みんなで一緒に
ずいぶん前の事だけど
パーティーの後半に上映するエンドロールを一度だけ作ったことがある。
特別なものではなくて、
ただ、昔の写真を集めて、スライドショーにしただけのものだ
流した曲はKANの「よければ一緒に」。
それでも、あの瞬間の空気は、
何か特別なものだった気がする。
会場の空気が少し変わったのは、最初の写真が映った時だった。
誰かの笑顔がスクリーンに映ると、
その場にいたゲストが「はい」と手を挙げて、
まるでそれが合図でもあるかのように笑い声が広がった。
次々と映し出される写真に、自分を見つけた人たちが次々と反応して、
会場全体が温かい波に包まれていった。
僕はその場で、スクリーン越しに皆んなの反応を見ながら思った。
写真って、ただの記録じゃないんだなって。
人の記憶や感情が、画面の向こうからじんわりとにじみ出て、
他の人の心にも染み渡っていく。
あの時、みんなが一緒にエンドロールを見ていた光景は、なんともいえない特別な気持ちがあった。笑い声が響くたびに、
僕の中でも何かがほどけていくような感覚がした。
そして、ふと気づくと、エンドロールの画面を見つめる自分の心も、
皆んなと同じように温かくなっていたんだ。
人と人が繋がる瞬間というのは、こういう形でも訪れるんだなと、
あのときは初めて思った。
「よければ一緒にそのほうが楽しい」
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