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#18 牡丹華の日記(4/30~5/4)

七十二候の第十八候、「牡丹華 (ぼたんはなさく)」の期間の日記。

4/30

おとうとの誕生日。
おとうとはむかし天使のように愛らしくって、家族の中ではぷんくというあだ名で呼ばれていた。ほっぺたがあまりにぷくぷくのもちもちだったからだとおもう。スターダストから幼児モデルのスカウトがきたこともあって、私はおむつのパッケージの赤ちゃんをみるたびに昔の彼のことを思い出す。彼は今ずいぶんと素直じゃない性格だけど、わたしにとっては愛しいぷんくちゃんなので、牛肉と迷ってamazonギフトカードをLINEギフトでプレゼントした。やっぱりクールな返事。24歳。

午後、洋菓子屋のパティシエさんと仕事の話をする。ふだんはどういったお仕事をされているんですか?と聞かれて、なんでも屋さんです。とこたえてしまった。ひとまず商談は理想どおりにまとまってほっとする。

5/1

イラストの請求書処理、先輩が企画中のAWブラジャーのサンプルを試着する、じぶんの企画商品の概要を編集者に伝える、などの用事のために出社。

夜は学部の友人6人と華金のオンライン飲み会。
前回開催時は、思い出話やらブロックチェーンの話やらタロットやらで、20時から29時半までつづけてしまった。今回は途中参加させてもらったけど、今夜も結局解散したのは27時半をまわっていた。
午前1時のことを25時と呼ぶようなのは、バンドで深夜練習をしていたときの時間指定のよびかたのせい。

「ウルトラマンティガ」とか「劣化する知性、動物化するポストモダン」とか、みんないきいきと個性の散らかった名前登録でたのしんでいるが、わたしは以前ふざけた登録名のまま仕事のオンライン会議に入ってしまったことがあるので、退室時にはじゅうぶん注意が必要。

トニーちゃんが「みんなのすきなたべものはなに?」と聞いたのがおかしかった。9年にもなるつきあいなのに、もう28時をまわっているのに。トニーちゃんがなにかをしゃべるとき、奇妙なことにすべてのことばがひらがなで聞こえる。わたしの好物はたらこパスタかお寿司だけど、最後の晩餐に食べるとしたら?と聞かれるとすこしひるむ。

5/2

平日に祝日があたった週にはつぎの土曜日が出勤日になるという「完全週休二日制」というルールを、かつてのわたしはかなりにくらしく思っていた。シンプルに連休を愛していたから。だけどいまの世界にあって、エッセンシャルワーカーでもなく間接的なかたちで社会に参画するしかないじぶんとしては、目の前のことをよい方向に進めるしかない。
最近うっすら気になっているフェミニズム×美術史の話を友人がきいてくれた。そのうえフェミニズム視点で韓国文学のおすすめを教えてくれた。わたしはまったく脈絡なく平民金子さんをすすめた。

5/3

在宅時間がふえるしな~ということで、先日オンラインで注文した眼鏡がきょう届いた。バーチャル試着というもので何本かをためしてきめた、FREAK'S STORE×JINSのコラボのもの。眼鏡すらオンラインで買えるなんて過去からおもう未来というかんじがする。

ただ、眼鏡をつくるために必要な数値である瞳孔間距離をはかるのがすこしむずかしかった。成人女性の平均値62mmにたいして、わたしの瞳孔間距離実測値は59mmだった。極端にはずれた値ではないことにすこしほっとしたけれど、3mmの差異はわたしの顔のなかでどう均されているんだろう。たとえばディープラーニングやらのAI技術で存在しない顔のデータを生成するとき、その一対のまなざしの距離は62mmに設定されるんだろうか。
ひさしぶりの眼鏡はなんだか落ち着かず、とりあえずスーパーに行くのにかけてみた。中くらいの刺身用サーモンをえらぶ。麹を塗って食べるのです。

5/4

母の日のプレゼントをさがす。
先日、世界一大好きなクッキー、名店ミッシェルバッハの「夙川クッキーローゼ」を母用にも一箱用意できたけれど、もうすこしなにかに気持ちをのせて渡したい。このあいだ口紅を買ったと言っていたので、ちょっと美容の気分なのかなと思って、じぶんの愛用品とおなじものだけど洗顔料をあげることにした。フランキンセンスの香りが朝晩の癒やしになってくれたらいい。

牡丹華のあいだ、牡丹の花は見なかったので、牡丹に似ている芍薬の花を買おうかな~と思って花屋に寄った。牡丹も芍薬も英語ではどちらもpeonyというらしく、区別がされてないみたい。こういうの「プロクセミックス」というのだったか。
花は買わず、アスパラガス・スマイラックスというちいさな観葉植物を買った。つるが好き勝手に伸びて、つややかな葉っぱがまるいのにとがっていてかわいいので、キッチンに置いた。

「動物のお医者さん」が読める期間が今日の23:59までで、しめきりぎりぎりまで没頭していた。チョビがかわいいなあ。

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