伊東純也事案の経過分析(2024.05.09)

今更ではあるが,伊東純也の件に関して私の考えを説明する。ただし、あくまでも週刊誌レベルの情報に基づくものであり,確定的な根拠があるという訳ではないので,その点はご注意・ご配慮願いたい。

その1 昨年5月8日に発生したA子とX氏の出来事について考察する。この出来事を分かりやすく表すため「5月事案」とする。
その2 昨年6月21日に、伊東純也とトレーナーの部屋で飲み会が行われた際の出来事について考察する。この出来事を分かりやすく表すため「6月事案」とする。
その3 トラブルの発生から刑事告訴までを整理する。
その4 私の考察をお話しする。

その1 「5月事案」に関する考察

 元々,A子とX氏は昨年3月に出会い、YouTube動画に出演させてもらうなど、仕事上の付き合いがあったとA子の芸能事務所社長M氏は説明する。
 ネット上には,様々な情報が散乱しているが、まず最も重要視すべき情報としては,エンターティナー折原氏のXに掲載された民事訴訟の文書である。
 この文書には「被告A子」との記載がある。刑事訴訟上は「被告人」と記載されるため,これが民事訴訟上の文書であることは明らかである。つまり,この文書は,伊東純也とトレーナーの委任を受けた加藤弁護士が,A子・B子を提訴した訴額約2億円の民事訴訟の起訴状の一部と評価できる。
 この起訴状は,A子・B子に発送されているものの,未だに届いていないと思われる。またA子・B子は,高橋弁護士に民事訴訟を依頼していないので,訴状が高橋弁護士の手に届けられることもない。つまり,この文書はA子・B子側が入手していない文書である。
 これは、加藤弁護士が民事訴訟を提起する際に,X氏に対して,X氏が関係する部分だけを抜粋して送信し,事前に訴状の内容確認を依頼したものと推認できる。
 他に折原氏に情報提供できる可能性のある人物も考えられない。また,訴状の記載内容は,M氏では知りようがなく,X氏とA子以外の人物しか知りようのない内容となっているため,X氏が折原氏に情報提供したものと考えてよいであろう。
 ここで注意すべきは,この主張内容が,A子からM氏に対して直接送信され,そのM氏から提供を受けた下記のLINEメッセージに基づいて作成されているという点である。現在も折原氏のXのメディア欄に画像として掲載されている。その文中の「甲13・2~3頁目」との記載は,原告から第13番目に提出された証拠資料の2~3ページ目に記載があるという意味である。
 その証拠となる通信内容とは,

 サウナではエッチまでは行って無いけど,私は勿論最後までと決めていた日だったけど,X氏が,まだ会って間もないから,まだ,するのはやめようと言って来てくれたから,別の方法でX氏には満足してもらったが、X氏には大切にしてもらって居たし、交通費もホテルもX氏出してくれていて、勿論チケットも!だからX氏の部屋に泊まるつもりで大阪には来てました!

というものである。

  実にまとまりのない幼稚な文章であるが、この文章は、トラブルの直接の当事者ではないM氏に対してA子から送信されたもので、かつ、時期もトラブル発生の前の段階で送信されたものと認められる。その意味では、最も高い証拠価値があると評価できる。

 結論
 昨年5月に発生したA子とX氏の出来事(5月事案)は、A子がX氏に,思惑通り積極的に枕営業を仕掛けたが、X氏はこれを拒否して口淫ですませたもので、A子が,昨年12月に,高橋弁護士に刑事告訴を委任したX氏に対する強制わいせつ容疑はそもそも存在していない。
 仮に,この事案を刑事告訴するとA子には虚偽告訴罪が成立し,高橋弁護士が事情を知りながらこれに加担すれば,高橋弁護士も虚偽告訴罪の共犯になる。


その2 「6月事案」の考察

 週刊新潮に掲載された記事の内容は,元々,作為的で全く合理性が感じられない。また,X氏を取材した週刊現代の記事内容も,どこまで信用性があるか疑問である。
 ここで,最も高い証拠価値が認められるのは,A子とX氏の関係が紛糾する以前にA子が芸能事務所社長M氏に送信したLINEメッセージである。
 最初に確認しておくべき事実として、A子・B子は、当日、X氏の部屋に宿泊する予定だったということである。それは5月事案に関するM氏からの情報によって明らかだ。
 その内容は、

 X氏には大切にしてもらって居たし、交通費もホテルもX氏出してくれていて、勿論チケットも!だからX氏の部屋に泊まるつもりで大阪には来てました!

というもので,宿泊予定地は週刊新潮の記事内容と食い違っている。
 A子はX氏に対して5月に積極的に枕営業を試み、結果として口淫ですませたという性的関係がある。A子は,X氏に大切にしてもらったことと、交通費・ホテル代・チケット代も負担してもらっていたため、大阪ではX氏の部屋に泊まり、X氏に対して枕営業を行う予定であったと評価できる。X氏も5月は本番まで行かなかったが、「今回は」という気持ちがあったと推認される。
 この前提条件を意識して事後の流れとLINEメッセージ見なければ,全体の解釈を誤ることになりかねない。

 ホテルでは、全員が伊東純也の部屋へ入って酒盛りが始まるが、A子やB子が説明するほどの大量のアルコールは用意されていない。
 X氏にしてみれば、A子に枕営業を期待しているのだから、A子と二人きりになろうとする。そこで、X氏は,先に一人だけ伊東純也の部屋を出て自室に帰る。そして、A子にだけ「X氏の部屋に来るように」という趣旨のメールを送信した。当然、「 X氏の部屋に来るように 」とは、枕営業を要求する趣旨である。

 X氏は週刊現代の取材に対して、A子に「A子の荷物を取りに来るように」という趣旨のメッセージを送ったと説明している。しかし、このX氏の説明は不自然だ。元々A子とB子はX氏の部屋に泊まる予定であった。そうであれば、荷物はそのままX氏の部屋にあれば良いはずで,A子の荷物だけをわざわざ伊東純也の部屋に持って行かせる必要もなく、理屈に合わない。
 しかし,A子とB子が同時にX氏の部屋に戻ってくると,X氏はA子と二人きりになれないため、枕営業を受けることはできない。だから「X氏の部屋に来るように」とA子だけを呼び出したのである。X氏が週刊誌の取材に対して、このような意味不明の無理な説明を行ったことで,情報が混乱してしまう原因になってしまっている。

 しかし、結論としてA子はX氏のLINEメッセージを無視した。つまり、X氏からの枕営業を要求するLINEメッセージを無視してX氏の部屋に行かなかった。言い換えるとX氏からの枕営業の要求を無視したわけである。
 X氏は激怒し、明朝,伊東純也の部屋に行ってA子とB子を追い出した。後日、X氏は、A子の芸能事務所社長M氏に連絡したが、M氏の説明では、その際、X氏は「俺のメッセージを無視した。許せない。」と言っていたという。X氏の「俺のメッセージを無視した」という言葉の意味は,「俺の枕営業の要求を無視した」という内容なのである。

 一方、A子は、M氏に対し、次の様なLINEメッセージを送って謝罪しています。

 その前のバーでマッサージがどうたらって話していたので、『私の中であれ純也さんにしろってこと?』と疑問があって、X氏の中で純也さんにいい思いをさせてあげる会なのかなってちょっとなってたとこもあって、その中でホテル行って,X氏が部屋からでっていったのでむしろ任せた!って捉えたところもありました
どちらにせよ迷惑かけてすみません

 このLINEメッセージは,X氏に枕営業を行うつもりで大阪まで出てきたが、話の流れで伊東純也に枕営業を行うよう求められているのかと勘違いしたという趣旨と解される。どのように内容を確認しても、寝坊したとか、飲みすぎたとかいうような弁明ではない。

 A子の委任を受けた高橋弁護士は,「いい思いをさせてあげる会」を「任された」について「酒盛りの場でお酒を飲むことだ」と回答しているが,前後の文言とのつながりが不自然で,納得感のない無理筋の説明としか評価できない。弁護士ともあろう者がこういう回答しかできないとは驚きである。
 「X氏が部屋からでっていったのでむしろ任せた!って捉えたところもありました」に対して,「だから寝坊しました」と捉えることは不自然である。それよりも「だからX氏からの枕営業の要求を無視しました」と捉える方が違和感も不自然さもない。少なくとも,A子は、伊東純也とトレーナーから不同意性交の違法行為を受けたという告訴状の趣旨とは全く異なる説明をM氏に送信していることが確認できる。

 しかも,A子は,前回の5月事案では,M氏にX氏に対する枕営業をある程度詳細に報告しているのに対して、6月事案に限ってはそういう記載内容は全くない。つまり、このLINEメッセージは、あくまでもX氏からの枕営業の要求を無視したことに対する言い訳ととらえる方が合理的なのである。

 また、B子の言によると伊東純也はホテルの部屋を退出する際、「一睡もしていないよ、俺」と発言していたとのことである。本来、伊東純也は試合で疲労し負傷しているのだから、自分の部屋での飲み会など望んではいなかったと予想する。
 しかし、X氏から言われてやむなく部屋での飲み会が始まったものの、X氏は先に自分だけ自室に帰って寝てしまうし、初対面の女性2人は酒を飲んでX氏の部屋に帰らない。女性は伊東純也が休むはずのベッドで寝込んでしまったために、その隣に潜り込んで寝ることもできない。おそらく陰キャの伊東純也は、ベッドを占領されたまま朝まで眠ることができなかったのであろうと予想する。
 まさしく「一睡もしていないよ、俺」という言葉には、こうした女性たちの非常識な行動やX氏のいい加減な対応に不満を持ったことから自然に発した言葉と解される。そして、これがレイプ犯の言葉だとは到底考えられない。

結論
 5月事案の件もあって、A子はX氏に対して枕営業を行うつもりで大阪に出向き,X氏と同じ部屋に宿泊する予定であった。そして,X氏もA子の枕営業を期待していた。
 しかし、A子はX氏からの枕営業を要求するLINEメッセージを無視して、X氏の部屋に戻らなかった。
 X氏は、このA子の行為に激怒した。
 これが6月事案の真実であると言える。
 週刊誌記載の内容は、人体の生理現象等を無視した三流ポルノ雑誌のような現実味のない内容となっており、A子が芸能事務所社長M氏に送信したLINEメッセージの内容とも整合性が認められない。
 伊東純也とトレーナーによる性加害行為があったことを否定的に解する証拠はあっても,性加害行為を肯定できる証拠は皆無である。

その3 トラブルの発生から刑事告訴まで

 6月事案でX氏とA子の感情的なトラブルが紛糾する。6月事案の約1週間後、X氏はA子を呼び出して説教したらしい。これをきっかけにA子は「X氏とは縁を切りたい」と芸能事務所社長M氏に伝えている。
 その後、M氏がA子に事情を聞いたときには、A子は「お酒を大量に飲まされて伊東選手に無理やり性的行為をされたもので、自分からではない」と説明したという。しかし,「その後」とはいつのことなのか,情報が少なすぎて明確ではない。加藤弁護士の説明によると,事案が6月で,A子が性被害を言い出したのは9月頃だと説明されている。
 その後、弁護士を立てた協議が始まったという経緯のようである。
 X氏によると,X氏が、M氏・A子との仕事の関係を断ち切ると、A子から性被害の訴えが出され、A子のスポンサーを名乗る男性Y氏が現れるなどして長期化し、今回の刑事告訴になってしまったと説明している。この間のX氏とA子側とで解決金交渉が行われていたようだが,正確な時系列的な流れを証明する資料は見当たらない。
 A子の「X氏とは縁を切りたい」という発言はX氏から説教された後であって,言い換えると,その時は、仕事上の「縁」が継続していたということになる。
 こういう点を考慮すると,芸能事務所とA子との業務上の関係が解消された時期は,昨年9月頃であった可能性が高いと推察できる。
 A子側の女性弁護士が辞任した後,A子は,昨年12月に高橋弁護士に委任し、X氏に対する強制わいせつ事件(5月事案)の刑事告訴を依頼している。加藤弁護士の説明では,その頃に「実はB子も性被害にあっていた」と言い出し,X氏に対する5月事案の刑事告訴は保留しれたまま,伊東純也とトレーナーに対する6月事案の刑事告訴が先行して行われたという流れになるとのことである。

これをおおまかに時系列に整理すると,

①   5月事案の発生(A子がX氏に対して性的行為をしかけるが,X氏がこれを拒否,口淫ですませる)
②   6月事案の発生(A子がX氏の枕営業を無視したことでトラブル発生)
③   ②の1週間後,X氏がA子を呼び出して説教 A子は「X氏とは縁を切りたい」と言う。
④その後、X氏がM氏とA子との仕事の関係を断ち切ると,A子は「お酒を大量に飲まされて伊東選手に無理やり性的行為をされたもので、自分からではない」と言い出す
⑤A子のスポンサーを名乗る男性Y氏が現れ,解決金交渉が行われるなどして長期化
⑥X氏とA子は弁護士を立てて交渉開始
⑦昨年12月に高橋弁護士がA子から委任を受け,12月23日に、高橋弁護士からX氏に対して、5月事案について強制わいせつ被害として刑事告訴する旨の受任通知が送付される
⑧加藤弁護士の説明では、⑦の高橋弁護士介入時に「実はB子も6月に性被害にあっていた」と言い出した
⑨高橋弁護士がA子とB子の委任を受けて,今年1月18日に伊東純也とトレーナーを不同意性交罪で刑事告訴
⑩1月31日週刊新潮報道
⑪2月1日加藤弁護士が逆告訴(虚偽告訴罪)
⑫2月19日加藤弁護士がA子・B子に損害賠償請求を提訴

となる。


その4 私の考察

B子の被害申告時期の違和感
 
まず,B子の被害申告状況については違和感がある。
 A子は、

 「私は性被害を受けている間の意識がほとんどなかったのですが、なにが起きたのかをB子に聞かされてがくぜんとなりました

と説明し,B子は

 「私が性被害に遭っているあいだ、A子の意識はなかったわけで、自分が黙っていればこのことはなにもなかったことにできるのではないかと考えて、これまでは自分の被害については口をつぐんできました

と説明している。
 事案が紛糾しだしたのが9月頃で,B子は

 「去年の夏頃から過呼吸になる頻度が増えて、あの日の光景が
  フラッシュバックすることも。昨年11月に心療内科を受診
  しました

と説明している。
 精神科の場合,確定診断を受けて診断書を受け取るまでに数か月の期間が必要になるため,9月頃の事案紛糾の後,11月に精神科医を受診したとすると,B子のPTSD診断書の受領が可能になるのは12月頃になるであろう。
 しかし、B子は,遅くとも9月頃の時点でA子の性被害を目撃したことを周囲に説明し、加えて11月には精神科医に被害状況を説明するなどしていなければならない。
 そうすると,B子が性被害を周囲に言い出せなかったのは9月頃までとなっていなければ不自然である。
 なぜなら,A子が自分の性被害の事実を把握するには,B子自身が性被害にあっているさなかに,性被害にあっているA子の姿を目撃したという説明が必要だからである。
 B子は「A子が刑事告訴するなら、私も一緒に声を上げようと決意しました」という。
 加藤弁護士の説明では, B子の性被害の申告は,高橋弁護士に委任された12月頃であったというのである。
 12月頃になって初めてB子の被害申告がなされたということは極めて不自然な流れである。
 こうしたA子やB子の説明は不自然であり、信用性に欠ける。
 私は,むしろ12月頃にB子の診断書を入手できたから,A子の性被害申告に併せる形で,B子も性被害を申告し、A子・B子ともに刑事告訴を実施したと捉えるべきであると考える。

A子とB子が性被害を受けた時の説明状況
 
A子とスポンサーと名乗る男のY氏は,「B子の証言をもとにして被害を知った」という構図になっていることが本件の特徴である。
 A子は,9月頃になって初めて性被害を申告したという。
 しかし,前述のように,A子が自分の性被害の事実を把握するには,B子自身が性被害にあっているさなかに,性被害にあっているA子の姿を目撃したという説明が必要である。
 加藤弁護士からの情報では,9月頃に至るまで,つまり,X氏が業務上の関係を断ち切るまで,A子やB子の各種経緯には性被害に関する資料が一切ないという。それどころか,性被害を笑いながら軽く否定するB子の音声データーさえ存在している。
 これは推測であるが,A子やB子が,この点を警察の取り調べや,証人尋問の際に,A子とB子の説明が食い違うと,虚偽申告が明るみに出る危険性があり,これを防止するには,片方の女性は意識不明であったことにする方が便利であると考えたのではないかと予想する。
 ただし,二人とも意識不明では被害にあった事実が確認できない。一人が意識不明で,もう一人が被害申告できなかったことにしたかった。そして、医師に対して受傷状況の説明が必要なため、このシナリオは、B子が精神科医を受診する際には出来上がっていなければならないのである。
 加えて,A子は,B子の証言を信用したことが告訴の要因となっていて、ここが崩れるとA子の虚偽告訴の故意性が否定される。虚偽告訴罪はあくまでも相手を陥れるために行う虚偽の申告であるから、虚偽告訴罪に過失犯はあり得ない。
 つまり、A子とA子のスポンサーY氏は、ちゃんと逃げ道を用意していると言える。つまり,これは,意図的に作られたシナリオであると予想する。

③高橋弁護士対応に対する疑問点
 また、高橋弁護士はご自身のYouTubeで、不同意性行罪の解説動画を配信している。その中で、高橋弁護士は美人局等の危険性がある事例として、「被害申告の後から半グレが登場する事案」や「被害者が何度も被害申告を行う事案」をあげ、注意喚起を行っている。
 高橋弁護士は、A子・B子から5月事案と6月事案という複数の事案について刑事告訴の委任を受けている。また、受任前に辞任した弁護士に確認すれば、A子のスポンサーY氏が登場して金額交渉まで踏み込んでいたことは容易に分かるはずである。
 まさに本件は、高橋弁護士自身がYouTube配信で注意喚起している事案と言えるであろう。高橋弁護士は,この状態で、5月事案は刑事告訴せずに保留し、6月事案だけを刑事告訴している。
 つまり,高橋弁護士は,上記冤罪の危険性を十分承知しながら,伊東純也とトレーナーに対する刑事告訴を行ったと解すべきであろう。しかも,何故,A子が主張するX氏に対する5月発生の性被害の刑事告訴を保留しているのか,その理由も不可解である。
 このように,高橋弁護士の行為は全く不自然で,理解不能である。

上谷さくら弁護士の発言に対する意見
 上谷さくら弁護士は,週刊新潮の取材に対して,「性被害を受けた直後に、性被害に遭ったという認識が無いことは、よくあることです。なかなか現実を受け入れられない、無かったことにしたいという心理も働きます。だから女性がすぐに警察や病院に駆け込むことは少なく、性犯罪の立証は難しい。今回の女性たちは半年足らずで打ち明けられるようになったということですが、それでも早い方だと思います」とコメントしている。

 私はこのコメントに違和感を覚える。
 「性被害に遭ったという認識が無いことは、よくあることだ」というが,どういう研究資料においてその結論が導き出されているのか?私は,実務経験上,性被害に遭遇した被害者対応を行った経験があるが、殆どの被害者は性被害にあったという認識を有していた。
 また,「なかなか現実を受け入れられない、無かったことにしたいという心理も働きます。だから女性がすぐに警察や病院に駆け込むことは少なく、性犯罪の立証は難しい。」という。しかし,そうとばかりは言えない。性被害に遭遇した被害者は,身体中に打撲傷や擦過傷,捻挫等の傷害を伴うケースが多く,場合によっては,手・足・指等の骨折を伴う被害者すら存在している。衣服が破れ損傷して半裸状態の被害者も少なくないし,身体を震わせて怯えている女性も少なくない。性被害と簡単にいうが,これには暴力が介在するケースも多い。このコメントも警察庁の犯罪統計のような公的な資料等による裏付けがあるものか否かも不明である。
 この弁護士は,今回の女性被害者と名乗るA子・B子の被害状況だけでなく,精神医学的な病態の推移等を確認の上で発言しているのだろうか。現時点で得られている情報を集約すると,伊東純也やトレーナーの性犯罪を否定的にとらえることができる状況証拠は多数見受けられるが,その逆の証拠はほぼない。
 この種の犯罪には,一定割合で冤罪も存在する。「女性たちの話の通りに立証できればという前提でお話しします」というが,ここまで持論や一般論を振り回すようなことをすると,例え条件付きであったとしても,その当事者が冤罪だった場合は,たまったものではない。場合によっては,冤罪被害者の人権を侵害する危険性もはらんでいると言える。

D‐sports社の対応
 
次に記載する内容は,あくまでも私の根拠のない予想であるので,ご注意願う。
 まず、通常の恐喝の手口としては、金銭目的の場合、ターゲットになる対象に対して「刑事告発するぞ」とか、「週刊誌にリークするぞ」「SNSに上げるぞ」というような心理的圧迫を加えながら金銭を要求する。
 しかしながらA子とB子は既に伊東純也とトレーナーを刑事告発しているし、週刊誌にもリーク済である。言い換えると、仮に伊東純也とトレーナーがターゲットであると仮定すると、既にターゲットに対して心理的な圧迫を加える材料を無くしてしまっている状態なので、どう考えても不自然なのである。
 A子とX氏の解決金交渉の時に、「SNSに上げるぞ」という趣旨の発言があったと思うが,伊東純也とトレーナーに対してはそれ以上の行動を既に起こしており,結果的に大騒ぎになった。A子・B子側は週刊誌側から情報料をもらっていると思うが、そんなに多額な金額とは考えられない。
 そして、刑事告訴してから週刊誌へリークするまでの期間が、あまりにも短い。このように短期間に進めることには,大きな違和感を覚える。仮に,伊東純也とトレーナーがターゲットなら、こんな早急な行動はしないはずだ。
 つまり、私は、最終的なターゲットは、Dーsports社ではないかと考えていた。
 まず、伊東純也とトレーナーを刑事告訴して週刊誌にリークする。そうすると週刊誌ネタというだけでなく、メディアでも大騒ぎになる。
 つまり、第一段階で世論が沸騰するような状況を実際に作り出す。そして、第二弾として「5月にA子はX氏に枕営業を強要された。つまりX氏から性加害を受けた。X氏は、6月にもスポンサーを紹介するという名目でA子とB子を大阪まで呼び出し、大量の酒を飲ませて伊東純也とトレーナーに性加害をさせた。6月X氏に呼び出されたのは、明らかに伊東純也とトレーナーに女性をアテンドしたものだ。X氏はDーsports社の社員であり、Dーsports社にも雇用主としての監督責任がある」と脅迫する。
 そうなると、第一段階の伊東純也の問題の反響が大きければ大きいほど、第二段階の脅迫の効果も大きい。特に、アジアカップのように,伊東純也が注目を集めている時を選ぶことが最も効果的なのだ。
 X氏は個人なので大した金額は望めないが,X氏がA子に性犯罪を行った,あるいは,X氏が性加害の共犯者ということになれば、Dーsports社には雇用主責任が発生するし、企業イメージは大打撃を受けることになる。企業であればそれなりの金額の口止め料を払う可能性はある。口止め料を支払えば、伊東純也やトレーナーらに対する刑事告訴は取り消すことを前提とする。従って、伊東純也とトレーナーには,最初から金銭を要求する必要がない。週刊誌にはX氏やDーsports社の件は第二の矢と説明する。

 「Dーsports社は5月の段階で芸能関係の業務を終了した。X氏はDーsports社を退社した。Dーsports社は社名を変更した。」等々の行為が真実ならば,それはDーsports社の「脅迫に対する防衛措置」ではないかと考える。
 X氏は,「X氏が芸能事務所社長M氏とA子との仕事の関係を断ち切ると、A子から性被害の訴えが出された」と証言している。そうすると,最低でも9月頃までは芸能事務所との関係は継続していたと考えるべきで,「Dーsports社は5月の段階で芸能関係の業務を終了した」ということは現実的ではない。仮に,その情報が真実であるなら,それは5月事案や6月事案発生前の5月の段階でDーsports社は芸能関係の業務を終了していたことにすることで,Dーsports社が責任を問われないように配意する一種のカモフラージュであると予想する。
 この推測には根拠はないが、加藤弁護士の「週刊誌に書かせるための刑事告訴」という発言の趣旨とも合致する。

加藤弁護士対応の効果
 
加藤弁護士は,伊東純也とトレーナーの刑事告訴・週刊誌報道の直後に,虚偽告訴罪としてA子・B子を逆告訴し,訴額約2億円の損害賠償請求を提訴した。
 おそらくA子・B子側は,こういう展開を予測していなかったはずである。A子・B子側は,世の中が伊東純也の性加害疑惑で湧き上がるのを尻目に,X氏とDーsports社に対して,普通に損害賠償の交渉に入ればよいはずだった。特に,強い圧を加えなくても,世間は伊東純也の問題が持ちきりになるので効果的だ。
 ところが,加藤弁護士がとった措置は強力で,逆告訴,A子・B子に対する直接民事訴訟提訴であった。加えて,マスコミを利用して伊東純也のイメージ回復を図った。
 大阪府警は,刑事四課まで動き出す。A子・B子側は,完全に動きを封じられた可能性もあると思う。それほど加藤弁護士の対応の効果は大きかった。

以上


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