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トッププロシリーズ 麻雀編 「勝ち組は、こう打つ」第6回/全12回~ある姫との出会い~

あれは4年前の夏だったと思う。

女性(以下姫とする)は、4000オール、6000オールと場を圧倒し、東一局で勝負ありの状況を作り上げた。

戦局を見極めた私は、姫にこう言った。

「関ヶ原の戦いは、終わりました。あとは、落武者たちが、こじんまりと醜い争いをしますので、後ろから'"ばっさり"は、やめてくださいね笑」

と言ったのが、悪かったのか、この言葉の意味を姫は、こう捉えたようである。

「ダマ(後ろから)で高い手で当たらないでくださいね」

姫はすかさず、親リーチをかけてきた。

うろたえる3名の落武者たち。

「お前が、行け」とばかりに親の現物を切り、他家に鳴かせて、他家を危険にさらそうとする者ありけり。

自分のことしか考えない落武者たち。
2着で十分と勝負から逃げ出す落武者。

醜い落武者3名が、お互いの足を引っ張り合う。自分だけが助かろうとする者たちで卓上が溢れ、姫はそれを天守閣から高みの現物をしておられる。

しかし、三河の姫は、一味違う。
高みの見物をするどころか、下界に下りて、うろたえる落武者をあざ笑うかのように親リーで、襲ってきた。

「姫は、根絶やしにするつもりじゃ!」

このトッププロの一言にいつも膝の上に置いているバッグを叩いて爆笑する姫。

うろたえ、逃げ惑う落武者。

まさしく大名行列よろしく「姫のお通り〜」状態で、落武者たちが、道を空けていく。

そんな状況で、前に出られる者は、1人のみ。

そうトッププロである。この男は、声高らかにこうのたまった。

「勇者現る! リーチ」

5万点オーバーでノリノリの姫(親)リーチに高め一盃口3900で追っかけるトッププロ。

そこには、損得勘定などない。
トッププロの生き様がほとばしる追っかけリーチ。
こんな生き方、誰ができるだろうか、いやできない(反語法)。

そして、見事に姫から、安めを直撃したのである。

トッププロ
「ロン。死に馬に蹴られるとは、このこと」

と言いながら、一盃口にならない安めが姫から出て、2000点をあがった。
ずいぶん軽い「死に馬の蹴り」である。

振り込んでも爆笑が止まらない姫。
笑いが止まらず、麻雀に集中できない姫。

「そんなに面白い?」と言うと姫は余計に笑いが止まらなくなり、

この日以来、姫はトッププロとの同卓を希望されるようになった。

この姫は、学があるので、この例えに敏感に反応。すかさずこう返答があった。

「私、三河の出身ですよ。」

なんたる偶然!なんたる知性!
麻雀の腕もさることながら、知性も兼ね備えた
姫雀士に私も感激したのであった。


関ヶ原の戦いとは、1600年の天下分け目の戦いで、徳川家康と石田三成の戦いのこと。
徳川家康が江戸幕府を開くきっかけとなった戦い。

次回の予告
技の次々を紹介するいつものモードに戻ります。
お楽しみに。


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