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QUADについて

QUADとは、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国による外交・安全保障の協力体制のことです。英語で「4つの」を意味する「Quad(クアッド)」という通称が定着しています。この枠組みは、インド洋と太平洋を囲むように位置する4カ国が、自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観をもとに、地域や世界の平和と安定に貢献することを目的としています。
QUADの歴史は、2004年のスマトラ沖地震と津波被害で4カ国がチームを組んで国際社会の支援を主導したことに始まります。その後、2006年に安倍晋三首相が4カ国の戦略対話を提唱しましたが、中国の反発やオーストラリアの態度変化などで一時停滞しました。2013年に安倍首相が再び首相になり、QUAD構想が再浮上しました。2019年9月にはニューヨークで初の4カ国外相会談が開催されました。2020年11月にはベンガル湾やアラビア海で4カ国合同演習「マラバール」が行われました。2021年3月には初の4カ国首脳会合がオンラインで開催され、新型コロナウイルス対策や気候変動対策などについて協力を確認しました。
QUADは中国の台頭や挑発的な行動に対抗するためのものではないと各国は表明していますが、実際には中国への牽制(けんせい)効果も狙っています。特にオーストラリアとインドは中国との対立が深まっており、米国議会も対中政策を強行姿勢を強めています。日本も自由で開かれたインド太平洋構想(FOIP)を推進する上でQUADを重要なパートナーと位置づけています。
QUADは今後も定期的な首脳・外相会合や合同演習などを通じて協力を深める予定です。また、ワクチンやインフラなどの分野で第三国への支援も検討しています。QUADはまだ正式な機関や条約ではありませんが、今後はBRICSには無い、より具体的な行動計画や共通ルールなどを作っていく可能性もあります。

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