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2019年度審査における重視点1

テンプラです。

2019年度のユニット12「戸建住宅、小規模集合住宅・共同住宅、住宅構法・工法」審査講評会に参加した際にいただいた資料を抜粋して掲載します。なかなか貴重なGD賞評価なので是非ご一読ください。

今年はライフスタイルを叶える住宅、それも手作り感覚で実現したような作品が目についた。手作り感覚、というのは何か定型があったそこに向かってゆくというよりも、定型がないならつくりながら考える、という実践的な雰囲気を感じたからである。その意味で審査の過程は非常に楽しいものであった。

傾向としてまず、昨年に引き続いて生活空間に仕事や商売のための空間を近づけたり融合したりする作品が目立った。他者を前提とする空間が混ざることで自然な形の気配りが生活空間に重ねられる。

住宅や宅地の境界を穏やかにしていく力作も増えた。特にブロック塀の在り方を見直し近隣と共にあるような生活空間を纏った住宅は、新築・改修を問わず見受けられた。これらは社会的に重要な提案だと思う。ブロック塀の倒壊による痛ましい事故が続くが、これは今に始まった問題ではない。ブロック塀の問題はプライバシー意識の問題である。だからなかなか解決されない。生活のスタイルや空間とセットにして境界のデザインを考えることの重要さを、これらの力作は教えてくれる。

住人の多様化や多世代化によって課題解決を図ろうとする提案はこれまであまり意識されなかった傾向かもしれない。例えば郊外の戸建て住宅街への問題意識は社会的にある程度共有されていると思うが、そこに対して空き家のシェアハウス化、外構のオープン化といったデザイン介入はその一例である。

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