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【本の紹介】嶽本野ばら『鱗姫』

ひとつの罪から連鎖した罪を背負った美しい兄妹とその愛のはなし。

こんにちは、よるいちです。ぼんやりぼんやり生きています。
昼間からようやく動けるようになる毎日。こんなに不調って辛かったっけ?
そんな暑すぎる午後、涼しい冷房の下で本の紹介です。

今回からしっかりと!記してひとりでも読んだ方が「読んでみようかな」と思えるものを書いていきたいと思います。
\頑張ります!/
今回は乙女のカリスマ、嶽本野ばら先生の恋愛小説『鱗姫』をば。

舞台は近代日本の京都府京都市。楼子(たかこ)という女子高生が主人公。
この楼子という子がとても美しいの女性なのです。
陶器のように白い肌、染めたことのない黒く長い髪。
けれど制服は校則に乗っ取ってスカート丈も長く、その長く黒い髪も三つ編みできっちり結い上げ、今で言うと「野暮ったい」容姿。
ただ、ひとつ。ひとつだけ校則を守らず、いつも教師たちに指摘されている。それは「日傘を携帯する」こと。
楼子はとにかく紫外線、日焼けに対して異様な執着を見せるのです。
(外の体育も必ず休むほど!)
その理由は物語が進むにつれわかるのですが……。

この物語には魅力がいくつかあります。読むだけでその情景が浮かぶ文章もそのひとつ。
楼子の実家はお金持ち。そこで彼女、そして兄が着用する洋服もブランドもの。楼子はヴィヴィアン・ウエストウッドが大好き。
制服を野暮ったく着用する彼女の私服とは想像がつかないようなハイブランド。そして兄、琳太郎(りんたろう)もコムデギャルソンを身に纏うよう男性。
琳太郎も楼子と同じくとても眉目の整った容姿をしており、家庭の方針で医師を目指しているものの洋服が好きで本当は服飾デザインを学びたいと志している。
兄妹であり同じ美意識を持つふたり。当たり前のようにとても仲が良いのですが、楼子には琳太郎に言えない秘密をふたつ、持っているのです。

もちろん、ふたり以外にも魅力的なキャラクターがおり、この物語のキーパーソンとなってきます。そしてエリザベート・バートリーや中世ヨーロッパの伝承も交えながら進んでいく、恋愛(とミステリ?)小説となっております。

楼子の抱くふたつの秘密を今お伝えしてしまうと【ネタバレ】になってしまうので控えさせていただきますが、ストーリー上とーっても重要な秘密でございます。

――夏休み、美しくもおぞましい秘密の織りなす物語、いかがでしょうか。

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