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第9回 アメリカ事情③

アメリカで暮らし始めて半年が過ぎた頃、私はカットとパーマをしに美容院に行こうと思った。ご近所の奥様たちは口を揃えて「微妙なニュアンスを伝えたいから、日本人美容師のいる隣町まで行っている」と言う。しかし私は、アメリカの美容院がどんな感じか知りたかったので、運転中にたまたま見つけた美容院に予約して行ってみた。

結論から言うと、全てにおいて雑だった。カットは、日本の美容師さんのように細かく分けて切ってくれなくて「え?もう終わり?」と言う感じ。そして問題はパーマ!日本ではパーマ液をかける時、額にタオルをしっかり当てて垂れてくるのを防ぎ、その後新しいタオルに交換してきっちり巻いてくれる。しかしこの美容院では、ガーゼみたいなのをゆる〜く当ててパーマ液をかけるので額にダラダラ垂れてきて危うく目に入りそうになった。

仕上がったパーマはやたらチリチリしていて、見たことのない姿の自分が鏡に映っていた。東洋人の髪の毛だから普段と勝手が違うということを差し引いても、やはり日本の美容師さんは腕が良く、サービスも素晴らしいと思う。ちなみにこの後も何度か別の美容院を試したが、心から満足できるものではなかった。ご近所の奥様たちからは「チャレンジャーですねー」と驚かれた。(都会の美容院では事情が違うかもしれない。あくまで私の体験談)

息子も一度近所の床屋でカットしてもらったのだが、仕上がりがガタガタだったので次回から夫がカットすることになった。庭の椅子に海水パンツ姿の息子を座らせ、夫がザクザク切っていく。外科医の夫は手先が器用で、初めての割になかなか上手に出来上がった。夫自身は、カットの回数を減らしたいがために、これが限界というまで髪を伸ばし床屋に行っていた。後にも先にも長髪姿の夫を見たのはこの時期だけだ。


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