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半月板

半月(半月板)は膝の関節内にある線維軟骨です。
大腿骨と脛骨の隙間を埋め、床からの反力を吸収するクッションの役割があります。またどこにどのような圧力がかかっているのかを感知する感覚システムでもあります。半月板は圧力感知センサーが内蔵された衝撃吸収材だと言えます。

血管分布

成人の半月では外側の15~20%にだけ血管分布があります(2010,Beaufils)。膝窩動脈の分枝である、内側下膝動脈と外側下膝動脈によって栄養されています。出生時には半月全体(100%)に血管分布があるのですが、成長に伴い血管分布のないゾーンが半月中央で発達し広がっていきます。血管分布のないゾーンでは滑液によって栄養されています。

神経支配

伏在神経、閉鎖神経、脛骨神経の神経支配と考えられますが、詳しくはわかっていません。一応、全て疑ってかかればよいと思います。

神経支配においても血管分布と同様に外側約1/3に密集しています。また固定点となる前角と後角にも密集しています。これらは圧力を知覚する神経(深部感覚)と侵害刺激を知覚する能力があります。

半月中央部は神経支配が疎であるため、無自覚のうちに疲労性の微損傷を受け、コラーゲンの集積が起きて固着している可能性があります。

可動性

半月の可動性が低下すると、大腿骨と脛骨の緩衝に対応できなくなり損傷する可能性が高まります。

半月は膝運動の時、以下のように動いています。

・屈曲時に両側半月は後方へ
・伸展時に両側半月は前方へ
・外旋時に内側半月は後方へ、外側半月は前方へ
・内旋時に内装半月は前方へ、外側半月は後方へ

大腿骨顆部と一緒について行っていると覚えればよいと思います。

膝の運動に伴って半月が動けていない場合、半月が損傷を受ける可能性があります。例えば急なターン、ストップなど膝関節の動きが速く、半月が動きに付随できないケース。不意な外力、タックル、交通事故など膝が他動的に動かされたケースなどです。

可動制限を起こす原因

半月が関節内で動きの固着がないこと、形を変えて運動や外力に対応できる柔軟性があるということが重要になってきます。

では半月の動きを邪魔するものは何でしょうか?それは半月を固定しているものの硬さが原因になることがあります。固定しているものとして以下のものがあります。

MM:内側半月 LM:外側半月
  Pop:膝窩筋  8:膝横靭帯  9:半月膝蓋靭帯  10:膝窩筋腱  11:半膜様筋腱  12: 後十字靭帯
( I.A.KAPANDJI )



半月の生理的動きを妨げる可能性があるため、これら内側側副靭帯、膝窩筋、半膜様筋、後十字靭帯、膝蓋骨の可動性も考慮しなくはいけません。ジャン=ピエール・バラル(Jean-Pierre Barral)氏によれば大腿二頭筋も外側半月に筋線維をおくっていると言っていますので、これもチェックリストに入れておくべきでしょう。


損傷と機能障害の違い

半月の損傷は壊れることで、機能障害は動かないことです。

損傷であれば破損し出血し炎症が起きます。

一方、機能障害は可動性が低下している状態です。顕微鏡レベルのマイクロな損傷があるのかもしれませんが必ずしも出血、炎症、疼痛があるわけではありません。半月の機能障害に陥ることで、大腿骨顆部の動きに対応できなくなり損傷を起こすリスクが高まります。


半月損傷のその後

半月損傷のある人では足底アーチや股関節、仙腸関節など膝以外の衝撃吸収器官に気を配っておく必要があります。なぜなら半月板断裂があると膝関節の衝撃耐性が低下し、時間の経過によって股関節、仙腸関節、腰椎に変形を引き起こすからです。
サスペンションが壊れたままだと車のフレームも次第に壊れてくるはずですよね。それと同じようなことです。

通常歩行で膝関節にかかる圧迫力は体重の2倍から3倍に達すると言われています。半月は骨との接触面積を約3倍にすることによって、歩行時の圧迫力を50~70%吸収しているのです(2010,Beaufils)。

半月に損傷があれば圧迫力を分散する能力を低下させ時間とともに軟骨の変形(変形性膝関節)に移行します。すると歩行時の反力が膝で分散されないため、股関節、仙腸関節、腰椎への衝撃が増えることになるのです。

また時間の経過は膝関節周囲の筋膜を硬くしますが、これは自然のサポーターとなって機能している可能性があります。したがって「やれやれ膝周囲が硬くなっているなあ」と思って局所的に膝周囲の筋膜をリリースすると悪化することもあります。リリースする際は慎重にならなければいけません。


徒手検査


マックマレーが陽性となるのは35%だけです。感度の高い(特異度は最も低い)評価法は関節裂隙から半月板を押して痛みを誘発するテストです。

が、実際には圧迫や剪断など痛みを誘発するテストを組み合わせて評価の確実性をあげ、疑わしきは画像診断が必須です。


徒手テクニック

内側半月板の固着、また損傷に伴うロッキングはマックマレーテスト動作が矯正にも利用できます。

まず膝屈曲の状態から外旋外転させ関節内側を開きます。
次に内側半月に圧を加え、保持したまま膝を伸展内旋させます。
※患者は痛みに怯えるので慎重にゆっくり行う。
※場合によって伸展のフェーズは患者の自動運動で行ってもよい。

外側半月の場合は内外旋のパラメータを反対にし
半月板の後方損傷なら屈曲と伸展のパラメータを反対にします。

チェックリスト

原則として損傷しているものは徒手テクニックの適応にはなりません。したがってまずはしっかり鑑別することが最初のステップです。もし損傷のないか、あっても軽微なものであれば半月と半月に付着する組織の可動性をテストします。

□半月板、その他靭帯損傷の既往歴
□大腿骨‐脛骨関節
□脛腓関節
□膝蓋骨
□後十字靭帯
□半膜様筋
□大腿二頭筋
□伏在神経
□閉鎖神経
□脛骨神経

※整形外科での診断が済んでいない場合
□半月板損傷の鑑別
□変形性関節症の鑑別


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