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プロジェクトを成功に導く8つのポイント(2):トップのリーダーシップ

業務改善を推進する上で重要なのが「トップのリーダーシップ」です。特にRPA導入のように非日常的な活動を推進するためにはトップのリーダーシップが必須となってきます。よく業務改革などではリーダーシップが重要と言いますが、RPA導入では具体的にどういうことでしょうか?

トップのリーダーシップが必要な理由

①プロジェクトメンバーのモチベーション維持

プロジェクトメンバーはトップの「強い思い」を感じて苦労を乗り越えることができます。メンバーはプロジェクト以外にも、通常業務を抱えていることが多く、業務改善を実行するために多大な労力を払うことになります。好きでやっているわけではなく、責任感で頑張ろうとする人が多いはずです。そのプロジェクトメンバーのモチベーションをキープするためには、トップの強い関与が不可欠となります。

②関係者の協力体制作り

プロジェクトメンバー以外の「関係者」を動かすことにもトップのリーダーシップが重要です。関係者が協力的でなければ、当然、業務改善はうまく進みません。一方、関係者も本業で忙しいはずで、本業以外の活動は優先度が下がる可能性があります。そこでトップのリーダーシップによって、プロジェクトの重要性を伝え、優先順位を上げてもらう必要があるのです。

③RPAの特殊性

よく業務改善を現場改善型で行うことも多いでしょう。これはトップダウンではなく、ボトムアップのアプローチです。現場の課題を一番わかっているのは現場の人たちであり、最も的確な解決策を出せるのも現場の人たちだからです。しかしRPAの場合、ボトムアップだけではうまくいきません。なぜならば、現場の人たちはRPAに詳しいわけではなく、RPAを前提にした場合の課題や解決策にピンとこない人たちだからです。そのため、現場へ任せきりにすると、おそらく何も進みません。進められないという言い方が正しいでしょう。そこでトップのリーダーシップによる後押しが必要となります。実際に活動するのは現場の人たちですが、現場が提案してくるのを待って承認するような「ボトムアップ型」ではなく、自らの意欲を伝え、現場のやる気を引き出すような「トップダウン型」のリーダーシップが求められます。

トップのリーダーシップとして実施すべきこと

具体的にトップが実施すべきことは、①重要性の力説、②外部へのコミットメント、③成果のアナウンス、④実際の関与の4つがあげられます。

①重要性の力説

業務改善のような社内活動は本業優先のロジックで優先順位が低くなりがちですが、それでも非常に重要な取り組みであれば優先順位は上がってくるはずです。プロジェクトメンバーが「非常に重要だ」と言っても聞いてもらえないかもしれませんが、トップが「非常に重要だ」と言えば、優先順位が一気に上がってきます。組織人とはそういうものです。さらに重要性を「繰り返し」説明することも必要です。たとえばプロジェクト開始前にトップが全社員に向けて重要性をアナウンスし、その後も月次の経営会議で説明し、社内報や社内ホームページでコメントをするなど、ありとあらゆる機会と媒体を通じて重要性を繰り返し力説するほうがよいでしょう。人々の興味は時間とともに薄れるため、プロジェクトの推進力をキープするためには、しつこく何度も繰り返さなければなりません。

②外部へのコミットメント

トップの意欲を示す上で効果的な方法が「外部へのコミットメント」です。たとえば企業のニュースリリースでRPAの取り組みをアナウンスするという方法が1つです。実際に多くの企業がRPAの取り組みに関してニュースリリースを発表しています。事例で紹介した三井住友フィナンシャルグループも「生産性向上の実現に向けたRPAの活用について」というニュースリリースを発表し、具体的な数値目標まで述べています。ニュースリリース以外にも、雑誌のインタビューなどでコメントを載せたり、中期経営計画や決算発表資料などでRPAの取り組みに触れたりしてもよいでしょう。このような外部への公表はトップの意欲や覚悟を示しており、外部にコミットメントしたからには、プロジェクトメンバーや関係者も優先順位を上げざるをえなくなります。

③成果のアナウンス

トップは意欲を示すだけでなく、成果をアナウンスすることもプロジェクトの士気を高めるために有効です。苦労して成果を出すことができたプロジェクトメンバーにとって、トップがその成果をアナウンスしてくれることは大いに慰労されるでしょう。また頑張っている最中のメンバーにとっても、先陣が成果を出したことに勇気づけられるでしょうし、自分たちも早く成果を出したいと動機づけされるはずです。これはトップがアナウンスすることに意義があります。会議で担当者が進捗報告すればよいというものではありません。プロジェクトがトップの優先事項であり、トップの期待がかかっているというメッセージが重要なのです。

④実際の関与

言葉だけでなく実際の関与もしたほうがよいです。たとえばプロジェクトの定例ミーティングにトップも同席するというのが1つの方法です。ただし会社の規模やミーティングの頻度によっては物理的に同席が困難かもしれません。しかし最近ではオンラインによる参加も普通になってきているため、最初の5分だけでもオンラインで参加すれば一定のリーダーシップを発揮できるはずです。また定例ミーティングとは別に、トップが同席する「報告会」を開催してもよいでしょう。プロジェクトの定例ミーティングがプロジェクトメンバー向けであるのに対し、報告会は全社員向けです。そして報告内容は特に「プロジェクトの成果」を主眼にし、取り組みを盛り上げることを狙います。このようなイベントは、社内の改革マインドを高めることにつながります。

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