時間が解毒剤

 親への恐怖感が薄れてきている。

 土下座をした日を思い出せば、あの日の自分の血液が逆流した感覚を思い出すはずだ。でもわたしは少し忘れかけている。今、仕事で麻痺して何も考えられないからだ。
 
 絶え間なく来るお客様の列。接客をしている感覚よりさばいている感覚の方が強い。注文を聞く、確認する、レシートを確認する、キャッシャーの管理をする。裏に回りパソコンを開く、システムに入力する、クレームに対応する。なんでもやります!と面接で言った通り、パソコン作業からお客様対応、キャッシャーの管理までなんでもしている。

 家に帰るころはヘトヘトだ。何も考えられないのにお腹だけは空く。暴飲暴食をしながら下らないYouTubeを見て夜を明かす。

 今日はとりわけ疲れている。あれだけ早退するだの明日は休むだの言いながら木曜日まで来てしまった。この調子だと明日も行きかねない。

 つくづく、土日休みにさせてもらってよかった。土曜日は寝ながらごろごろして、日曜日に少し買い出しに出かける。どうしても休息日が二日連続でほしい。

 今の生活に必死すぎて、親の事を思い出している暇もないのかもしれない。両親なんて勝手にくたばってろと思う。それほど、今の生活に必死。親の事なんて知ったこっちゃない。


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