母の愛情

タイトルを書いてみたが、非常に照れくさい。でも、愛情以外の何ものでもないエピソードがあり、まとめてみました。


母との忘れられない思い出がある。
学生の頃、1ヶ月間実習で家を離れた時のことである。そんなに長い間、家を離れたのは人生で初めての経験で、若かったわたしはもちろんホームシックになった。実習期間中、慣れない環境から全身蕁麻疹ができて、母を心配させた。

人見知りで、学生時代はなかなか友人関係をうまく築けなかったわたしにとって、母は強い味方だった。
この先、母がいなくなってしまったらどうしよう、母なしで生きていけるのかと漠然と不安を持っていた。母がいなくなっても1人でも生きていけるという自信がほしかった。この実習は、1ヶ月という期間ではあるが、家を離れても自分がやっていけるのかを試すよい機会だと思っていた。しかし、先述したように蕁麻疹騒動があり、自信にはつながらなかった。

温室育ちで世の中のことを何にも知らなかったわたしは働く厳しさを知り、すっかり心が折れた。長い(と感じた)1ヶ月の実習を終え、バスで地元に帰ってきたとき、バスターミナルまで迎えに来てくれた母。ひとめもはばからず、母に抱きしめられたことは忘れることが出来ない。実習を終えた安堵感と疲労で、そのあと、どうやって自宅まで帰ったのかは全く覚えていない。

その後、短期の海外留学や就職後の転勤で他県に年単位で行く機会があった。慣れない土地や新しい環境に挑戦してきたが、それなりに役割を全う出来た。このことは自分の自信につながった。きっと自分には帰る場所があるから、どんなところにも行けて、どんなことにも挑戦できるのだと思う。
だからお母さん、安心して。わたしはもう大丈夫。時々、壁にぶち当たることはあるけれど、乗り越える力を育ててもらったから。

あれから19年。互いに年齢を重ね、白髪も増えた母。昔ほど一緒にいられる時間は減ったけれど、あの時のことは一生忘れない。
今、バスターミナルは改装工事で立ち入りが出来ない。近くを通るたびにあのときの記憶が蘇り、色んな思いが重なり、胸が熱くなる。



お盆でご実家に帰省されてる方もいるかと思います。皆さんにもご家族との心温まるエピソードはありますか?

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