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花葬の季節

差し伸べた手
まるで 深く呼吸するように 沈んで行く

この身体から 溢れ出すものは そう
いつだって ありふれた 気持ちだったのに

騒々しい夜に 花々が疼き出す
花葬の季節 運命が廻りし 殉教の印
それは 幽玄の夜空から降る 流星の飛跡

満たされた 空白の宇宙
寄り添う 肌
どこまでも あなたとの境界は
咲き乱れた花々のように
境界の無い 夢心地

どうして?
この世の理は いつだって
そう あなたを抱き締めて 感じる
この温もりの意味を隠してしまうの?

ねぇ それでも
この世界の輪廻は いつでも
そう あなたのその瞳に隠された感情を
隠してしまうから

降り出した 花びら
命が可憐に散って 煌々と照らす月明かり
それは終焉を報せる 殉教の刻
それでも あなたの表情は 何処か上の空で
この遥かな時間の流れに揺蕩うから

この世に置き去りにされる
一途な淋しさを どうか 解って欲しいから
ねぇ 独りぼっちの 夜に咲いた
花々の恍惚と 一緒に 眠っていたかったの

そう 独りきりの 夜の帳に

どうして?
この世の理は いつだって
遣り切れない 想いの澱を胸に
輝かしい未来の約束を 隠してしまうの?
ねぇ どうして?
この世界の輪廻に 絡まった赤い糸
きつく抱擁して 確かめ合った
狂おしい程の 優しさに包まれながら
この生命 絶え行く 最中で

降り出した花びら
それは鮮やかな 花葬の季節
あなたはそうして また去って行くの?
またひとつ またひとつ
季節が過ぎて また廻り逢うまで

それでも ねぇ
この世界の輪廻は いつでも
そう あなたのその瞳に隠された想いを
そっと 隠してしまうから

#詩 #現代詩 #みやすけの詩 #汽水空間

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