永遠のテンポエムチャイルド その7
12月になると
内申書をもらうために
豊岡帰りました。
4月に出てきて
初めての帰郷です。
尼崎から
福知山線で
汽車に乗って
豊岡に向かいます。
十詩子が豊岡に着くと
駅まで
お母さんが待っていてくれました。
懐かしくて
涙が出ました。
家まで歩いて帰って
父親が外で待っていてくれました。
ふたりに連れられて
家に入りました。
家を出てから
8ヶ月しか経っていないけど
懐かしく思いました。
すこし休憩して
自転車で
学校に向かいました。
担任の先生に
挨拶して
夜学に行きたいと言いました。
先生は
賛成して
資料室から
参考書や問題集などを
持ってきて
十詩子に渡しました。
内申書は
後で送ると言うことで
先生に激励されて
学校を後にしました。
家に帰ってから
すこし早い夕食を摂って
尼崎に帰るために駅に向かいました。
母親に見送られて
豊岡を後にしました。
見送る母の姿を見て
十詩子の目には
涙があふれました。たくさんのお土産として
野菜や米や
お菓子を持って
部屋に帰りました。
家主に
野菜を持って
行きました。
翌日
お菓子を持って
会社に行きました。
敬子には
温泉饅頭を
課長には温泉せんべいを
渡しました。
課長は
お土産をもらったからと言うことではないのですが
十詩子には
便宜を図りました。
定時に退社を
することを勧めたのです。
正月休みも
豊岡に帰ることなく
勉強しました。
正月は
家主さんの家で
お雑煮とおせち料理を
頂いて
正月を済ませ
勉強しました。
1月の10日には
尼崎恵比寿神社に
合格祈願に
悟と敬子と一緒に行きました。
いわゆる十日恵比須です。
えらい賑わいです。
三人は
それぞれの合格祈願をしました。
縁起物を買って帰るのが普通ですが
十詩子は
お金を
極端に節約している関係上
何も買わずに
帰りました。
悟も敬子も
十詩子のことを考えて
手ぶらで帰りました。
勉強に明け暮れて
時間が過ぎて
まず簿記の試験がありました。
十詩子は
課長には「大学が大変だから
簿記の試験は
受けなくても良い」と
言われていたのですが
悟と同じ試験も
受けたかったのです。
でも試験勉強も
悟とは
しなかったし
受けた後
喫茶店にも立ち寄らず
部屋の帰って
勉強しました。
2月の始めに
大学の試験を受けに行きました。
大学には
悟も来ていて
励ましてくれました。
悟はその日は
授業がなかったのですが
来ていたのです。
その日は
太陽が照っていて
冬とはいえ
暖かい日でした。
悟は
図書館で
待ちました。
夕方になって
約束の時間になったので
悟は
大学の門のところに行きました。
日が西傾き
すこし寒くなってきました。
悟が門の付近で待っていると
すこしうつむき加減で
十詩子が
学舎から出てきました。
悟は
あまり元気がなかったみたいの
十詩子に
聞けませんでした。
二人は
黙って
駅へと向かいました。
十詩子は
以前に
二人で入った
喫茶店が
近づいたので
十詩子の方から
喫茶店に入りたいと言いました。
悟は
すこし安心して
喫茶店に
二人で入りました。
十詩子の方から話し始めなした。
十詩子:
今日の試験
力が出せなかったわ
とても百点とは行かないの
残念だわ
これじゃ奨学金をもらえるかどうか心配だわ
悟:
じゃ
合格してるんじゃないか
良かったね
奨学金は何とかなるよ
十詩子さんは
僕なんかと違って
ものすごく賢いんだから
十詩子:
そんなことないです。
悟さんは
優秀ですよ
でも私はお金がないから、、、、
、、、
悟:
ごめんなさい
ぬくぬくと大学に行っていて
ごめんね
十詩子:
悟さんが謝る必要がないわ
明日会社の上司に
もう一度
相談してみるわ
会社の奨学金制度は
条件が良いです。
悟:
ぼくが何か出来ることがあったら
言ってね
少しのお金なら助けることが出来ると思うよ。
お年玉を貯めているんだ
小学校からの分を貯めているんだ
十詩子:
私も貯めているわ
でも少ししかないの
悟:
ぼくと一緒だね
自分では相当あると思うんだけど
母親がね
谷で貯めるも
溝で貯めるも同じだから
貯めておくと言ってね
ぼくは相当あると思うんだ
十詩子:
その時は
お願いします。
絶対に返しますから、、、
翌日課長のところに行って
昨日の試験の様子を
報告しました。
敬子にも話したように
それほどの成績でもなかったことを話しました。
課長に
会社の
奨学金のことを
十詩子はお願いしました。
課長もそこのことは気にしていて
本社の人事課長に
奨学金のことを
聞いていたのです。
課長は
「奨学金は
総合職の事務職で
成績優秀なものか
特別な技能を身につけるために
学校に行く者と言うことになっているそうです。
成績優秀とは
全体の上位2パーセントに入っていることで
特別な技能とは
会社の職務上必要な技術だそうで
経理課なら
電子計算技術だそうです。
我が社も
電子計算機を
導入して
経理業務を
効率化しようとしているので
ちょうどその線が良いんじゃないかな。
君の志望大学も
電子計算処理だから
ちょうどこれで良いんではないかな。
でも経理課長に言うには
「それで奨学金を受けると
卒業後
相当転勤になるかも知れないらしいよ。
何しろ我が社の
電子経理の先頭になるんだから
本社や支店を回らなければならないんだそうだ
十詩子さん
大丈夫かな
転勤族になって
結婚何か出来なくなるよ。」
と十詩子に話しました。
十詩子は
奨学金を頂けて
悟と同じ大学に行けるなら
転勤なんか先のことで
いいと思っていたのです。
課長が持ってきた
たくさんの書類を
もらって
合格したら
提出するように
言われました。
それから数日過ぎて
合格の知らせが
部屋に届きました。
その届いた夕方
家主さんのところに
呼び出し電話がありました。
豊岡のお母さんからの電話で
合否を聞く電話でした。
同じように
悟からも電話があって
家主さんにも
大学の合格のことも話しました。
十詩子は翌日
会社に行って
課長に
合格した旨報告して
奨学金や
夜学に行く書類
あるいは職種の変更の書類を
課長に渡しました。
課長は
「よかった。
よかった。」
と言いながらそれを受け取りました。
3時頃になると
課長に呼ばれた
敬子が
課員全員を周り
お金を集めていました。
定時になった時
課長から呼ばれて
行くと
課長は
金封を十詩子に
渡しました。
合格お祝いと
書かれていました。
十詩子は
課長始め課員全員に
何度も
お礼を言って回りました。
お部屋に帰って
夕ご飯を作っていると
家主さんが
お祝いを持ってきてくれました。
翌々日の日曜日
電話がかかってきて
悟に呼び出されて
喫茶店に行きました。
悟は
鞄から
お祝いを
渡してくれました。
それは
相当ぶ厚い袋で
悟は
自分の全財産だというのです。
十詩子は
そんなたくさんお金は頂けないと
言いました。
悟:
十詩子さん
これは
私の少ないけど
全財産なんだ。
小学校からのお年玉や
お小遣いや
大学に入った時の
お祝い金です。
ぼくは両親から頂いた
お金で
大学に行っているけど
十詩子さんは
自分の力で
行こうとしているのを
私は尊敬します。
これは是非受け取って下さい。
一緒に大学に行きましょう。
十詩子:
そんなにたくさんの
お金を頂けません。
悟:
じゃ半額がお祝い
半額は
出世払いと言うことで
良いでしょう。
十詩子:
ありがとうございます。
悟:
その程度のお金じゃ
足らないんではないの
入学金大丈夫
十詩子:
それは大丈夫なの
会社の奨学金を
もらうことになったの
悟:
良かったね
太っ腹の会社だね
良かった良かった
悟は
知りませんでした
その奨学金が
十詩子の将来に
大きな影響があることを、、、
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