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RPA活用のポイント(3):メール連絡

メールによる連絡も事務作業の多くを占める業務でしょう。1つひとつ手作業でメールを書いていると、当然のことながら相当の時間がかかってしまいます。失礼にならないように挨拶文も入れなければなりません。単発のメールであれば個別対応も仕方がありませんが、もし定形の繰り返し業務であればRPAに代替可能であり、実際に多くの企業で活用されています。

メール連絡の活用方法は大きく3つに分類されます。ここでは、単純な連絡メール、異常時のアラートメール、再確認のリマインドメールの3つに分けて説明します。

①単純な連絡メール

複数の人へ1つのメールを送る一斉メールはあまり手間がかかりませんが、複数の人へ異なる内容を送る「個別メール」の場合は、かなりの作業負荷が発生します。また一斉メールであっても、その「頻度」が高ければ作業に時間がかかります。したがって、RPAで自動化すべき対象は、個別メールを送る場合と頻度の高い場合です。

個別メールの例としては、メールで注文を受けた際に、受領メールを顧客に返信するような作業です。注文内容を確認する意味で連絡するため、メールには個別の注文内容を記載する必要があります。同じように納品日が決まったタイミングや発送が完了したタイミングで連絡する作業も個別メールに該当します。このようなメール連絡を現在行っていない企業でも、顧客サービスの向上につながるので利用価値は高いでしょう。

頻度の高いメールの例としては、売上情報を関係者へ毎朝メールするようなルーチン業務です。RPAによって売上情報のレポートを自動作成している場合、できあったレポートをメールに添付して送るようなイメージです。
 
メール連絡を自動化するメリットは単に業務削減だけではなく、「迅速性」あるいは「リアルタイム性」にもあります。たとえば注文の受領メールでも、半日たってから連絡するよりは受領した瞬間に連絡したほうが顧客満足は高くなります。夜間や土日でも連絡だけは早めに返すほうが喜ばれるはずです。また売上情報を送るケースでも、従業員が朝出社してからメールするよりも、出勤前にメールするほうが通勤中に目を通すことも可能となります。このような時間的なメリットも合わせて考慮するとよいでしょう。

②異常時のアラートメール

何か問題があったとき、あるいは問題かもしれないときに、連絡がすぐに飛ぶというのは便利なものです。たとえば、従業員の残業時間が一定水準を超えた場合に、本人や上長へメールが自動的に送られるような仕組みです。

本来、上長は部下の勤務実態を管理しているはずですが、全員の残業時間を毎日チェックするというのも大きな負担です。忙しかったりすると気づかないうちに事故が起き、手遅れとなってしまう可能性もあります。このように異常値を検知して連絡するメールを「アラートメール」と呼びます。

このケースの特徴は、メールの「連絡作業」を削減しているのではなく、残業が超えていないかの「チェック作業」を削減し、見過ごしてしまう「リスク」を削減している点です。仮にアラートメールが月に1回しかなかったとしても、これを見過ごすことなくタイムリーに検知することに価値があるのです。本人も安心して本業に専念できるはずです。同じように、次のような場面でアラートメールが活用できます。

これらはあくまで一部の例ですが、何かあった場合に早急な対応が求められる状況はすべてアラートメールの対象となります。なおRPAのエラー時に担当者へメールするというのは特に推奨されます。気づかないうちにRPAが止まっていると取り返しのつかない場合もあるからです。

③再確認のリマインドメール

RPAのメール連絡の中でも、定番中の定番がリマインドメールです。活用できる範囲も広く、そして非常に役に立ちます。リマインドメールには「催促のメール」と、「事前案内のメール」の2種類があります。

◆催促のメール
一例として勤怠情報の提出管理があります。従業員は期限までに勤怠情報をシステムへ入力することになっていますが、期限を過ぎても提出していない場合、多くの企業では人事担当がリマインドのメールを送っています。1回のリマインドでも対応しない場合、何度もリマインドを繰り返し、あげくの果てに電話で頼み込んだりします。

このようなリマインド業務は準備にも時間がかかります。リマインドメールを送る前に、まず誰が未提出なのかをシステムでチェックし、未提出者の一覧表を作成します。次に一人ひとりのメールアドレスを宛先に入力し、これに定形の文面をつけて、ようやくメール送信にたどり着きます。しかも1回で対応しない人もいるため、この作業を何度も繰り返さなければなりません。結構な作業量になるため、自動化による効果が期待できます。

リマインドメールを何度も送ることは、人の場合だと躊躇しがちです。あまりしつこいと相手に悪いと思い、普通の人は気が引けるものです。しかしロボットがメールを送るぶんには躊躇がありません。悪気もないので、どんどんリマインドメールを送りつけることができます。受け取る側としても相手が機械なので怒りようもありません。これがリマインドメールをRPAにやらせる1つのメリットです。やり過ぎると迷惑メールと同じかもしれませんが、悪いのは提出しない本人なので気にすることはありません。

催促のリマインドメールは、あらゆる催促業務に活用できます。たとえば次のようなケースです。

◆事前案内のメール
事前案内として1本メールを入れておくことは、通常業務でも行っているでしょう。たとえば入社面接で、社内の面接官に対して前日にメールで連絡をしておくようなケースです。万一忘れていたり、都合が悪くなったりしていることがないようにするためです。

このような定型業務はRPAで自動化しておけばよいでしょう。たとえば先の面接官へのメールの場合は、ロボットが面接予定表をチェックし、担当する面接官にリマインドメールを送ります。日時や場所だけでなく、履歴書や面接シートなども添付します。ロボットにやらせておけば作業負担が軽減されるだけでなく、送信モレ、記載ミス、添付ミスなどのヒューマンエラーも防ぐことができます。

社外に対してもリマインドメールの活用は効果的です。たとえば購入品が予定通り納品されるように、納品日の数日前に業者に対してリマインドメールを自動的に送るようにしておきます。業者が期日を忘れていたり、納品遅れの連絡を忘れていたりすることを未然に防ぐためです。自社から相手先に納品する場合も同じです。先方の予定が変わっていたり、何らかの手違いがあったりしても、事前に判明すれば対応のとりようがあります。

これらの事前連絡を手作業で対応するとなると作業負担の問題が発生しますが、ロボットに作業負担は関係がないので、あらゆる事前連絡を自動化しておくことが賢明でしょう。

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