、職人さんに指示をした後は特にすることもないので、見ているだけでした。改装工事なので店内にあった椅子やテーブルを邪魔にならないように外に出して暇だったのでその椅子に座って外の景色を眺めてました。

椅子に座ってボーっとしていると一人のおじいちゃんが歩いて近づいてきました。おじいちゃんは私に「お店営業してますか?」と尋ねてきたので、常連のお客さんかなっと思って「すみません。改装中なので営業してないんです。」と言いました。話を聞くと常連さんではなく、近所を散歩していて気になったので話かけてきたみたいでした。それからおじいちゃんは私にいろいろ話をしてきました。私も暇だったのでおじいちゃんに付き合って会話していました。おじいちゃんは野球がすごく好きみたいで野球の話をたくさんしてきて、私も学生の頃は野球をしてたのですごく野球の話で盛り上がりました。さらに話を聞くと、おじいちゃんは普段は仕事をしていて少し前に体調を崩して入院してたみたいで、最近退院して体を動かすために散歩に出てきたみたいでした。年齢は70歳くらいの方で「仕事を辞めたいんだけど辞めさせてもらえないんだよね~」なんて言ってました。

野球談議で盛り上がっているとおじいちゃんが「今度野球のチケットあげるよ。」「いっぱいあるから。」なんて言うから「ホントですか?」「ありがとうございます。」と言って「今度連絡するから連絡先教えて。」と言われたので名刺を渡しました。名刺には会社の電話番号しか書かれておらず、携帯番号は載ってませんでした。

数日後、会社にそのおじいちゃんから電話がきました。「野球のチケットあげるから会える」って内容でした。まさか本当にくれるとは思ってもおらずビックリしたんですが、改装工事をしていた喫茶店で待ち合わせることになりました。さすがに手ぶらでは行けなかったのでケーキ屋さんでケーキを買っていきました。到着するとおじいちゃんが居たのですが、以前会った時と印象が全く違いました。以前会った時は、散歩してるおじいちゃんって感じだったんですけど、その日は、スーツ姿で偉い人って感じでした。その頃はまだ20代の若造だったので偉い人って感じだったけど以前と変わらず会話をしました。おじいちゃんは本当に野球のチケットをくれたんですが、手元にはたくさんのチケットがあり「どれがいい?」って聞かれました。私は疑問に思って「なんでそんなにいっぱいもってるの?」って聞きました。すると「会社でいっぱいもってるんだよ」って言ってました。会社で持ってるって言っても多すぎるぐらい持ってたので、おじいちゃんの仕事を聞いてみました。そしたらなんとおじいちゃんは、

某有名新聞社の専務だったんです。

(こちらの地域では超有名。チーム名と会社名が同じ!)

「それはいっぱい持ってるわ!」っと納得。てか、めっちゃ偉い人じゃん!!

こんな若造が普通に会おうと思っても会える人ではないし、なかなか会話できる人ではないです。さすがに私もメッチャビックリして恐縮してしまいましたが、おじいちゃんは変わらずフランクに話をしてきました。そのあと「今度美味しいお魚料理食べに行こう!」と誘われました。私は返事をしたもののさすがに有名新聞社の専務と小汚い恰好をした若造は釣り合わないと思いました。私はお礼を言い買ってきたケーキを渡しました。おじいちゃんは「こうゆうのはもう辞めてね。」と渋々ケーキを受け取ってくれました。こんなケーキいつも食べてるんだろうな。もっと高いケーキにすればよかったと少し反省しその日は別れました。

その後おじいちゃんとは連絡は全く取らずに(てか、そんな偉い人にこちらから電話できないし。)一年ぐらいたちました。

そしてある日、会社に戻ると事務のおばちゃんが、「○○さんっていうおじいちゃん知ってる?」と聞かれ最初は誰かわからなかったんですけど、「あっ!あのおじいちゃんだ!」と思い出しました。なんで事務のおばちゃんが知ってるのか不思議に思ってると、「今日○○さんって方から××君(私)いますか?」って電話があったんです。「いないと言ったらまた電話するとの言ったので、失礼ですが××とはどうゆう関係ですか?」と聞いたら、おじいちゃんは

トモダチです!

と答えたそうです。

チケットを貰った後おじいちゃんはまた体調を崩して入院していたらしく、連絡が取れなくなってしまって私に申し訳ないと思って会社に電話をしてきたらしい。会社の人達はおじいちゃんの友達って何?って不思議に思ったらしく会社のなかで話題になって私に変な趣味があるんじゃないかと心配してたみたいです。すべての事情を説明したら納得してもらえたのですが、「野球のチケットもらってきて~」っとみんなに言われました。

その後、そのおじいちゃんとは連絡取ることもなく現在にいたります。今思うと、会社では超お偉いさん扱いしかされないので、お偉いさん扱いしない若造と会話することがうれしかったのかもしれませんね。(勝手に思ってる)まさかトモダチと思われてるとは思いませんでしたけどね。





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