詩 無題

泣いてる人の横を素通りできる人なんです わたし
優しい顔したら偽善者みたいでしょ
あざといかまってちゃんは苦手なんです わたし
みんな面倒なんだもの

でも心の中では一緒に泣いています
胸の内では一緒に悲しんでいます
そうですわたしは逃げています
遠くで 遠くで みんなを遠巻きに眺めています

怒ってる人を心にもない言葉でなだめるんです わたし
逆撫でしたらいけないからね
叫んでる人を避けて通ってしまうんです わたし
だって面倒なんだもの

でもお腹の中は煮えくり返っています
隣で似た思いを抱えます

わたしはいつも祈っています
胸の内では 胸の内では
そうですわたしは逃げています
面と向かって いい人になる勇気が無いのです

まぶたを閉じて 手を合わせ
まるで死んでいるように
ベッドの上で仰向けです

ところがどっこい生きている
生きた祈りが届くのを
今か今かと待ち続け
だからどうか だからどうか
逃げるわたしを責めないで
祈る彼らを蔑まず
だって腹の奥のことは 嘘のつきようがないでしょう

#詩