見出し画像

ポジティブ思考という落とし穴

「どうしても不安になってしまいます、前向きに考えられないんです」
私たちは患者さんと接していてこのようなことをよく聞く機会がかなりあります。不安になることはいけない事でいつでも前向きになるべきだと考えての事でしょう。

心の健康と言うと、いつでも明るく、前向き、笑顔でハッピーな状態を保つことだと考えている人がいますが、ここで言う「心の健康」とは「ポジティブになりましょう」という事ではありません。もっとも感情をいつでも快楽状態に置くことはまず不可能です。(ドラッグ以外は)

確かに何かと前向きに物事を考える人や不安よりも好奇心が勝ってしまう人はいますが、それは不安に反応を起こしにくい脳の構造を持っている人だけです。(このタイプは冒険家、登山家に多い)そんな彼ら彼女らさえも不安になることはあるし、悲しい時は悲しいのです。
ですから、悲しむ自分、不安になる自分はごく自然なことですし何も間違っていません。

私たち日本人はそもそもセロトニントランスポーターが少ない種族であり不安に対して敏感な種族です。誰かが励ましてくれても、なかなかテンションが上がらない…そんなときは無理やりテンションを上げようとしないことです。

そうかと言ってセルフ反省会を盛大に開催し、いかに自分がいかにダメだったかの追求も行うべきではありません。湧いてきた感情は天気と同じで自然現象です。無理に操作しようとせず、待っていればやがて雨はやみます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?