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やっぱドラマって最高。VIVANTのスケール感に呑まれろ

今クールは最高だ。 この夏の夜は、 最高にドラマティックだ。


今期出揃ったドラマたちはどれも熱く、どっぷりとその世界観に浸れるものばかりだ。
中でも一際存在感を放ち今クールドラマを牽引するのは堺雅人主演の「VIVANT」だろう。


日曜21時、「日曜劇場」と冠せられるその枠には、やはり"theater"であるだけあってこれまで人々を勇気づけるサクセスストーリーや人どうしの絆を描いたハートフルストーリーが名を連ね、茶の間のひと時を彩ってきた。


多くの良作品を輩出した日曜劇場の中でも、その歴史に今も名を刻むのが池井戸潤原作の「半沢直樹」であること周知のことであろう。


"シゴデキ"バンカーの痛快な逆襲劇は、いささか過激ではあったものの、「弱いものにはを差しのべ、人との縁や恩を信念に揺るぎない姿勢で悪を葬っていく直樹の姿は、月曜からまた一週間を控えるサラリーマンたちの一筋の光であったはずだ。


その「半沢直樹」以来の福澤克雄監督と堺雅人の最強タッグが再び。これだけでも期待値大なのに、事前のプロモーションでは内容公開は一切無し。与えられたのは、モンゴルでの過酷な長期ロケがあったということのみ。


そんな中迎えた初回放送は、脅威の108分。
しかしそんな掟破りな枠を裏切ることなく、規格外なスケールの内容と演出に、NETFLIX SERIESと言われても遜色ない作品だと1話にして確信した。



これぞ日曜劇場の意義。 月曜から始まる仕事や一週間、 何かと憂鬱になりがちな日曜の夜は ハラハラしてスカッとして、 そんな心震えるコンテンツが きっと社会には必要だと信じている。


ひとつの事件をトリガーに、 次々と事件が珠々繋ぎに起きて、 得体の知れない大きな渦へと 呑み込まれていく。 半沢直樹のときは若すぎて、金融の知識も無かったけど大人になって、 今回の商社舞台とした内容でもある程度スっと入ってくるようになった。

半沢直樹再来?と思ったら全く違った。 ナショナリズム、 宗教、 慣習。 そういう文化的要素も複合的に絡み合って、 それを上手く駆使されていて 最高に"エンターテインメント"だった。


Netflixと比較されがちかもしれないが、日本のワンクールドラマでこれが 見られるのは凄いことやし学んでる身としては 非常に勉強になる作品。

特に、気になったのは国民性のも定義について。人種を超えた人との繋がりだったり、大使館に入った瞬間他国は手を出せず、治外法権が適用されたり同じニッポン人、つまり同胞なのに裏切るとか裏切られる、だったり.....

「ニッポン人」とか○○人とか、そういう国境で人類を分類するのって違うのかもなと、1話2話を通して痛感した。


そしてこの作品、やっぱり錚々たる役者陣の演技どころも見逃せない。

堺雅人は、あれだけ頭のキレる"絶対仕事果たすマン"で、いちリーマンと思えないほどの威厳と睨みだけで人を屈せてしまえそうな覇気と肝の座ったバンカーだったのに、前髪が下りた瞬間あんなにも弱々しくたどたどしくなってしまうのかと、その演じ分けの器用さを目の当たりにし、彼の役者としての功績がまたアップデートされた。



そして、鍵を握るのは阿部寬。この人は本当にTRICKの上田次郎からドラゴン桜の桜木建二まで何でもこなせてしまって信頼しかない。
今回の役はありえんほどにクレバーで、とにかく語り尽くせない。

蒸し暑い夜も、ドラマで乗り越えられそうだ。


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