65年前に思いを馳せる
恋人と初めて万博記念公園を訪れた。
65年前に開催された博覧会は、2年後に迫る2025年に大阪府夢州で再び開催されることになった。
大阪府民たるもの、一度は巨匠・岡本太郎の最高傑作『太陽の塔』を拝み事前予習せなばならんだろうということで足を運んだ。
そもそも何故開催されたのか、何故こんなにも重きが置かれるのか。
65年前にも、来たる2年後にも思いを馳せる人が今も多くいるのは何故だろう。経験したことの無い私は考えていたけど、当時はテレビの普及もまだまだで世界各国の情報は疎か、その土地の文化や根付くナショナリズムがどのようなものか知る術が無かった。だからこそ、世界の最先端技術、カルチャーが一堂に会するこの万博は、当時の人にとって必要だったし際限ない「夢」だったんだろう。
当時の入館料は、大人1人800円。格安と思いきや、現在の価値に換算すると3600円ほど。当時の平均月収は5万円だったことを踏まえると、そのうちの800円はかなり高価であったに違いない。
それでもきっと、汗水流して一生懸命働いてたんだろう、家族だったり恋人だったり、仲間だったりとここで夢を見るために。
金銭面でも情報面でも今より豊かな暮らしじゃなかっただろう。それでも、「この時代を生きてみたかった」と一瞬の観覧の内にも思いを馳せてしまえるほど、時代を彩るこの博覧会には、きっと大きな夢があった。
今じゃ当たり前に食卓に出てくる食文化や、各国の色・アイデンティティを、私たちは手のひらで容易く握れてしまうし、知った気になれてしまう。そういう意味で、もしかすると今を生きる私たちは貧しいのかもしれない。
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