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2023年No.1映画の感想文

12/31まで映画を観ていたので、年明けに昨年の振り返りを。特に意識していないけど、私は旧作ばかり追いかけている。今年もたくさん映画を観られますように!
以下、感想文。

〈邦画〉
『しとやかな獣』監督:川島雄三

なんなのこの映画は!!!っていうくらい、ぶっ飛んでてカッコいい作品だった。

タイトルのバックで歌舞伎の曲が流れるオープニングからヤラレタ。その後もちょいちょい歌舞伎は流れて「踊りましょ!」と言ってゴーゴーダンスを踊るけど、音は歌舞伎。ヤバい。

あと、ずっと団地から出ない。団地の中だけで撮影している。部屋か階段か。玄関扉の覗き窓も印象的。

とにかくストーリーもカメラワークも最高。もう一回観たい。書いてて興奮して何も伝えられなくなってきた。

一番印象に残ったシーンはここ。

「貧乏が骨に染み込む」

貧乏だった頃(戦後間もない)を語る父。その時、家族全員の顔が一気に暗くなって、どれだけ貧乏だったのかが伝わった。貧乏になるぐらいなら、あの手この手を使って金儲けする。健全な考えだ。

娘「朝食の時に30万貸してって言ったの。でも断られたわ」
父・息子「そういうのはね、ベッドの中で言わなきゃダメだよ」

ファムファタールあややはもちろんだが、役者全員が主役級。ミヤコ蝶々も一瞬だけどインパクト大。

ラストの山岡久乃の冷ややかな視線。他人は関係ないって感じもする。そして団地の外観が映って「終」。

1962年の作品。高度成長期真っ只中。時代に対する批判的な要素をコメディタッチに描いてるのだろうか。映画『パラサイト 半地下の家族』にも近いように思った。

川島雄三監督作品は、たくさん観たい。本当にすごい作品に出会えてうれしすぎる!!

※『勝手に妄想映画館 番外編』より抜粋

〈洋画〉
『アンダーグラウンド』監督:エミール・クストリッツァ

エミール・クストリッツァ監督作品。永遠に覚えられない名前。BSで観た時に感動して、絶対に映画館で観たいと思っていた。念願叶ってうれしい!

第一章「戦争 (Deo Rat)」。動物園が空襲にあうシーンで悲惨すぎて涙が出た。最初はマルコとクロの区別がつかなくて戸惑ったけれど、途中から区別がついた。空襲でいつ家が攻撃されるか分からない状況にも関わらず、セックスしたりご飯を食べたりするシーンは、そういう状況を嘲笑うような感じがして私は好き。

音楽最高。今まで観た映画の中でNo. 1と言っても過言ではない。音楽だけ聴くと喜劇に感じるんだよねぇ。

女優のナタリアはかわいいんだけど、酔っ払ってウズウズして踊る時の表情が良い。かわいいけどあばずれな感じが好み。

第二章「冷戦 (Deo Hladni Rat)」。クロの息子ヨヴァンとエレナの結婚式のシーンが良い。エレナの花嫁衣装も飛んでる姿も。でも幸せはあっという間に終わってしまうね。エレナは井戸に落ちてしまうし、イヴァンはサルを探しに、クロとヨヴァンは戦闘するため外に出る。太陽を初めてみるヨヴァンの姿はグッときた。生まれて初めてみた太陽なんだもの。

第三章「戦争 (Deo Rat)」はツラいシーンが続く。燃える車椅子がクルクルまわる。ツラいなぁ。

最後、半島のようなところでヨヴァンとエレナの結婚式が行われている。地下室から井戸の中を辿って別の世界に出たのだろうか。みんな幸せそう。踊りたくてウズウズしてる姿もいいな。

「許してくれ」「許そう、でも忘れないぞ」

みんなが結婚式をしている半島だけ切り離されて漂っていく。ユーゴスラビアはもうないけど忘れちゃいけないんだよ。

戦争映画、喜劇、悲劇、笑って泣いて踊って、やっぱり戦争はクソ!

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