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人間が関係を持つのは奇跡

最近よく思う
人間が関係を持つのは奇跡なんだと。

無機物から有機物が生まれて、そしてそれは生命となった。
もしこの世のすべてが無機物であったなら
ただ物理が作用するだけの冷たい世界となっていただろう。

しかし、有機物が生命を生み出したとき
この世界は、たんなる物理ではなくなったのだ。

"一寸先は闇"という言葉がある。
しかし、その一寸先はおろか、それより短いスケールでさえも
人にとっては未知なるフィールドなのである。

今見ている世界が本当の世界であるという保証は
残念ながら、どのような最先端の物理学はおろか
何千年と受け継がれてきた哲学においても、
それを確証するものは、無い。

人は、どのようにして
自分の身体以外の存在を知るのだろう?
そして、その確証の無い存在をどのようにして愛するのだろう。

人がもし単なる物ならば、
永劫に続く物理作用の中の
単なる一瞬のハプニングに過ぎなかった。

しかし、人はその単なるハプニングに
運命を強く感じ、深く愛を感じたりできる。

何が、信じる力となるのだろう?
この世界の中で、一番確かなのは
"自分が存在している"という事だけである。
しかし、他人が本当にそこに存在しているかの保証は、無い。

そんな自分以外の確証の無い世界が
ただ茫漠と広がっている。

人がそんな他人を信じる事が出来るのは、奇跡である。
未知なる存在に、強く結び付こうとするのが人間である。
未来永劫の物理から生まれた余剰。
冷たい世界から、温もりが生まれた。

人は人を求める。
自分の身体を包んでくれる、自分以外の確かな存在を。
出逢いとは、"確かな"存在と作用した時に生まれる。
自分以外の存在に確かな温かさを感じると
人と人は共鳴する。

人はその人に確かさを感じると、安心する。
そして、そんな確かな存在を感じている自分も
確かに存在していると安心するのだ。

人は、確かだと信頼できる人を通して
自分も確かに存在していると感じる事ができる。

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