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【前編⑷】社会的期待

前回のあらすじ

人がマウントを取りたがる背後には、マウントを通じて他者より優れていると感じ、自尊心を満たすと考えられており、その心理に至る要因は『社会的比較』『過去の経験』『社会的期待』『内部的な規範』『情報の影響』の5つが考えられ、その中の『社会的比較』と『過去の経験』について述べました。

今回は、社会的期待についてみていきましょう。

3.社会的期待:

社会的期待が個人に与える影響は複雑であり、周囲の期待や規範に合わせようとすることが自分を抑圧し、本来の自己を見失う可能性があります。ここでは、『文化的な価値観』『家族の期待』が個人に及ぼす影響に焦点を当て、具体的な事例を挙げながらその複雑性を探ります。

まず、文化的な価値観が個人に対して押し付ける期待について考えてみましょう。ある文化や社会において、成功や美に対する厳格な期待が存在する場合、個人はこれに合わせようと努力することがあります。例えば、ある国や地域での美の概念が特定の体型や容姿に結びついている場合、個人はその規範に合致するために様々な手段を講じることがあります。

事例として、韓国のアイドル文化が挙げられます。韓国ではアイドルグループが非常に人気であり、これに所属するアーティストたちは極めて厳しい美の基準に従わなければなりません。これには整形手術や特定のスタイルの維持などが含まれ、彼らは規範に合わせることを通じて成功や人気を得ることが期待されます。しかしこのような期待が、アーティストたちに自分を見失わせ、精神的な健康に悪影響を与えることもあります。

次に、家族の期待が個人に与える影響について考察します。家族が特定の職業や行動を期待する場合、その期待に応えようとすることがあります。例えば、家族が特定の職業に就くことや、ある価値観や信念に従うことを望む場合、その期待に応えようとすることが個人にとっては自然な流れとなります。

具体例として、家族が特定の事業を営むことを期待する場合が挙げられます。親が特定の職業やビジョンを子供に期待し、それに応えようとする子供は、自身の適性や興味を無視してまで期待に添おうとすることがあります。これが結果的に個人の幸福や充実感を損なう原因となり得ます。

社会的期待に対処するためには、個人が本来の自己を見失わずに、他者の期待と調和しながらも自分らしく生きることが重要です。文化的な価値観や家族の期待に柔軟に対応し、それが個人の幸福に繋がる方法を見つけることが求められます。また、社会全体で異なる価値観や選択肢を尊重し、多様性を受け入れる風土が醸成されることも必要です。


総じて、社会的期待が個人に与える影響は複雑であり、文化的な価値観や家族の期待が個人の自己を抑圧し、本来の自己を見失わせる可能性があります。しかし、柔軟性を持ちつつ他者との調和を図り、自分らしさを大切にすることで、より健康で充実した人間関係と生活を築くことができるでしょう。

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