#8 桃始笑の日記(3/10~3/14)春のはじまりと箱根旅行記
3/12
高校時代からの友人Wとひさしぶりの遠出をする。展覧会を目当てにした旧友との温泉旅行。これほど最高なものがあるだろうか。交通費3万、2食付き宿泊費1万、美術館・土産・食費1万、計5万くらいの支出だけど、プライスレス。
1日目は箱根、ポーラ美術館へ。アメリカ現代美術のアーティスト、ロニ・ホーンの個展「水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる? Roni Horn: When You See Your Reflection in Water, Do You Recognize the Water in You?」を見に。
自然光がふりそそぐ空間にたたずむ8つのガラス彫刻。ちゅるり借景の表層と深淵、かがみとゆがみ、透明感と重量感。エミリ・ディキンスンの手紙の一節を6つの角柱にした《エミリのブーケ》。文学的引用や散文の脚注が付けられたテムズ川の水面の写真。私たちの体を流れ、満たしている水についてのとまらない思索を多様なアプローチで提示するポーラ主催の企画展。
具体性の中に普遍性がある。美しさや詩情によって、それと気づかせない強度なポピュラリズムが土台になっている。「モテ」の定義とは「この人の魅力は私だけが分かるんだ」と多くの人に思わせることなのだと私は常々思っている。
西洋画中心のコレクション展示も見た。親の顔ほど見たモネ。それでもやっぱり飽きないモネ。印象派がロックンロールのたましいを持っていることも、大山崎山荘美術館の地下でモネを間近で見たことでしっくり得心した。
箱根のバスは山道をうねうねと走るので、車内でいろいろな角度に踏ん張っているうちに体幹が鍛えられる。バスにゆられて古き良き温泉宿に泊まる。旅館の「館内ご案内」になんだか古いプラネタリウムの星座図のような趣を感じる。この星座図のうちのひとつの星で、旧友と布団を並べて、地酒とおつまみでこのうえない夜をすごす。
3/13
箱根湯本で観光気分を味わう。高級かまぼこが特産品だとはしらなかった。
のんびり電車バスを乗り継いで、静岡・三島、ヴァンジ彫刻庭園美術館へ。もうここが本当によいところで、大好きになった。
ヴァンジ彫刻庭園美術館は『イタリアの現代具象彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの、世界で唯一の個人美術館』だそうだ。ヴァンジさんは、愛を知っていて、宇宙的で、おちゃめで、独創的な人間だということがわかり、すっかり心を奪われてしまった。訪問日がちょうどヴァンジさんのお誕生日だったそうで、ポストカードを記念品としていただいた。
企画展「すべての ひとに 石が ひつよう 目と、手でふれる世界」。
ということで、この石をたくさんなでてきた。
冨長敦也さんの石をみがくワークショップにも参加した。
ミュージアムショップを愛している。ここのNOHARAさんも素敵で長居してしまった。
沼津港で揚げた魚をいただく。上セットを頼んだうえ、マグロがあまり好きではないので、大トロ2巻をえんがわ&ズワイガニに替えてもらうというワガママ。新鮮な魚が食べたかったら、水槽に魚を入れて移動してもらうより、人間が移動するのが道理なのだと大将が言っていた。
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