東京で出会った怖い話

怖いからと言って
妖怪とかは、出てきません。

中央線に乗っていて出会ってしまった
怖い話です。

怖い人と出会ってしまったのです。

あれは今から
たぶん10年前に
新宿から中央線に乗って東京駅を向かいました。

四ッ谷を過ぎた頃
電車の中で異様なものを見ました。

座席に座っていたたぶん30歳くらいの男が
隣のサラリーマン風の50代の男性に
肘打ちをしているのです。

理由はわかりませんが
相当力強くです。

何度もされているのに
サラリーマン風の男性は
逃げる様子もありません。

なぜだろうと
さらに凝視していると
ついに
サラリーマン風の男性は
立ち上がって
ゆっくりと
逃げ始めました。

ゆっくりなんです。

私は
「これは大変」と
携帯電話を取りだし
110番に電話を掛けました。

すぐに
警察の人がでたので
「中央線の車内で人が殴られています」と
言いました。

何分
やかましい車内なので
大声で言いました。

そしたら
暴力をふるっていた男性が
いきなり
私の方を見て
走ってきて
私の携帯電話を取り上げ
「終了」を押して
それから私の手に返してくれました。

何と言うことかと思いつつ
また
110番に
電話をしました。

警察がまた出たときに
御茶ノ水駅に到着して
暴力をふるっていたは
駆け足でホームの階段に消えていきました。

私は
電車を降りて
その男を
見ていました。

電車の扉は閉まり
ホームで
警察に事情を話しました。

被害者も加害者も誰もいないホームで
くどくどと説明しました。

「お気を付けておかえり下さい」と
電話越しに警察官に言われて
電話は終わりました。

私は次の電車で
東京に向かいました。

あとでよくよく考えると
周りの人は
何の反応もしていなかったような気がします。

電話くらい
当時でも誰でも持っていたのに
なぜ
周りの人は
平然としているのでしょう。

私は
これが
怖いと思いました。

10年前の
東京で出会った
こわーい
お話です。

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