大事なことは、林原めぐみの曲が全部言ってる②

 2回目です。
楽曲の良さについて前回も書いていますので、そちらもぜひ。

前回▼▼


 当然のごとくアニメ関連の歌が多く、そのキャラクターに合った歌詞かつ、それに留まらず「道徳」として活きることを言ってくれていると思うんです。そこがとても良いと私は感じています。

では早速。


1.『Touch Yourself』

 これが一番好き。歌詞が特に。他者に説かれて(うわウゼ―…)と思ってしまうような、ベタな道徳的価値観を、尖りなく心に届けてくれている気がしています。
”人は人に出会い初めて「人間(ひと)」になる” って所とか、まさしくその通りだなと感じる。人の世で生きていくには、結局外に出て他者と関わらないと成長できない。それを経てやっと人間になるって表現凄くない?

サビでは
”生まれたわけを知りたいなら 優しくしてほしいなら もっともっと自分から愛せばいい” と、非常に道徳的なことを言ってます。雑な言い方をすると子どもにしか言わないような内容ですが、年を取るとこんなこといちいち考えて行動しないし、誰からも言われない。そこを「忘れてませんか…?」と伝えてくれるのがこの歌詞だと思うんですよね。

と、1番では自分の【外側】に向けたあり方を示した歌詞。
かわって2番では自分の決断と、それへの揺らぎについてといった【内側】のあり方が示されています。

”自分で選んで ここに来た日のこと 信じられたなら笑える日来るから”
自分の決断を自分で信じることができたらとてもいいね。っていうことを言ってるんですけど、「叶う」とか「報われる」とも言えるところを「笑える」日と表現しているのがとても良い。

どう良いかと言うと、夢や目標に対しての【呪い】感が緩和されるからです。夢は一概に良いものではなく、そこに囚われたり、破れたりしたらどうなん?というのが私の考えです。実現できれば御の字なのはその通りですが、その道から退却を選ぶことは、それ以上にあります。その後、「きっぱりと諦められるか問題」や、「ダメだった自分がどうしても認められない問題」が生じてしまいます。だから「夢≒呪い(にもなる)」だと思っています。

「叶う・報われる」にしてしまうと、そうするほかない意味にしか取れなくなってしまう。「笑える」日にすることで、叶わなくとも文字通り笑い話にできるとか、道中で得たことがこっちの道でも共通していたとか、進路変更後も前向きに通じる歌詞になってるんです!!(と思います。)


” 立ち止まって休むのもいい また歩き出せる日まで きっときっとその時はもうすぐそこ ”

これなんすよ。一番の歌詞と打って変わって、全力で受け止めてくれてる。見つけました、ここが心の避難所でした。一番の歌詞で、「そうは言っても外との関わりを捨てるなよ」とやんわりと発破もかけてくれてます。


恐らく今後、自分の中でこれを超える「好きな歌」はないと思いますレベルで好きです。




2.『Plenty of grit』

 テンポが良く、パワフルな曲なのでだるい朝とかに聴くのがおすすめです。

好きな部分は二番の” 強がってるその脆さも ひっくるめて愛したい ” って歌詞です。自分を「認める」を超えて、「愛する」。その気概たるやメンタル強者も強者。

これを聴くことで、こんなふうになりたいけどなれない自分を外発的に奮い立たせる。私にとって林原めぐみの曲を聴くことは即ち、自分の弱点の再認識/根源的な価値観の再確認 なんです。聴くたびに「なにか」を感じ直せる。これが最も言いたかったことかもしれない。

その後に続く
”涙の跡消せない痛みも 受け止めて 忘れないで そして未来(あした)が変わるよ 呼び起せ眠ってる根性(ちから)を” まで全部いい。根性を【ちから】と読むこの感じも、リナ=インバースだなぁと感じる。根性と聞くと拒絶反応を示したくなる現代とはいえ、忘れ去ってはいけない道徳的価値ではあると思います。前面には押し出さず、押しつけではなく、「ソウル」として持っていたいと思う、この根性(ちから)。


3.『Just be conscious』

 これも「自分を受け入れる」ことが歌詞になっています。
”明日の自分を好きになりたいから 今日の自分をぎゅっと抱きしめる”
という歌詞は、先の『Plenty of grit』にも通じる部分です。

続けて、”自分が主役のドラマぐらいは 楽しまなくちゃ勿体ないわ”
”演じて見せるわフィナーレまで” 
とあり、自分の生きる様をドラマと捉えるという異なったアプローチがされています。言ってしまえばよくある比喩かもしれませんが、降りかかる出来事を100で受け止めるよりもダメージが少なくなりそうで好きです。

好きなのが二番の
”幸せのかたち それぞれ違うのよ 他人の言葉に惑わされない 信じるものが私の現実 恩着せがましい偽善(あい)なんていらない ” 

言い切っちゃう尖り具合も兼ね備えていてめちゃくちゃ良い。ここも、こんなふうに思いたいけど心で準備ができない意志薄弱な自分にとっては「根拠づくり」をしてくれる場所になっています。「『Just be conscious』も言ってるし…」と思うことで自分を補強する感じ。

とはいえ「恩着せがましい偽善なんていらない」っていうのはロックすぎませんかね…?



4.『Fine colorday』

 スレイヤーズ関連と変わってこちらは『万能文化猫娘』の歌。歩いてる時に聴きたい曲1位。
「自分のやりたいこととは?」というのがテーマの曲で、ギリギリ学生の時分に出会えてよかったなとめちゃくちゃ思っています。できるならもっとはやく知りたかったですが…

一番で”見つけたいものは何 見たいものは何”と、「好奇心」から始まったものが、二番では”今何ができるだろう 何をしたいだろう”になる。まさに子共時代・学生時代にぶちあたることだなぁと。

で、すごいのが一番で「自分の好きを見つける」から、二番では「自分の出来ること」に、現実とのすり合わせがされているところだと思います。ここの、できれば直視したくない現実を、極力痛みを与えずに寄り添って表現してくれているのがすごい。

他にも対比で良いなと思うのが、一番サビラストで
”いつか 似合う色に逢える”だったものが二番では ”いつか 私の色になる”
になっている所。自己形成が全部詰まっている上に、耳が痛くならない言い方で言ってくれている。

また、「見つけるまで」にかかる時間は問題ではないと言ってくれているのもありがたいですね。



■さいごに


 好き勝手書いててしまいましたが、あくまで個人の感想なのでそこはよろしくお願いします。

自分の好きな曲を、相手の趣味嗜好をガン無視してオススメする行為がこの世で一番おこがましいことだと思っているので、布教が目的ではありません。元気が貰える曲は人によって違うと思います。

ただ、気が向いたらでいいので、聴いたことのない人はぜひ聴いてみてください。



おしまい


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