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再生可能/クリーンエネルギー③太陽電池/ペロブスカイト太陽電池を学ぶ

◆再生可能エネルギーの拡大は「2050年カーボンニュートラルの達成」に向けて必要不可欠

◆再生可能/クリーンエネルギーの種類とそれぞれの特徴を知ろう!

(1)太陽光⇒NEDO新エネルギー部
太陽の光を使った発電方法
・太陽光発電に使われるシリコン半導体には、光が当たると電気が発生する特性がある
・日本は2022年末の時点において中国、アメリカに次ぐ世界第三位の太陽光発電の累積導入量
・非常用電源としても使用可能。
・送電設備のない場所での電源として使える。

(2)風力
「ブレード」という羽がついていて、そこに風が当たることで回転し、そのエネルギーを電気へと変換する仕組み
・陸上でも洋上でも発電可能
・風があれば夜間でも発電が可能
・大規模な運用ができれば発電コストを抑えられる。(火力発電並みと言われています)
・風のエネルギーは効率性が高く、電気エネルギーへの変換率が良い

・風力発電の課題
風力発電は風に左右されるため、太陽光発電と同様に安定供給面で弱さがある

(3)水力
天候や気候などの自然条件に関わらず、安定したエネルギーの供給が可能。
・一度発電所を作れば、長期スパンでの稼働ができる。
・長い歴史のある発電方法であるため、技術やノウハウが充実している。

水を高いところから低いところへ向けて勢いよく流し、そこに設置してある水車を回転させることによって発電
・私たちの住む日本は豊富な水資源を有すため
水力発電は昔から盛んに行われ、国内のみでまかなえる貴重なエネルギー源です
ダムでの大規模な発電だけでなく、河川や農業用水などを利用した中小規模の発電も含め、日本全国で幅広い規模が展開されている
2022年の日本の水力発電は、全発電電力量の7.6
%で、2020年を下回っています。

・初期費用がかかることが大きなネック
・投資額の回収に時間がかかってしまうため、運用に着手し難い
・ダム式などの大型水力発電は、環境への影響なども調査が必要となり、地域や地元住民の理解も必要となる。

(4)地熱⇒NEDO再生可能エネルギー白書
地下のマグマを熱源とした発電方法
・マグマは地下1,000〜3,000mに存在し、地上で降った雨や雪がマグマ層まで浸透するとマグマの熱で蒸気となりその場に留まります。
・高温の蒸気を掘り出して、タービンを回すことで発電するのが一般的な方法です。
フラッシュ方式とバイナリ方式の2種類の発電方法がある。
フラッシュ方式(蒸気発電方式)
地熱貯留層から約 200~350℃の蒸気と熱水を取り出し, 気水分離器で分離した後,その蒸気でタービンを回して発電

バイナリー方式
80~150℃の中高温熱水や蒸気を熱源として低沸点の媒体を加熱 し、蒸発させてタービンを回して発電

(5)太陽熱
太陽の熱エネルギーを集めて熱媒体を温めることで、給湯や冷暖房の運転エネルギーを作る方法で太陽光発電とは異なる仕組みです。
・主に給湯や暖房に使われるのが基本
・機器の構造が単純なことから、比較的昔から幅広く利用されています。
・太陽のエネルギーを利用するので、エネルギー源そのものの導入コストは永久的に無料
・システムが簡単なので、専門知識などがなくでも手軽に導入が可能。
・太陽熱利用システムは初期導入コストが高く、家庭用で数十万円、業務用では数百万円規模になる場合もある為、普及にはコスト低減が課題となっています。


(6)大気中の熱その他の自然界に存在する熱
●地中熱
地面から200m程度ぐらいの深さに溜まっている熱を利用
・夏場の外気よりも低く、冬場の外気よりも高い熱になるので、この温度差を活用して「給湯や冷暖房」のエネルギーにするのが地中熱利用です。
ヒートポンプ、ヒートパイプ、水循環、空気循環、熱伝導の5つの方法があり、シーンに合わせた様々な活用方法がある。
・外気温に左右されず利用することが可能なエネルギー源。

・冷暖房時に熱を屋外に放出しない構造なので、ヒートアイランド現象になり難く、稼働時騒音が非常に小さい。
・初期コストが高く、設備投資の回収に時間がかかるのが課題です。

(7)バイオマス(動植物に由来する有機物)
化石燃料以外の、動植物などから生まれた再生可能資源を利用する
・イオマス燃料を燃やして熱せられた蒸気でタービンを回すことで発電する方法
・太陽光発電などと違い天候に左右されず、燃料さえあれば安定して電気を供給できる発電方法として注目されつつあります。
・日本国内のバイオマス発電は全発電電力量の3.2%。

・廃棄物を燃料にできるため、廃棄物の減少や再利用に貢献し、循環型社会を推し進められる。

・木材や家畜の糞尿などが燃料となるため、国内で捻出しながら燃料不足になりにくく安定供給が可能。

・火力発電の一種のため二酸化炭素排出はあるが、燃料となるバイオマスが燃焼時に排出する二酸化炭素と同量の二酸化炭素を吸収しているため、大気中の二酸化炭素量を増やすことにならない。
・バイオマスに用いる燃料(資源)は、広い地域に分散しているため、収集や運搬及び管理にコストがかかる点が課題となっています。

上記の7種類
(施行令第4条)

その他
●雪氷熱
・冬期に降った雪や、外気で凍らせた氷を保管しておき、冷熱が必要となる夏場などに活用する再生可能エネルギー
・倉庫に雪や氷を貯蔵して野菜などを保存したり、氷を冷熱源として建物の冷房に利用
0~5℃のチルドと呼ばれる温度と適度な湿度を保つため、食物の保存に最適。
夏期の冷房にする場合、一般的な電気冷房に比べランニングコストが約1/4程度ですむ。
・夏場まで雪や氷を貯蔵するのはとても大変で、集めたり運搬したりする費用が掛かる為、その利用は現状では限られています。

●温度差熱
・地下水、河川水、下水などの水源を熱源とするのが、温度差熱を利用。
・夏場は水温の方が低く冬場は水温の方が高いという特性を活かし、水が持つ熱をヒートポンプによって給湯や冷暖房のエネルギーに変換する
・熱源が身近にある為、都市型の供給源として期待が高まっている。
・給湯や冷暖房以外にも、温室栽培などの農業利用が高まっている。また、融雪用熱源などへの利用も可能な為、その活用が期待される。

バイオマス発電市場予測

「太陽光発電」と「太陽電池」について

●日本の再エネ拡大の切り札となるか!

政府も技術開発に大きく力を入れているこの次世代型の太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」とはどんなものなのかを学んでいきましょう

●ペロブスカイト太陽電池とは?今までの太陽電池とどう違う?

私たちが暮らす日本は、平地面積が他国と比べて圧倒的に少なく、太陽光発電の設備を設置するためには物理的に適地の制約があります。

そこで、次世代の新規太陽電池材料として期待を寄せられ、再生可能エネルギーの更なる導入に向けて注目されているのが「ペロブスカイト太陽電池」です。

太陽電池というと、真っ先に黒の大型パネルが広い土地に並べてある光景や、一般住宅の屋根やビルの屋上などに設置されている風景が思い浮びますよね。
それらは現在の日本でもっとも普及している太陽電池で、そのシェアはなんと95%に達しています。


ペロブスカイト結晶構造の材料
NHKニュースより/2023年5月
極薄のフィルムに「ペロブスカイト」と呼ばれる
結晶の構造をした物質を塗ることで、太陽光を電気に変える
NHKニュースより/2023年5月
機能的にはもうこの状態で発電が可能だが
屋外に出すとすぐに劣化して使い物にならなくなる為
フィルムを保護する研究/技術開発が課題
「積水化学工業」ペロブスカイト太陽電池グループ

●太陽光発電の特徴

●枯渇の恐れがない。
製造・廃棄時を除き地球温暖化に影響するCO2や、大気汚染物質が排出される心配がない。

●発電量が日射により変動するため,季節や天候の影響を受ける。

●火力発電などと同等の大きな電力を得るには広大な面積が必要になる。

太陽光のエネルギーを直接電気に変換して利用する太陽電池は、私たちが暮らす一般家庭にも多く導入される規模に拡大されました。

太陽電池は原料として使用されている「半導体」によってさまざまな種類があり、近年急速にその開発が進んでいます。

中でも、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を持つ化合物を用いる「ペロブスカイト太陽電池」は、塗布や印刷技術で量産が可能な為、歪みに強く軽い太陽電池の実現が期待されています。
その為、これまでシリコン太陽電池では設置できない場所に設置できることが期待されおり、
太陽電池に匹敵するエネルギー変換効率を達成している事からも、本格的な実用化に向け世界中で研究が進んでいます。

2009年にこの画期的な太陽電池を最初に提案したのは、宮坂力教授「富士フイルム株式会社」に在籍していたこともあります。
既存の太陽電池よりも低価格
フレキシブルで軽量なため設置場所が容易

◆実用化に向けて

現在、特定の条件下であれば、ペロブスカイト太陽電池の発電効率は20%を超えて、従来型に近づいてきました。
一方で、厳しい環境の屋外に長時間置いた際の丈夫さでは、シリコン型には及びません。
しかし、窓や車体に貼る、屋内で小型家電の電源として使うなどの用途では、屋外に何十年も放置する従来型の太陽電池と同じ強度は必要ありません。
宮坂力教授は「シリコンとペロブスカイト、それぞれの得意な場面で使い分けていけばいい」とみます。

 技術は、開発から実用化段階へと進みつつあります。企業が研究も兼ねて、駅の壁などに大規模に設置する試みを始めました。軽さという強みから、人工衛星や飛行機に搭載する研究も進んでいます。宮坂力教授は研究の傍ら、講演などで積極的にこの技術の発信を続けています。
「ペロブスカイト太陽電池は、製造法のコツと呼べるような中心技術が日本にある。日本が世界の中心に立てる次世代技術だと多くの人に知ってもらいたい」と語ります。
2022年11月27日東京新聞/より引用

次世代型太陽電池の「開発詳細」については下記リンクを参照ください。
NEDOGreen Japan/Green Innovation」

👇積水化学工業⇒詳細HP
国内で初めてフィルム型ペロブスカイト太陽電池を大阪本社リニューアル工事に伴い、実装したと2023年10月5日発表している。
また、大規模リニューアル工事を実施中であり、2025年4月に完工予定。
当該工事に合わせてペロブスカイト太陽電池を壁面に設置することで、ビルの環境負荷低減に加え、ペロブスカイト太陽電池による発電量のモニタリングや経年変化など、長期的な品質評価に活用するとの事。

次世代型太陽電池の実証事業/積水化学工業HPより

👇パナソニック ホールディングス⇒詳細HP
2023年8月31日にガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池のプロトタイプを開発したと発表し、技術検証を含めた1年以上にわたる長期実験を24年11月29日まで実施中。
また、三井不動産レジデンシャルとの協業もしている。

ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池のプロトタイプ
パナソニック ホールディングスHPより
30cm角のグラデーションモジュールのサンプル
パナソニック ホールディングスHPより

◆主な関連企業ひとまとめ

・トヨタ自動車株式会社/7203
エネコートテクノロジーズと共同開発

信越化学工業/4063

積水化学工業株式会社/4204

パナソニックホールディングス株式会社/6752

三菱マテリアル株式会社/5711

日本ガイシ株式会社

株式会社リコー

株式会社アイシン/7259

株式会社カネカ/4118

豊田合成株式会社/7282

ニチコン株式会社/6996

ホシデン株式会社/6804

日本精化株式会社/4362

マクニカホールディングス/3132

カネカ/4118 

日揮ホールディングス/1963
国内初、物流施設に「ペロブスカイト太陽電池」を設置する実証実験の開始を決定
(2023年10月)
【どこでも発電所】日揮が提案する次世代型「ペロブスカイト太陽電池」のシート工法【イメージ動画】👉YouTube

ウシオ電機/6925

シャープ/6735

サムコ/6387(ALD装置)

星光PMC/4963(銀ナノワイヤ)
(2023年末上場廃止となっています)

伊勢化学工業/4107(主要原材料)

K&Oエナジーグループ/1663(ヨウ素生産)

フジプレアム/4237

堀場製作所/6856

●未上場関連企業

・イムラ・ジャパン株式会社

・株式会社エネコートテクノロジーズ
(三菱マテリアル/日本ガイシが出資)
(トヨタと共同開発中)
2019年第15回『コンソーシアム研究開発助成金』環境・エネルギー部門にて優秀賞受賞

・GSアライアンス株式会社

◆ペロブスカイト太陽電池の補助金制度

ペロブスカイト太陽電池は、日本で発明されたにもかかわらず、
世界各国ではいち早く大きく動き始めており、
特に中国などを中心に大量生産への動きもあります。
海外メーカーと国内メーカーの市場競争は更なる激化が予想されている。
このような世界情勢を受けて、日本政府も開発支援に力を入れ始め、「2025年の実用化」を目指す方針を2023年10月に発表している。

●日本政府の動き

●日本政府は、「ペロブスカイト太陽電池」の開発に向け、令和6年度にはさまざまな補助金制度を行う予定。
「資源エネルギー庁」 GXサプライチェーン構築支援事業について。
「ペロブスカイト太陽電池」の世界における競争力を付けるための支援として、
資源エネルギー庁は、GXサプライチェーン構築支援事業を行うべく、概算要求 を行っている。

●開発事業予算を150億円増額
経済産業省は、増額含め計648億円の予算で、「ペロブスカイト太陽電池実証や大型化」を支援し、社会実装を早めることを目指す。

国内企業出願件数順位
株式会社エネテクより
米国/欧州出願件数順位
株式会社エネテクよりあ
特許庁/出願動向調査
テーマ名:「ペロブスカイト太陽電池」より

◆曲がる太陽電池、電力買い取り優遇 経産省

2024年3月7日、「経済産業省」は再生可能エネルギーの電力を高く買う固定価格買い取り制度(FIT)で、軽くて曲がる次世代の太陽光発電装置「ペロブスカイト型」を優遇すると発表した。
2025年度にも同型による発電をFITに加え、
通常の太陽光発電より高く買い取り、新技術への民間投資を促し、日本の再生エネの拡大につなげ、
FITでの優遇により、日本勢の関連ビジネスの競争力を高めるとしている。

今回はクリーンエネルギーのひとつである
「ペロブスカイト太陽電池」のみなので、
無料設定です。
全てのクリーンエネルギーnoteは、
ワンクリックでサイトに飛べる「マインドマップ」を添付して後日アップします。

最後まで読んで下さりありがとうございます!

新規参入、企業IR、政府追加予算などについては、追記していきます。

gorodon_lapin🐰
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