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【#ガーデン・ドール】俺の物語 -陸-

力が欲しいレオ。
その先に何が待っていようとも、彼は止まることはないんでしょう。
未来のための力。



とある夜。
いつかの日と同じように、灯りの点いていない部屋を照らすのは窓から差し込む月の光だけで、レオはひとりベッドの上で胡坐をかいていた。
以前は何もなかった部屋の中には、木の両端に重そうな石が付いたものや、少しの本が机の上に増えていた。その中の一冊だろう、新しい教科書のようなものが広げられていた。
まだ受け取って間もないのか、一度開かれたような形跡を残しているだけでそのまま放置されているそれには、反射魔法が掛かっており、わずかな月明かりで天井を照らしていた。

「まだ使っていないのは……、幻視と分配か」

小さく呟くがその目は閉じられたまま。
魔法はイメージだ。イメージが固まれば固まるほど、発動は成功しやすい。と、思う。
あまり鏡を見ることのない彼は、傍らの教科書で自身の顔を確認したのだろう。そしてレオは想像する。

身長、体格、髪型、表情。

背は他のドールと変わらず。
体格は最近の鍛錬のお陰か、少し良くなった気がする。
髪はそのまま、自然に任せているのであちこちに跳ねている。
瞳は、金と紫。

「『幻視』」

レオは目を開ける。
そこには、同じく胡坐をかいて、真剣な表情でこちらを見つめる自分がいた。

それは新たに覚えたクラス魔法、幻視魔法の成功を意味していた。
ひとつひとつ、積み上げていくその鍛錬は一体何に必要なのか。

その先に待つ結末は、果たして。



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トロメニカ・ブルブロさん

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