オトジェニック・高橋幸宏「FLASH BACK 回想」『WHAT,ME WORRY? ボク、大丈夫!!』(1982年)
中学生のとき、「中華三昧」という袋麺が新発売されて、食べてみたら、それまでの袋麺の概念を覆すくらいの衝撃を受けた。
その後も袋麺は進化を続けたらしく、最近、TBSラジオ「東京ポッド許可局」でマキタスポーツさんが「ZUBAAAN!」という袋麺が革命的だ、これで袋麺の概念が変わった、と話していて、実際に食べてみると、なるほどそうだと感じた。
…と、なにも袋麺の話をしたいわけではない。「中華三昧」のCMで流れていた音楽の作曲は、坂本龍一さんだったということを言いたいのである。
この当時、坂本龍一さんは、CM音楽を精力的に手がけていた。坂本さんファンは、テレビCMの音楽を注意深く聴きながら、「これは教授の曲ではないか?」とアタリをつけ、その推理を坂本さんが当時パーソナリティーをしていたラジオ番組、NHK-FMの「サウンドストリート」にせっせと送っていた。民放のCMの話をNHKのラジオ番組で取りあげるというのもおかしな話だが、リスナーからの、「ひょっとしてこのCMの音楽は教授の曲ですか?」の質問に、「そうです」とか「違います」とか答えており、そのたびにリスナーは溜飲を下げていた。
坂本龍一さんのCM音楽には名曲が多く、それだけで1枚のアルバムができているほどである。「中華三昧」もその名曲のうちのひとつである。
この曲を、同じYMOの高橋幸宏さんが気に入って、その曲に歌詞をつけて歌ったのが、「FLASH BACK 回想」という曲なのだ。
最初聴いたときは、「中華三昧」のイメージが強くて、頭の中の映像に袋麺が浮かんだものだが、何度もじっくり聴いてみると、高橋幸宏さんが曲にのせた歌詞が素晴らしい。当然、いまの若い人たちは「中華三昧」のCMのことを知らないだろうから、よけいな先入観なしに素直にこの曲のよさを知ることができるだろう。