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【前編⑸】内部的な規範

前回のあらすじ

人がマウントを取りたがる背後には、マウントを通じて他者より優れていると感じ、自尊心を満たすと考えられており、その心理に至る要因は『社会的比較』『過去の経験』『社会的期待』『内部的な規範』『情報の影響』の5つが考えられ、その中の『社会的比較』『過去の経験』『社会的期待』について述べました。

今回は、内部的な規範についてみていきましょう。


4.内部的な規範:

内部的な規範が自己受容に与える影響は重大であり、個人が自らに厳しいルールや信念を課すことが、達成感や受容のハードルを高め、自分を受け入れることを難しくさせることがあります。ここでは、『個人の信念体系』『宗教的な信仰』が内部的な規範となり、それが自己評価に与える影響に焦点を当て、具体的な事例を通じてその複雑性を探ります。

まず、個人の信念体系が内部的な規範を生むことについて考えてみましょう。
個人が持つ信念や価値観は、その人の行動や判断に強い影響を与えます。しかし、これがあまりに厳格である場合、個人は自分に対して過度な期待を抱きがちです。例えば、完璧主義者が自分に対して非常に高い基準を持ち、それを満たすことができないと自己評価が低下することがあります。

事例として、仕事において常に最高の成績を求める個人が考えられます。彼らは一度でも目標を達成できないと、自分を厳しく責め、不安やストレスを感じることがあります。このような内部的な規範が達成感や受容のハードルを高め、自分を許容することが難しくなる可能性があります。

次に、宗教的な信仰が内部的な規範となり、それが自己評価に与える影響について考察します。
宗教的な環境では、一定の行動や道徳的な規範が強調され、これが信者たちにとって内部的な規範となります。しかし、これが極端に厳格である場合、信者は自らに対して非常に高い基準を設け、それに従わないことで罪悪感や焦燥感を抱くことがあります。

具体例として、ある宗教で飲酒が忌避されている場合が考えられます。信者が厳格な禁酒規定に従うことが難しい場合、彼らは自分を受け入れることが難しくなり、罪悪感や自己嫌悪に苦しむことがあります。このような内部的な規範が、宗教的な信者にとって受容のハードルを高める一因となり得ます。

内部的な規範に対処するためには、柔軟性を持ちつつ自己評価を見直すことが大切です。完璧主義的な信念や厳格な宗教的な規範に振り回されず、自分らしさを大切にすることが必要です。また、他者とのコミュニケーションや専門のサポートを通じて、自分を客観的に見つめ直し、受け入れるスキルを養うことも重要です。

総じて、内部的な規範が自己受容に与える影響は深刻であり、個人が自分に対して厳しいルールや信念を課すことが、達成感や受容のハードルを高め、自分を受け入れることを難しくさせることがあります。しかし、柔軟性を持ちつつ自己評価を見直し、他者とのコミュニケーションやサポートを活用することで、より健康的な自己受容が可能となるでしょう。

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