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vol.09 Cities are beautiful in September...バーチャル展示会、半自給型ライフスタイル、出版という行為

2020/09/02 配信記事
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今年のヴェネツィア国際映画祭はコロナの影響でオンラインでの開催となってしまったが、バーチャルコンテンツに気合いが入っている。例年はヴェネチアのラッヅァレット・ヴェッキオ島に集められるVR作品が、今年はバーチャルの"島"を訪れるという形で観賞できるようだ。京都サテライト会場「Bridge To」では、アニメーター&フィルムメーカーであるJonathan HagardによるVR作品、PENGGANTIAN (REPLACEMENTS)がVRセットで体験できるので、関西の方は、ぜひ足を運んでみて頂きたい。イベントの詳細はこちら

by Mariko

🎧 Podcast New Release

今週はポッドキャストをお休みさせて頂きます。

人気のあった過去のエピソード:
【#07】都市をどう「知る」のか🔍?紹介!都市のリサーチ手法
👉https://is.gd/kHsgOJ
【#16】Game Cities 🎮 アニメ・ゲームにみる都市と建築(※)
👉https://is.gd/EPp9Ds

(※)“ゲーム・アーバニスト”なる呼称を持つKonstantinos Dimopoulosの存在を、このエピソードの収録の後に知ってしまった。アーバン・プランナーとしてキャリアを積んだ彼は、ゲーム業界に転身。現在、ゲームの世界を舞台に、想像上の都市のデザインやシステム構築に関するコンサルティングを行っている。『Virtual Cities Atlas』という、ビデオゲーム上に登場する都市をまとめた本を執筆中のようで、非常に待ち遠しい。

👀 Good News of the Week

バーチャルな展覧会、Future Architecture Roomが期間限定でオープン
8月25日〜10月13日の期間限定で、スロベニアのMAO Museum of Architecture and Designが主宰するオンラインの展覧会である、FUTURE ARCHITECTURE ROOMSがスタートしている。Webサイト上で、27つの”部屋”を訪ねて展示を観賞できるスタイルとなっており、それぞれの部屋は、別々の建築スタジオや団体が担当している。ミュージアムの体験を、どうデジタルの世界に持ってくるのか。さまざまな手法が試されているなかで、”部屋”を訪ね歩くというフィジカルさの残るアプローチを選んだのが面白いし、それぞれの展示も興味深いので、一見の価値あり。

コロナ禍のドイツで園芸がブームに。広まる半自給型ライフスタイル
ドイツにおけるコロナ禍での過ごし方に関する記事で、面白いものを見つけた。コロナの影響で、日本でも土いじりを始める人が増えたが、ドイツも例外ではないらしい。ドイツで、ロックダウン中に最も売りげが伸びた商品は、第1位がトイレットペーパー、第2位が園芸用土だったという。ドイツでは自宅の庭やコミュニティ農園(ベルリンのプリンセッシネンガルテンなど)の他に、農家が経営する畑に、一般の人々が参加費を支払い、一緒に食物を育てる仕組みがあるという。また、ドイツらしいと感じたのが、害虫駆除の方法についてだ。化学農薬ではなく、害虫駆除のためのてんとう虫を購入している事例が紹介されている。そして生態系保護のために、どのてんとう虫を購入すべきかも十分に議論している点も重要だ。最近、遺伝子操作された7億5000万匹の蚊を、殺虫剤の代わりに自然界に放つ計画がフロリダ州で承認されたが、コントロールの難しい生態系をどこまで人のエゴでいじっていいのか、日々の暮らしからも考える必要がある。

👭 Our Urban Diary

アマビエ超えるプロジェクト by Yukako
フィリピンから日本に来ている私の大好きな仲間が、新しいプロジェクトを始めた。その名も「アマビエ超えるプロジェクト」。フィリピンの彫刻家Ralph Lumbresは、コロナの影響で、母国に帰れなくなってしまった。それをきっかけに、黄金町でアーティストインレジデンスをしながら、大切な人に思いを馳せる作品をスタートさせた。50cmほどのアマビエの像を、あなたが大切に想っている人に送り、その想いのバトンを繋いでいくというものだ。アマビエ像の旅の様子は、インスタグラムで更新されている。現在はどうやら滋賀県にいるらしい。以前、フィリピンに行った時に感じたことだが、彼らは家族や仲間、そのつながりをとても大切にする。フィリピンで、私が路上でのインタビューをしたいと言った時も、すぐに様々な友人が集めて力を貸してくれた。異国の地で、つながりをテーマにこのようなプロジェクトをするのも、また彼ららしいと感じた。この活動はコロナウイルス感染症の終焉と共に終了し、ある場所に送られるという。是非フォローして応援してほしい。

「PUBLISHING ACT」から考える都市と出版 by Mariko
先日ZINEを作ってから、ふと思うことがあって、出版者登録をしてみた。これから正式に書物を出版できるようになり、改めて「出版」という行為の意味を考えている。今、一緒に仕事をしているキュレーターの友人が参加しているプロジェクトで、PUBLISHING ACTという欧州のプログラムがある。このプロジェクトでは、出版という行為を、「ものごとを公にする」ことから、批判的で”空間的な”実践と定義している。現代の都市に潜むさまざまな課題をあぶり出し、批判的に分析したうえでコラボレーションやアクションに繋げるというミッションのもと、「都市×出版」というあまり馴染みのない組み合わせのテーマで活動しているのが面白い。彼らが今までパブリッシュした本や記事の一部はオンラインでも読める。私が今回つくった出版者の名前は、「Traveling Library of Urbanism」。旅、都市、出版という行為とテーマを繋ぎ合わせる活動をしていけたらと思っている。

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次回の配信もお楽しみに。

石川由佳子 / アーバン・プロジェクト・ディレクター(WEB/instagram) 
杉田真理子 / 編集者・リサーチャー(WEB/instagram

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