今日のインコ オーツ麦茶漬け
インコは賢い。
特に自分の口に入るものに対しては、そのへんのサラリーマンよりもずっと考えていると思う。私のバリキャリ女友達は30を過ぎても家に炊飯器すらない(もちろん炊飯用の鍋もない)。
我が家のセキセイインコ、梵助の主食は、ミックスシードというもの。ヒエやら粟やら、数種類の植物の種が鳥の健康のために配合されている。飼い主にはカラフルな粒々としか認識できない。
一度、どれがどれなのか、インターネットの情報を頼りに識別を試みたけれど、ほとんど分からなかった。こっちのページでは黄色ぽいと思った粟が、別のページでは白い。ミックスシードの中には、黄色も白もある。絶望して、調べるのをやめた。唯一分かったのは、一番大きくて、インド米みたいな縦長の白い粒は、オーツ麦だということだけだ。
梵助は飼い主が唯一識別できたオーツ麦を、なぜか水に浸して食べる。ほかの種にはしない。オーツ麦だけは、エサ入れから一個摘んで、そのままスタスタとカニ歩きで水入れまで運んで、水に浸す。それから、外側の少し硬いと思われる部分を器用にクルッと剥がして、食べる。私はこれを、オーツ麦茶漬けと呼んでいる。調べると、結構あることらしい。
インコはシードの種類の違いを理解して、さらに粒によっての食べ方まで自分の好みにあうように変えているのだ。最早、一種の調理だ。私の友達は、米を炊く事すらしないのに。
でも、飼い主にとってこの梵助の調理は不都合なのである。なにが起きるかというと、水入れが酷く汚れる。朝一番に取り替えた水は、昼過ぎには白濁して、梵助が剥いたオーツ麦の皮のような何かがいくつも沈んでいる。ぱっと見には、カビでも生えたかという有様だ。
だから、飼い主はかなり頻繁に水を替えをせざるを得ない。しかも、ただ水を取り替えればいいというものではない。
梵助はPBFDというウイルス性の病に侵されているから、彼の使う食器類を、私は消毒しないと気が済まない。
まず、水で濯ぎ洗いして、次亜塩素酸水を霧吹きでかけてしばらく置いて、また洗い流して拭き取りをする。ついでに、床の拭き掃除もしたりする。
それから、薬入りの水を決められた量にきっちり測って入れる。
そんなものかと思うかもしれないけれど、これがどうにも面倒なのだ。特に出かけようと思った時に、ふと梵助の水入れをみると、ついさっき替えたばかりの水が白濁しているということもある。
私が出かけている数時間、梵助はずっとこの白濁した水を飲まないといけないのか。そんな不衛生なことをして、病気が悪化でもしたら。罪悪感で、出かけるどころではなくなる。結果、私は遅刻ギリギリになる。
反対に、水が綺麗なままだと、私は面倒さが上にきて、水を替えないことがある(もちろん24時間に一度以上は替えます)。
一回水を替えなきゃ、と思うと消毒までしないと気が済まないのに。自分でも矛盾を感じる。
夜も水が綺麗だと、じゃぁこのまま朝までは替えなくていいかという気持ちに、なる。私だってそのくらい飲めるからいいだろうと思ってしまう。
梵助はそんな私を見抜いていて、わざと水を汚すのかもしれない。きっとそうだ。種によって食し方を変えるインコが、水にこだわらないはずがない。
おい、飼い主。
水は鮮度が大事なんだ。
1日3回取り換えろよ。
朝、昼、晩だ。
そう言われている気がする。
やはり、インコは賢い。
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