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人っ子1人救えない世界で

人っ子1人救えない世界

あなたは、そこで泣いている
誰にやられたの?
誰の言葉、拳でやられたの?

しとしとと降る雨は
やがて雨脚強く
霞む世界は、胸の内の孤独を映し出す

人っ子1人救えない世界で

この世界にはね、人を殺す人の方が圧倒的に多いんだよ
どれだけ聴き心地の良い喧伝文句が流れようとも
結局は、誰も救われてはいない

人っ子1人救えない世界で
仮にもし、あなたが1人でも、この世界で救えたのなら
それはとても偉大な事だ、と思わなければならない

大きな理想ばかりで、実は1人も救えてはいない
そこに甚大な犠牲を孕んでいても
自分は、"正しい" と開き直る

親は小言を投げるだけで、子供の人生から梯子を外す
たとえ、それで行き先を見えなくしたとしても
まるで素知らぬ顔の親を、ごまんと見てきた

仲間だけで、わいわいやっていればそれで良い
大きな言葉ばかりで、それ以外の周囲には、何も沁み込まない

この世界はね、人を殺す人の方が多いんだよ
人っ子1人救えない人の方が圧倒的にね

仮にもし、あなたがこの世界で、1人でも救えたのなら
それは、とても名誉だと思わなければならない

ねぇ、聴こえる?

あなたは、今そこで泣いている
しとしとと降り頻る雨は、強く胸を打つ

"誰にやられたの?"
差し伸べられた手は、あなたを誘う
"人っ子1人救えない世界" に産まれ落ちて
幾万もの命が、ここで死んで行ったように

"誰にやられたの?"
そっと見上げたその眼差し
霞む世界、誰も救えない、
雑踏があなたの胸をえぐる
人っ子1人救えない人々に揉まれ
殺されていく

差し伸べられた手
渦巻く、波にうねり、凍える
やがて、その瞳が誰かを救えますように

そんな世界を祈って

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