伊東純也事案の刑事事件を予測してみた(2024.06.06)

伊東純也や相手方女性の刑事告訴につき、今後の展開を予想してみた

その1 伊東純也に対する刑事告訴

 前回の5月9日付noteに記載したように、伊東純也による性加害自体が存在しないと思われる 伊東純也に対する刑事告訴は警察から検察庁に「不同意性交等罪」で送致された後、簡単な事情聴取はあるとしても,結果的に検察庁で「不起訴処分」になると予想している

 問題は、 相手方女性側が、伊東純也の「不起訴処分」に対して不服を申し立て検察審査会に提訴するか否かである 仮に、検察審査会に提訴されたとすると、審査会の開催は3月・6月・9月・12月の年4回であり、6月開催に間に合わなければ、9月開催まで引き延ばされることになるだろう

 相手方女性側が、保身のために検察官の「不起訴処分」の判定を不服として検察審査会に提訴する可能性は十分にあると思われる それでも検察審査会の最終決定は,「不起訴相当」で完結すると予想できる

 相手方女性側が、検察官の「不起訴処分」に対して提訴しなければ、そのまま「不起訴処分」で完結することになる

その2 相手方女性が告訴された虚偽告訴罪とは

 刑法第172条には、

「人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、3月以上10年以下の懲役に処する」

と規定されており、これが虚偽告訴罪の条文である 成立要件としては、まず告訴の目的が「人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的」であること
 次に「虚偽の告訴、告発その他の申告」を現実に行われることである

 ここに、虚偽告訴罪に該当し得る行為は、「告訴・告発」だけに限らず、「警察への届出」や「行政機関への申出」、「弁護士会に対する弁護士の懲戒請求」等も含まれると解されている

 虚偽告訴というのだから告訴の内容が真実に反するものでなければならず、対象となるのは故意犯だけである つまり、「過失により告訴内容が正しいと思い込んでいるような場合」は罪に問われることはない 逆に、申告をした者が嘘のつもりであっても、申告内容がたまたま客観的な事実と一致していれば罪には問われないという特徴がある 虚偽告訴が既遂と判断されるのは、告訴が捜査当局に受理された時点である

その3 A子に対する刑事告訴

 A子が警察から検察庁へ送致される罪名は「虚偽告訴罪」になるが、これが検察庁で起訴されるか否かを考えてみる 前回の5月9日付noteの「その4 私の考察」の「②A子とB子が性被害を受けた時の説明状況」に記載したとおり、A子の性被害申告は,「B子の目撃証言をもとにして被害を知った」という構図になっていることを忘れてはならない

 仮に、B子の目撃証言が虚偽であったと証明された場合でも、A子自身はB子の目撃証言を真実と思い込んで刑事告訴を行ったのであるから、「思い込みの部分が現実ではなかったとしても、それは過失であって故意性はない」ということになり、虚偽告訴罪は適用されなくなる

 虚偽告訴罪が不成立となる場合でも、名誉毀損や詐欺罪、恐喝、偽計業務妨害罪などその他の犯罪に該当する可能性はあるが、申告の故意性が否定されると単なる民事上の問題と評価される可能性が高いと考える A子が虚偽告訴罪で起訴されるためには,申告内容がB子の証言に基づくものではなく,意図的に「B子の証言に基づく」と偽装して虚偽申告を行ったことが証明される必要があるのである

 結論的に、A子に対する刑事告訴は「不起訴処分」になる可能性があり、逮捕・拘留される可能性は極めて低いと予想する

その4 B子に対する刑事告訴

 B子が警察から検察庁へ送致される罪名も「虚偽告訴罪」となるが、これが検察庁で起訴されるか否かを考えてみる B子の証言は,意識朦朧状態で,意識のないA子と同時に性被害を受けたという趣旨である 性被害後に再び意識を失ったというが,薬物使用の場合を除いて,人間の生理現象としてはあり得ないもので極めて不合理であると言える

 しかし,この場合も、「意識朦朧の状態にあって勘違いしたかもしれないが,当時は性被害を受けたと思っていた」と主張されると、責任能力の問題が生じるだけでなく,「過失により思い込んでいるような場合」に該当して故意性にも問題が生じ,罪に問うことは困難という評価を受ける可能性もある

 また、犯罪の成立に関しては、その証拠が「本人の自白」だけである場合は、罪に問われることもない 結論的に、B子に対する刑事告訴も「不起訴処分」になる可能性があり、逮捕・拘留される可能性は極めて低いと予想する

その5 相手方女性に対する刑事告訴が起訴されるケース

 上記説明とおり、A子・B子が虚偽告訴罪で起訴されるには、その虚偽告訴を行うことに故意性があることを証明されなければならない そのためには,そもそも告訴自体が女性らによる創作であり,虚偽であることを知りながら告訴したという点が立証されなければならない 実は、この証明が最も難関なのである

 おそらくA子は「告訴はB子の証言に基づく」と言い張るであろう たとえB子が犯行を自白したとしても、他に客観的な証拠が存在しない場合は、憲法第38条の「唯一の証拠が本人の自白しかない場合は、罪に問われることはない」という規定により無罪となる

 例えば、A子・B子のLINE通信記録やXのメッセージ等に、虚偽告訴の内容や虚偽告訴時期を相談したという通信記録があるとか、虚偽告訴をためらうような内容の通信記録があったり、虚偽告訴を迷って第三者に相談したというように、告訴が虚偽であることを知りながらあえて告訴を行うという趣旨の通信記録等が存在すれば、起訴に持ち込むことは可能だろう

 しかし、警察の事情聴取段階で、こうした通信記録等は既に入手済みであると予想され、仮にそういう証拠資料が獲得されているのであれば、現時点でA子・B子は既に逮捕・拘留されていたはずであると考える

その6 結論

 最近,ネット上で「伊東純也事案の相手方女性が逮捕・起訴される」という情報が出回っている 情報によれば,大阪府警は,相手側女性を「虚偽告訴罪」で検察庁に事件送致するといわれ,逮捕の可能性もあるとのことだ また,警察の捜査員も女性側の主張に懐疑的という情報がある 伊東純也を信じる立場としては,この情報は大いに歓迎したい

 しかし,仮に,この情報が間違いなかったとしても,これだけで直ちに女性側が虚偽告訴罪で起訴されると考えるのは時期早々と言える
 まず,伊東純也は「不同意性交等罪」で告訴されているのだから,事件送致も「不同意性交等罪」ということになる 同じように,相手側女性は「虚偽告訴罪」で告訴されているのだから,事件送致も「虚偽告訴罪」ということになる

 つまり,相手側女性が「虚偽告訴罪」で検察庁に事件送致されるのは当然のことになる このことには,特に,不自然な点はなく,事件送致されたからと言って,必ず逮捕・起訴されると決まっているわけでもない 

 虚偽告訴罪が成立するには,それなりの成立要件がある 「単純に告訴の内容が間違っていた」ということと,「悪意を持って虚偽の内容で被害申告を行う」ことは,必ずしも同義とは言えないのである
 加えて,ネット情報によると捜査関係者は,虚偽告訴の目的を「金銭目的と見ている」と報じているが,「虚偽告訴罪」に金銭目的では成立要件に反することになりあり得ない
 そして,民事事件とは異なり刑事事件の立証責任は検察側にあって,より厳格な証明を求められる

 私は,今までネット上で明らかになっている証拠資料だけでは,客観性の高い証拠資料が存在するとは評価できず,伊東純也も相手側女性も起訴されるとは考えていない 警察の捜査の過程で逮捕・勾留されていない現状を考えると,新たな証拠資料が獲得されていないのであれば,双方ともに「不起訴処分」になると予想せざるを得ない

以 上

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