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笑顔の人は、悲しい人

こんばんは。宵待と申します。妖怪です。昼間は人間のふりをしています。

『笑顔の人は、悲しい人』

優しい人、悲しい人程、笑顔を作る。そんなふうに、思うのです。


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以前、こんなことを言われたことがあります。

「彼さ、どんなことでも笑って話すだろ?だから、心配になるんだよな…。」と。

しかし、そんな笑って話す彼の気持ちも、分かる気がします。

笑わなきゃ、やってらんないのです。

恥ずかしかったこと、辛かったこと、困ったこと。そんなことでも笑えたら、まだ消化できる気がします。
言わば笑うことは、『自分は大丈夫。』という防衛行動であり、催眠のようなものでもあるのです。

だから、笑ってしまう。笑い飛ばせないことは、人にも話せません。けどそれを悟られないように、必死に笑うのだと思います。

『この人、悲しそうだな。』

私がそんなふうに思ったのは、ポツネン氏でした。

いつも笑顔で、愉快。
そして誰よりも、孤独を楽しめる人。

そして誰よりも、寂しがり屋な人。

そんな彼の周りには、たくさんの人がいます。
でも、いつも独りです。

舞台も楽しいはずなのに、なぜか心がぎゅっと苦しくなる。
いや、そこに惹かれるのかもしれません。

ポツネン氏は、姿を見せてくれなくなりました。独りじゃなくなったのでしょうか。
でもまたいつか、姿を見たいとも思ってしまいます。そうしてまた、孤独な夜のお供をしてきただきたいですね。


そういえば、あの笑っていた彼もまた笑っていました。その彼を心配していた彼もまた、笑っていました。

『見ようとしなかっただけじゃ。目に見えるものだけ見ようとするからだめなのじゃ。片目で見るぐらいがちょうどいい。』

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』ゲゲ郎

なんて、ゲゲ郎も言ってたっけ。(宵待の曖昧な記憶なので、正確ではないと思います。)

……今度、彼らとじっくり話してみるのもいいのかもしれません。孤独に、少しお邪魔するのも。
私が、ポツネン氏にそうしたように。

……いや、ポツネン氏が私にそうしてくれたのかもしれません。

しかし宵待は所詮、妖怪。なので、大したことはできません。けど、孤独にお供することはできます。

だから今日もここで、あなたをお待ちしておりますよ。


では今日はこの辺で。
あなたも、よい宵をお過ごしください。