なぜ統失 第7部「現代デイケア編」㊲ハイブリッド催眠の練習。
前回の続き。
「では、早速、練習してみましょう」
「相手をリラックスさせて、眠らせてあげて下さい」
参加者は、僕と地元の催眠術師の方しかいないので、
二人で向かい合って、ハイブリッド催眠の練習をする事になりました。
まずは、地元の催眠術師の方が、
僕に向かって手を振り始めました。
「うぅ〜ん…?」
僕は、軽く首をかしげました。
別段何も感じないし、眠くもなりません。
交代して僕の番になりました。
同じ様に、手を何度か振り下ろします。
「いやぁ〜」
地元の催眠術師の方は、
半笑いで首をかしげています。
何も感じない様です。
2〜3回くらい交代で練習をしましたが、
お互い何も感じることは何もありませんでした。
なにも実感が無いので、二人して練習を、
自然に辞めてしまいました。
田村さんが、
「もう練習しなくていいんですか?、ここで沢山練習しておいた方がいいですよ?」
もう一回ずつ試してみましたが、
お互いなんにも感じません。
地元の催眠術師の方は、
なんだかニコニコと笑顔を浮かべています。
また二人して固まってしまいました。
固まったまま、よそ事を考えていると、
突然、田村さんが僕に向かって、
「あっ、いまやってるんですね?、ビリビリ感じますよぉ〜、腕の毛が逆立っていますっ!」
何か感じているのか、
よく分からない事を言ってきました。
「えっ!?、別になにもやってませんけど…」
別の方向を向いてよそ事考えてたし、
なんのことなんだ?
一体なんなんだこれ…
「もう練習しなくていいですか?」
田村さんが、もう一度尋ねて来ました。
なんにも感じないので、
やんわりと二人して、もういいと意思表示をしました。
「では、次は相手が望む暗示をお互いに入れてあげましょう」
田村さんが、地元の催眠術師の方に、
どんな暗示を入れてほしいか尋ねました。
「最近肩こりが酷いので、肩が軽くなる暗示をお願いします」
「じゃあ、にゃぶりえるさん、肩が軽くなる暗示をハイブリッドで送ってあげてみて下さい」
僕は、肩が軽くなるようにと念じながら、
ハイブリッド催眠を始めました。
「軽くなりました?」
僕が尋ねました。
「いやぁ〜?」
地元の催眠術師の方は、
ニコニコしながら首をかしげました。
「にゃぶりえるさんは、どんな暗示を入れて貰いたいですか?」
「最近寝付きが悪いので、よく眠れるようになる暗示をお願いします」
まだクスリを辞めてから、それほど経ってない頃だったので、
離脱症状で寝付きが悪くなっていた時期でした。
同じ様に、地元の催眠術師の肩が、
手を振り始めました。
同じく何も感じる事はありません。
「ありがとうございました」
一応お礼を言っときました。
練習が終わり、
二人して作り笑顔でニコニコしながら固まっていると、
「どんどん練習したほうがいいですよ?」
田村さんが言いました。
「いやぁ〜」
また地元の催眠術師の方が、
ニコニコしながら、もう練習はいいという表情をしました。
僕も同じ様に、もう練習はいいと訴えました。
お互い、何も実感が無いので練習のしがいがありません。
練習が止まってしまったので、
また雑談タイムになりました。
続く。
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